応用情報技術者 2024年 春期 午後 問02
物流業の事業計画に関する次の記述を読んで、設問に答えよ。
B社は、運送業務及び倉庫保管業務を受託する中規模の物流事業者である。従業員数は約100名で、関東甲信越エリアを中心に事業を行っており、高速道路や幹線道路へのアクセスの良い立地に複数の営業所と倉庫を構えている。主に、地場のメーカーと販売店との間の配送などを中心に事業を行ってきたが、同業他社との競争が激しく、ここ数年は収益が悪化傾向にあり、このままでは経営が厳しくなる一方である。B社の取締役は、この状況の打開に向けて、顧客への新たな価値の提供を目指すべく、経営企画部の D部長に事業計画の立案を指示した。
〔B社の環境分析〕
D部長は、自社の事業の置かれている状況を把握するために、環境分析を実施する必要があると考えた。環境分析には、自社を取り巻く経営環境のうち、自社以外の要因をマクロ的視点とミクロ的視点で分析する外部環境分析と、自社の経営資源に関する要因を分析し、自社の特徴を洗い出す内部環境分析がある。D部長は、経営企画部の E 課長に、外部環境分析から実施するよう指示した。E 課長は、まず、PEST 分析を行い、PEST 分析の結果として B社の事業に影響する要因の概要を整理した。

次に、E課長は、ファイブフォース分析を進めることにした。ファイブフォース分析の結果、B社が受ける脅威の概要を表2のように整理した。

E課長は、①PEST分析、ファイブフォース分析の順に分析し、その結果について検討した。PEST分析の結果から、a が改定されたことによって、ドライバーを含む労働力の総量が減少することが懸念され、また、社会的要因によってドライバーのなり手が減ることを認識した。このことはファイブフォース分析の結果における売手の交渉力の脅威にも大きな影響を及ぼすことに気が付き、ドライバーの需要に対して供給が減ることから、d と考えた。
E課長は、これらの外部環境分析の結果を踏まえると、b 競争の渦中にあり、減収減益となっている現状において、②B社が業界内において競争優位を確立するための分析が必要であると考えた。E課長は、その分析を実施した結果、B社は、好立地にある営業所と倉庫をもっているにもかかわらず、そのことを生かして、多様化する顧客の要望に応えられていないことが収益悪化の原因であると結論付けた。
E課長は、必要な分析を終えてその結果をD部長に報告した。
〔顧客情報の定性的分析〕
E課長は、D部長から、運送・倉庫保管だけの物流サービスから、③マーケットイノベーション志向の物流サービスに転換していくことによって、顧客に新たな価値を提供できるのではないかとアドバイスを受けた。E課長は、これまでの自社の顧客情報の分析は、受注履歴、契約金額などの数値を基に分析を行うことだけであり、数値だけでは捉えきれない顧客の要望を把握する分析を行っていなかったことに気が付いた。
E課長は、顧客との接点が多いドライバーは、運送業務の過程で、顧客の事業に関して様々な気付き得ているのではないかと考えた。そこで、ドライバーのもつ顧客の事業に関する気付き把握するために調査を実施した。ドライバーからの回答には、顧客の事業に関する未知の情報、B社に対する期待やクレーム、顧客に対する感想、担当する顧客社員への好悪感情といった顧客の事業に関する情報それ以外の種々雑多な情報が混在していた。しかし、これまでは顧客情報として管理されていなかった様々な情報が含まれており、分析することで、顧客の要望を把握することができるのではないかと考えた。
ドライバーからの回答は、自由記述形式のテキストデータであり、テキストマイニングによる定性的分析を行うことができる。D部長は、テキストマイニングによる分析を行うに当たり、④テキストデータを選別するよう、E課長にアドバイスした。E課長は、選別したテキストデータの分析の結果、顧客の事業に関するキーワードとして、“コア業務”、“一括委託”といった単語が抽出しており、“コア業務”は“集中”との単語間の結びつきの強さがあり、複数の単語が同一文章中に共に出現することを意味する共起関係が強く表れていた。E課長は、定性的分析の結果をD部長に報告し、顧客への新たな価値の提供に向けた検討の了承を得た。
〔顧客への新たな価値の提供〕
B社の顧客の業務を確認したところ、B社倉庫から顧客の拠点に荷物が届いた後に、顧客はその荷物の検品やラベル付け、複数の荷物を一つに箱詰めすることといった作業を顧客自社で行うか、又はB社とは異なる事業者へ委託しており、顧客にとって負担となっていた。B社では、昨年、業務効率の向上を図るために営業所を倉庫内のレイアウト変更を実施し、新たな業務を行うことが可能なスペースを確保していた。そこで、E課長は、運送、倉庫保管といった従来の業務に加え、検品やラベル付け、箱詰めといった作業を行う流通加工業務を一括で委託して顧客に新たな価値を提供する3PL〔3rd Party Logistics〕サービスが有効ではないかと考え、D部長に提案した。
D部長は、3PLサービスを提供することで、B社の既存顧客の要望を満たすとともに、新たな顧客の獲得につながる可能性もあると考え、E課長の提案に賛同した。さらに、D部長は、顧客が作業を委託している流通加工業者の一つであるR社において、流通加工業務の需要拡大に伴い施設の拡張を検討しているという話を聞いていた。そこで、B社の営業所と倉庫を作業所として、B社の運送・倉庫保管業務とR社の流通加工業務とを組み合わせてサービスする業務提携をR社と行うことで、B社の3PLサービスの提供が可能になるのではないかと考えた。D部長は、E課長に、R社との業務提携の可能性があるかを調査するよう指示した。
E課長は、顧客からR社の紹介を受けて、業務提携の協議を行った。R社との協議を行う中でE課長はR社の状況を次のように把握した。
・R社は流通加工業務の需要拡大に伴い、社員や作業所を増やし事業を拡大してきたが、作業所の多くは手狭になってきていて、別の作業所を探さなくてはならない。
・流通加工業務は、荷物の受け入れと発送をスムーズに行えることが重要であり、これが作業所の選定上の最優先事項である。
・希望する場所に作業所を自前でむつことは、作業所の土地の取得や倉庫の建築費といった初期費用の負担が大きいので、回避したいと考えている。
E課長は、B社の事業の概要を説明した上で、業務提携が可能であるか検討してほしいとR社に依頼した。後日、R社から、⑤B社のもつ経営資源は、R社の事業を展開する上で魅力的なものであることから、是非とも業務提携を行いたいとの連絡があった。
E課長は、R社との業務提携による3PLサービスの事業化案について部長に報告した。D部長は、⑥E課長の事業化案を実現することで、B社の顧客の物流に関わる作業に対する要望を満たすことができる、さらに、B社とR社で業務提携することで顧客を紹介し合って、相互に新たな顧客の開拓につながられると判断した。D部長は、収益向上によってドライバーの処遇を改善することも含めて取締役の承諾を得て、E課長に事業化案に基づき事業計画をまとめるよう指示した。
設問1:〔B社の環境分析〕について答えよ。
(1)表1及び本文中の a に入れる適切な法律名、表2及び本文中の b 、表2中の c に入れる適切な字句をそれぞれ答えよ。
模範解答
a:労働基準法
b:価格
c:代替
解説
解答の論理構成
-
a を特定
- 【問題文】「・a改正による総労働時間に関する規制の設定」
- 総労働時間の上限を直接規定する国内法は「労働基準法」であり、同法の改正がトラックドライバーの時間外労働を規制する“2024年問題”として物流業界に影響を与えています。したがって a = 「労働基準法」と判断します。
-
b を特定
- 【問題文】「運送・倉庫保管だけの物流サービスではコモディティ化して、過当競争となりがちであり、b競争が常に発生していることから脅威は大きい。」
- コモディティ化→差別化困難→顧客が比較する軸は「価格」。ファイブフォース分析でも「価格競争」が典型的な脅威の表現です。よって b = 「価格」。
-
c を特定
- 【問題文】「cサービスの脅威」と題する脅威の説明欄に「航空輸送や海上輸送…車両による陸送に代わるものではなく」「車両の自動運転…ドローン配送…」と記載。
- これらは既存サービスを“代わりに担う”手段= substitute(代替)に相当します。ファイブフォース分析の 1 要素「代替品の脅威」に合致するため c = 「代替」と判断します。
以上より
a:労働基準法
b:価格
c:代替
a:労働基準法
b:価格
c:代替
誤りやすいポイント
- 総労働時間=「働き方改革関連法」と誤答するケースが多いですが、働き方改革は複数法改正の総称であり、設問は単独の法律名を求めています。
- b に「サービス」や「品質」などを入れてしまうミス。コモディティ化で強まるのはまず「価格競争」です。
- c を「競合」「補完」などと誤記。ファイブフォースの正式名称「代替製品・サービスの脅威」を思い出しましょう。
FAQ
Q: 「労働基準法」以外にも労働時間を規制する法律はありますか?
A: 自動車運転者の労務管理には「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」もありますが、基準の根拠法は「労働基準法」であり、設問の“法改正”を最も直接示すのは同法です。
A: 自動車運転者の労務管理には「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」もありますが、基準の根拠法は「労働基準法」であり、設問の“法改正”を最も直接示すのは同法です。
Q: ファイブフォース分析で「代替サービス」と「新規参入」の違いは?
A: 「新規参入」は同じビジネスモデルで市場に入ってくる競合、「代替サービス」は異なる技術や手段で顧客の需要を満たす別業界のプレーヤーを指します。
A: 「新規参入」は同じビジネスモデルで市場に入ってくる競合、「代替サービス」は異なる技術や手段で顧客の需要を満たす別業界のプレーヤーを指します。
Q: コモディティ化が進んでいるときの基本的な戦略は?
A: 価格競争に巻き込まれないよう差別化戦略をとるか、コストリーダーシップで極端な低コスト体制を敷くかが定石です。今回 B社は差別化(3PL などの付加価値化)を選択しています。
A: 価格競争に巻き込まれないよう差別化戦略をとるか、コストリーダーシップで極端な低コスト体制を敷くかが定石です。今回 B社は差別化(3PL などの付加価値化)を選択しています。
関連キーワード: PEST分析, ファイブフォース分析, コモディティ化, 3PL, テキストマイニング
設問1:〔B社の環境分析〕について答えよ。
(2)表2及び本文中の d に入れる最も適切なものを解答群の中から選び、記号で答えよ。
解答群
ア:ITの活用による省力化の脅威が大きい
イ:運送料の値下げの要求による脅威が大きい
ウ:ドライバーの賃金上昇に伴う調達コスト増加の脅威が大きい
エ:陸送に代わる新たな輸送方法の脅威が大きい
模範解答
d:ウ
解説
解答の論理構成
- 売手の交渉力とは
ファイブフォース分析での「売手」は、原材料・部品・人材など“自社が調達する側”を指します。本問では「ドライバー」がそれに該当します。 - ドライバー不足という前提
【問題文】では、
「ドライバーを含む労働力の総量が減少することが懸念」
「ドライバーのなり手が減る」
と明示され、供給が細る状況が示されています。 - 供給減が交渉力を高める理由
同じく【問題文】に、
「ドライバーの需要に対して供給が減ることから、d と考えた。」
とあり、需要超過による売手(=ドライバー)優位が読み取れます。 - どの脅威が顕在化するか
供給が減ればドライバーは賃上げ交渉をしやすくなり、企業にとっては“調達コスト(人件費)上昇”が脅威になります。
解答群でそれを端的に示しているのは
「ウ:ドライバーの賃金上昇に伴う調達コスト増加の脅威が大きい」
であり、他選択肢は買手側・技術側・代替輸送手段の話なので本筋と合致しません。
したがって d には「ウ」が入ります。
誤りやすいポイント
- 「売手=ITベンダ」「売手=燃料供給業者」と早合点し、選択肢アやイに流れる。
- 「陸送に代わる手段」を“売手の交渉力”と混同してエを選ぶ。
- 需要超過→値上げは買手交渉力と思い込み、視点を逆にしてしまう。
FAQ
Q: 売手の交渉力はなぜドライバーなのですか?
A: 物流業における主要な“仕入れ”は輸送手段とそれを担う人材です。本問は人手不足がテーマで、調達リソース=ドライバーと解釈します。
A: 物流業における主要な“仕入れ”は輸送手段とそれを担う人材です。本問は人手不足がテーマで、調達リソース=ドライバーと解釈します。
Q: 「燃料費上昇」もコスト増ですが選択肢になかったのですか?
A: 燃料費はPESTの「経済的要因」で触れられていますが、ファイブフォースの売手側としては明示されていません。設問が問うのは“ドライバー不足”を受けた交渉力です。
A: 燃料費はPESTの「経済的要因」で触れられていますが、ファイブフォースの売手側としては明示されていません。設問が問うのは“ドライバー不足”を受けた交渉力です。
Q: ドライバー不足は買手の交渉力にも影響しますか?
A: 主に売手側の交渉力を高める要因ですが、人材確保が難しくサービス品質が低下すれば買手の選択肢が減り、結果として買手側要求(値下げ以外の条件提示)が弱まる場合もあります。
A: 主に売手側の交渉力を高める要因ですが、人材確保が難しくサービス品質が低下すれば買手の選択肢が減り、結果として買手側要求(値下げ以外の条件提示)が弱まる場合もあります。
関連キーワード: PEST分析, ファイブフォース分析, 売手の交渉力, 労働市場, 物流サービス
設問1:〔B社の環境分析〕について答えよ。
(3)本文中の下線①について、PEST分析をファイブフォース分析よりも先に実施したのは、PEST分析がどのような視点での分析であるからか。本文中の字句を用いて6字で答えよ。
模範解答
マクロ的視点
解説
解答の論理構成
- 【問題文】では、環境分析を
「自社を取り巻く経営環境のうち、自社以外の要因をマクロ的視点とミクロ的視点で分析する外部環境分析」
と定義しています。 - PEST分析は政治・経済・社会・技術の各要因を扱い、市場全体や社会動向を広く捉える分析手法です。したがって【問題文】の記述に照らすと、PEST分析は「マクロ的視点」で行う外部環境分析に該当します。
- ファイブフォース分析は業界内の競争や買手・売手の交渉力など、より近い市場・競合を対象にした「ミクロ的視点」の分析です。
- よって、PEST分析を先に実施した理由は「PEST分析がマクロ的視点での分析だから」であり、解答は
マクロ的視点
となります。
誤りやすいポイント
- 「PEST=外部環境だから」で止めてしまい、視点(マクロ/ミクロ)の指定を落とす。
- ファイブフォース分析も外部環境に含まれるため、両者の違いを混同して順序の根拠を誤る。
- 【問題文】の原文を引用せず、自分の言い換えで解答を書いてしまう。
FAQ
Q: PEST分析とファイブフォース分析はどちらも外部環境分析ですが、併用する主な理由は何ですか?
A: PESTで「政治・経済・社会・技術」という大局的な潮流を把握し、その後ファイブフォースで自社が属する業界の競争構造を詳細に確認することで、全体像と業界個別事情の両面から戦略立案ができます。
A: PESTで「政治・経済・社会・技術」という大局的な潮流を把握し、その後ファイブフォースで自社が属する業界の競争構造を詳細に確認することで、全体像と業界個別事情の両面から戦略立案ができます。
Q: 「マクロ的視点」は具体的にどのような情報源を調べることを指しますか?
A: 政策・法律改正、景気動向、人口構造、技術トレンドなど、業界や企業を越えて広く影響する要因を政府統計、白書、業界団体の資料、学術論文などから収集する作業を含みます。
A: 政策・法律改正、景気動向、人口構造、技術トレンドなど、業界や企業を越えて広く影響する要因を政府統計、白書、業界団体の資料、学術論文などから収集する作業を含みます。
Q: ミクロ的視点の分析例を一つ挙げてください。
A: 自社と競合他社の市場シェア推移を比較し、どの企業がどの顧客層を獲得しているかを調べる市場構造分析はミクロ的視点の代表例です。
A: 自社と競合他社の市場シェア推移を比較し、どの企業がどの顧客層を獲得しているかを調べる市場構造分析はミクロ的視点の代表例です。
関連キーワード: PEST分析, ファイブフォース分析, 外部環境, マクロ視点, 競争構造
設問1:〔B社の環境分析〕について答えよ。
(4)本文中の下線②の分析は何か。本文中の字句を用いて10字以内で答えよ。
模範解答
内部環境分析
解説
解答の論理構成
-
外部環境分析の完了
- 【問題文】「E課長は、これらの外部環境分析の結果を踏まえると、b 競争の渦中にあり…」
ここで “これら” は直前まで実施していた「PEST分析、ファイブフォース分析」を指しており、いずれも “外部環境分析” です。
- 【問題文】「E課長は、これらの外部環境分析の結果を踏まえると、b 競争の渦中にあり…」
-
次に必要とされた分析の目的
- 【問題文】「②B社が業界内において競争優位を確立するための分析が必要であると考えた。」
“競争優位を確立” するには、自社固有の強みや弱み(営業所と倉庫という “経営資源”)を吟味する必要があります。
- 【問題文】「②B社が業界内において競争優位を確立するための分析が必要であると考えた。」
-
その分析で着目した対象
- 【問題文】「B社は、好立地にある営業所と倉庫をもっているにもかかわらず…」
営業所・倉庫といった“自社の経営資源”を評価している点から、この分析は “自社内部” を対象にしています。
- 【問題文】「B社は、好立地にある営業所と倉庫をもっているにもかかわらず…」
-
外部分析との対比による結論
- 外部環境分析(PEST・ファイブフォース)に対し、内部を調べる分析は “内部環境分析” と呼ばれます。
以上より、下線②の分析=「内部環境分析」と導けます。
- 外部環境分析(PEST・ファイブフォース)に対し、内部を調べる分析は “内部環境分析” と呼ばれます。
誤りやすいポイント
- PESTやファイブフォースを続けて挙げたため、 “追加の外部分析” と誤解しやすい。
- 「SWOT分析」と答えるミス。SWOTのうち Strength/Weakness 部分だけが②で、Opportunity/Threat はすでに外部分析で実施済み。
- “競争優位” という言葉に引きずられ「競争戦略分析」と答えてしまう。
FAQ
Q: 内部環境分析では具体的にどんな項目を洗い出しますか?
A: 人・モノ・カネ・情報・ノウハウなど、自社が保有する経営資源や業務プロセスを網羅的に整理します。
A: 人・モノ・カネ・情報・ノウハウなど、自社が保有する経営資源や業務プロセスを網羅的に整理します。
Q: 外部環境分析で十分に脅威を把握したのに、なぜ内部環境分析が必須なのですか?
A: 脅威への対処策は、自社が持つ資源や能力の範囲で選択・実行する必要があるため、内部面の把握が欠かせません。
A: 脅威への対処策は、自社が持つ資源や能力の範囲で選択・実行する必要があるため、内部面の把握が欠かせません。
Q: 内部環境分析とSWOT分析の違いは?
A: 内部環境分析は “Strength/Weakness” を特定する作業そのもの、SWOT分析はその結果を “Opportunity/Threat” と組み合わせ戦略を考える枠組みです。
A: 内部環境分析は “Strength/Weakness” を特定する作業そのもの、SWOT分析はその結果を “Opportunity/Threat” と組み合わせ戦略を考える枠組みです。
関連キーワード: 内部環境分析, 経営資源, 競争優位, PEST分析, ファイブフォース分析
設問2:〔顧客情報の定性的分析〕について答えよ。
(1)本文中の下線③のマーケットイン志向に該当する行動はどれか。最も適切なものを解答群の中から選び、記号で答えよ。
解答群
ア:既存市場向けの物流サービスを新たな市場に提供する。
イ:競合他社よりも相対的に低価格となる物流サービスを提供する。
ウ:自社が市場で優位性をもつ技術を活用し物流サービスを提供する。
エ:市場調査を行い、顧客ニーズを満たす物流サービスを提供する。
模範解答
エ
解説
解答の論理構成
-
キーワードの確認
【問題文】には「運送・倉庫保管だけの物流サービスから、③マーケットイノベーション志向の物流サービスに転換」とあり、「顧客に新たな価値を提供できるのではないか」と記載されています。ここから、マーケットイノベーション志向とは「顧客ニーズを起点に新しい価値を生み出す姿勢」であることが読み取れます。 -
顧客ニーズを把握する取り組み
同じ段落で「数値だけでは捉えきれない顧客の要望を把握する分析を行っていなかった」→「顧客との接点が多いドライバーから自由記述形式で情報を収集し、テキストマイニングによる定性的分析を行う」と続きます。つまり、市場や顧客の声を調査・分析し、新サービスへ反映しようとする行動が③に当たります。 -
選択肢の照合
ア:既存サービスを新市場へ → 顧客ニーズの深掘りではなく市場拡張。
イ:低価格戦略 → コスト競争であり、イノベーション志向とは異なる。
ウ:自社技術の活用 → プロダクトアウト型で顧客起点ではない。
エ:市場調査を行い、顧客ニーズを満たす物流サービスを提供 → 顧客起点で新たな価値を創出する行動。 -
結論
よって、③マーケットイノベーション志向に該当する行動は
「エ:市場調査を行い、顧客ニーズを満たす物流サービスを提供する」
誤りやすいポイント
- 「自社が市場で優位性をもつ技術」を強調するウを選びがちですが、マーケットイン志向は技術よりも顧客ニーズが出発点です。
- 「相対的に低価格」とあるイを“新たな価値”と誤解するケース。低価格はコストリーダーシップ戦略でありイノベーションとは別軸です。
- アの「既存市場向けサービスを新市場へ」は製品市場マトリクスでいう市場開拓戦略で、顧客ニーズの深掘りではありません。
FAQ
Q: マーケットインとプロダクトアウトの違いは何ですか?
A: マーケットインは「顧客の課題・要望の把握」→「解決策を設計」という流れ、プロダクトアウトは「自社技術・アイデア」→「市場へ投入」という流れです。
A: マーケットインは「顧客の課題・要望の把握」→「解決策を設計」という流れ、プロダクトアウトは「自社技術・アイデア」→「市場へ投入」という流れです。
Q: テキストマイニングはなぜ顧客ニーズ把握に有効なのですか?
A: 自由記述の大量データから共起語や頻出語を抽出し、顧客が口頭では言語化しづらい潜在的要望を客観的に可視化できるためです。
A: 自由記述の大量データから共起語や頻出語を抽出し、顧客が口頭では言語化しづらい潜在的要望を客観的に可視化できるためです。
Q: 3PLサービスはマーケットイン志向とどう関係しますか?
A: 顧客の「物流作業を一括委託したい」というニーズを把握し、運送・保管に加えて流通加工まで一体で提供する点がマーケットイン志向の具体策となります。
A: 顧客の「物流作業を一括委託したい」というニーズを把握し、運送・保管に加えて流通加工まで一体で提供する点がマーケットイン志向の具体策となります。
関連キーワード: マーケットイノベーション, 顧客ニーズ, 市場調査, テキストマイニング, 3PL
設問2:〔顧客情報の定性的分析〕について答えよ。
(2)本文中の下線④でどのようにテキストデータを選別するのか。35字以内で答えよ。
模範解答
顧客の事業に関するテキストデータを分析の対象とする。
解説
解答の論理構成
- 【問題文】には、ドライバー回答の内容として
「顧客の事業に関する未知の情報、B社に対する期待やクレーム、顧客に対する感想、担当する顧客社員への好悪感情といった顧客の事業に関する情報それ以外の種々雑多な情報が混在していた。」
とあります。 - 同じ段落で、D部長は「④テキストデータを選別するよう」指示しています。
種々雑多な情報が混在しているため、分析目的に合うデータだけを取り出す必要があります。 - 分析の目的は「顧客の要望を把握」することであり、これは「顧客の事業」に直接関わる情報にフォーカスすることを意味します。
- よって、選別方針は「顧客の事業に関するテキストデータに限定する」と導かれます。
誤りやすいポイント
- 「B社に対する期待やクレーム」「担当者への好悪感情」まで含めてしまう
→ 顧客ニーズ把握にノイズが増え、選別の意図から外れます。 - 「全文を分析してもテキストマイニングで不要語を除去できる」と誤解
→ 不要語の除去と分析目的に沿ったデータ選別は別工程です。 - 「自社に関する情報」や「感想」を残してしまう
→ 求められるのは「顧客の事業」情報です。
FAQ
Q: 感情やクレーム情報はまったく分析対象外ですか?
A: 本設問の選別基準は「顧客の事業に関する情報」です。感情・クレームは直接的に事業内容を示さないため除外します。
A: 本設問の選別基準は「顧客の事業に関する情報」です。感情・クレームは直接的に事業内容を示さないため除外します。
Q: 具体的にはどのようなキーワードを残すべきですか?
A: 「検品」「一括委託」「コア業務」など、顧客が自社事業をどう進めたいかを示す語句を含むテキストが残す対象になります。
A: 「検品」「一括委託」「コア業務」など、顧客が自社事業をどう進めたいかを示す語句を含むテキストが残す対象になります。
Q: 選別後はどの分析手法を使うのですか?
A: 設問文では「テキストマイニング」を用い、「共起関係」などでキーワード同士の結び付きを分析しています。
A: 設問文では「テキストマイニング」を用い、「共起関係」などでキーワード同士の結び付きを分析しています。
関連キーワード: PEST分析, ファイブフォース, テキストマイニング, 共起分析, 3PL
設問3:〔顧客への新たな価値の提供〕について答えよ。
(1)本文中の下線⑤のB社のもつ経営資源とは何か。本文中の字句を用いて15字以内で答えよ。
模範解答
好立地にある営業所と倉庫
解説
解答の論理構成
- 設問は「本文中の下線⑤のB社のもつ経営資源とは何か」と問い掛けています。
- 下線⑤の直前で R社が回答した理由を示す部分に、経営資源を端的に示す記述があります。
- 【問題文】
「E課長は、その分析を実施した結果、B社は、好立地にある営業所と倉庫をもっているにもかかわらず…」 - 【問題文】
「後日、R社から、B社のもつ経営資源は、R社の事業を展開する上で魅力的なものであることから、是非とも業務提携を行いたいとの連絡があった。」
- 【問題文】
- R社にとって魅力的なのは「好立地にある営業所と倉庫」という具体的な経営資源であると読み取れます。
- 以上より、解答は「好立地にある営業所と倉庫」となります。
誤りやすいポイント
- 「好立地」や「営業所と倉庫」だけと書き、どちらかを欠いてしまう。両方揃って初めて経営資源の強みになります。
- 「複数の営業所と倉庫」などと脚色して原文を改変してしまう。数字・語句は必ず原文どおり記載する必要があります。
- 「物流拠点」などの言い換え表現を用いる。設問は「本文中の字句を用いて」答えるよう指定しています。
FAQ
Q: どうして「好立地」が強調されているのですか?
A: 物流業において立地はリードタイム短縮とコスト削減を直接左右する重要要素です。好立地はそのまま競争優位を生む経営資源になります。
A: 物流業において立地はリードタイム短縮とコスト削減を直接左右する重要要素です。好立地はそのまま競争優位を生む経営資源になります。
Q: 「複数の営業所と倉庫」と答えると不正解になりますか?
A: 原文にない語を加えると改変と見なされる可能性が高いです。設問の指示どおり「好立地にある営業所と倉庫」と書くのが安全です。
A: 原文にない語を加えると改変と見なされる可能性が高いです。設問の指示どおり「好立地にある営業所と倉庫」と書くのが安全です。
Q: なぜ設備や人員ではなく営業所と倉庫が経営資源に挙げられたのですか?
A: R社は「荷物の受け入れと発送をスムーズに行える場所」を最優先で探しており、B社の「好立地にある営業所と倉庫」がニーズに合致したためです。
A: R社は「荷物の受け入れと発送をスムーズに行える場所」を最優先で探しており、B社の「好立地にある営業所と倉庫」がニーズに合致したためです。
関連キーワード: 経営資源, 3PL, 競争優位, 立地戦略, 倉庫管理
設問3:〔顧客への新たな価値の提供〕について答えよ。
(2)本文中の下線⑥について、E課長の事業化案を実現することで、B社の顧客の物流に関わる作業に対するどのような要望を満たすことができるか。選別したテキストデータの分析の結果の字句を用いて30字以内で答えよ。
模範解答
一括委託することでコア業務に集中したいという要望
解説
解答の論理構成
- 問題は、下線部⑥で「B社の顧客の物流に関わる作業に対するどのような要望を満たすことができるか」を問うています。
- 顧客の要望を把握する手掛かりは、E課長が実施したテキストマイニング結果にあります。本文には、
「顧客の事業に関するキーワードとして、“コア業務”、“一括委託”といった単語が抽出」「“コア業務”は“集中”との単語間の結びつきの強さがあり」と記載されています。 - これにより、顧客は「物流関連作業を“一括委託”し、自社の“コア業務”へ“集中”したい」と読み取れます。
- E課長の事業化案は、運送・倉庫保管に加え流通加工までを3PLとしてまとめて受託するものです。これはまさに「一括委託」を可能にし、顧客が「コア業務に集中」できる体制を実現します。
- 以上から、満たされる要望をまとめると
「一括委託することでコア業務に集中したいという要望」となります。
誤りやすいポイント
- テキストマイニング結果のキーワードを引用せずに要望を推測してしまう。
- 「コスト削減」「リードタイム短縮」など他の一般的メリットを書いてしまい、設問が求める“テキストデータの字句”を使わない。
- 3PL導入=新規顧客開拓と読み替えてしまい、既存顧客の“集中”ニーズを見落とす。
FAQ
Q: 「一括委託」と「アウトソーシング」は同じ意味ですか?
A: 本文では「一括委託」という表現が使われており、物流領域全体をまとめて任せるニュアンスが強いです。設問では原文どおり「一括委託」を用いる必要があります。
A: 本文では「一括委託」という表現が使われており、物流領域全体をまとめて任せるニュアンスが強いです。設問では原文どおり「一括委託」を用いる必要があります。
Q: 3PLは必ず流通加工を含まないといけないのですか?
A: 必須ではありませんが、本文のB社の場合は「検品やラベル付け、箱詰めといった流通加工業務」も範囲に含めることで顧客の要望を充足しています。
A: 必須ではありませんが、本文のB社の場合は「検品やラベル付け、箱詰めといった流通加工業務」も範囲に含めることで顧客の要望を充足しています。
Q: テキストマイニングで「共起関係」とは何ですか?
A: 複数の単語が同一文章に一緒に出現する頻度が高い状態を指します。ここでは“コア業務”と“集中”の結び付き強度から顧客ニーズを読み取っています。
A: 複数の単語が同一文章に一緒に出現する頻度が高い状態を指します。ここでは“コア業務”と“集中”の結び付き強度から顧客ニーズを読み取っています。
関連キーワード: PEST分析, ファイブフォース, 3PL, テキストマイニング, 共起分析


