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基本情報技術者 2009年 春期 午前(科目A)75


問題文

M&Aの利点はどれか。

選択肢

機能別に分業を行うことで、専門化による知識と経験の蓄積ができ、規模の経済を得ることができる。
自社にない技術やノウハウを獲得することによって、新規事業を短期間で実現することができる。(正解)
自律感による高い心理的エネルギーを活用でき、既存事業からの影響を最小限にすることができる。
製品別や市場別に事業を区分し、独立採算制とすることで、利益責任を明確にすることができる。

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企業の合併・買収(M&A)効果【午前解説】

正解の理由

イ(自社にない技術やノウハウを獲得して短期間で新規事業を実現できる)は、M&Aの典型的な利点を端的に表現しています。M&Aは単に資産を移転する行為ではなく、既存の能力(技術、人材、ブランド、チャネル)を即時に取り込むことで、内部開発に比べて以下の点で優位になります。
  • 時間短縮: 自社で一から研究開発や人材育成を行うより、買収により即座に能力を得られる。
  • 不確実性低下: 技術や市場の実績がある場合は失敗確率が相対的に低い。
  • シナジー創出: 製品の補完、販路拡大、コスト削減などで相乗効果が期待できる。
    以上により「短期間で新規事業を実現する」という表現がM&Aの利点として最も適切です。

解法ステップ

  1. 問題文のキーワード(「自社にない技術」「短期間」「実現」)を正確に把握する。
  2. 各選択肢が示す効果が「M&A固有の利点」か、あるいは別の経営手法(事業部制、機能別組織、従業員の自律性)によるものかを分類する。
  3. M&Aの一般的効果(外部資源の即時獲得、シナジー創出、事業再編)と照合し、最も整合する選択肢を選ぶ。
  4. 残った選択肢については、なぜM&Aに特有でないかを簡潔に論理的に否定する。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 「機能別に分業を行うことで専門化し規模の経済を得る」は機能別組織や集中化による効果であり、M&A固有の利点とは言えません。内部組織の設計や拡大で達成可能です。
  • イ: は正解。外部から技術やノウハウを獲得し、短期間で事業化できる点がM&Aの代表的利点です。
  • ウ: 「自律感による高い心理的エネルギーを活用」は組織文化や人事制度、分権経営の効果であり、M&Aの利点ではありません。むしろM&Aは文化摩擦でモチベーション低下を招くリスクもあります。
  • エ: 「製品別や市場別に事業を区分し独立採算にする」は事業部制(多事業企業の組織形態)の利点で、M&A自体の利点とは区別されます。

よくある誤解

  • 「規模の経済=M&Aの直接効果」との混同: 規模の経済は組織再編や事業統合で得られますが、必ずしもM&A固有の利点ではなく内部拡大でも可能です。
  • 「M&Aは常に短期的に成功する」と考える誤り: 買収した資産を事業化できるかはデューデリジェンスとPMIの質に依存します。
  • 「心理的エネルギーの活用=M&Aの目的」とする誤認: モチベーションや自律性は組織設計や企業文化の問題であり、M&A固有の利点ではありません。

補足コラム

M&Aは「何を買うか(技術/人材/市場/ブランド)」と「どのように統合するか(PMI)」の二軸で評価されます。買収により得られる利点は魅力的ですが、以下の注意点が成功に直結します。
  • デューデリジェンスで技術実態、権利関係、顧客維持性を精査する。
  • 価格(プレミアム)と期待されるシナジーの現実性を厳密に算出する。
  • PMI(Post-Merger Integration)で組織・文化・システム統合を計画的に実行する。
    成功事例としては、技術系スタートアップの買収による短期の製品差別化が挙げられますが、失敗例(文化摩擦や技術の抱合せ不備)も多く存在します。

FAQ

Q1: M&Aと業務提携(アライアンス)の違いは何ですか?
A1: M&Aは所有権の移転を伴い、資産や人材を直接取得します。アライアンスは契約ベースで協業し、所有権は維持されるため柔軟ですが即時獲得効果は限定的です。
Q2: 内部開発よりM&Aが有利なケースは?
A2: 必要な技術が社内で不足しており、時間的制約が厳しい場合や市場参入のスピードが競争力に直結する場合に有利です。
Q3: M&Aでよく失敗する要因は?
A3: 過大評価(バリュエーションミス)、不十分なデューデリジェンス、PMIの失敗(統合計画不足や文化対立)などが典型的です。
Q4: PMIとは何ですか?
A4: Post-Merger Integrationの略で、買収後に事業・組織・システム・文化を統合し、期待されるシナジーを現実の利益に変えるプロセスです。

関連キーワード: M&A、シナジー、買収、事業統合、PMI、デューデリジェンス、技術獲得、事業承継
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