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基本情報技術者 2010年 秋期 午前(科目A)50


問題文

組込みシステムの特許におけるライセンスに関する記述として、適切なものはどれか。

選択肢

新規開発した組込み製品のハードウェア部分だけが、他社の特許に抵触している場合、その部分のライセンスを得ないと権利侵害になる。(正解)
他社の特許がハードウェアとソフトウェアとの両方を権利範囲に含む場合、ハードウェア部分のライセンスを得れば、ソフトウェア部分は模倣して製品化できる。
ハードウェア部分の特許とソフトウェア部分の特許をそれぞれ異なる会社が保有している場合、ライセンスを得て製品化することはできない。
ハードウェア部分の特許のライセンスを得て、ソフトウェア部分だけは社内で独自に新規開発した場合、このソフトウェアを特許出願することはできない。

組込みシステムの特許におけるライセンス【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論: 製品の一部(ハードウェア)だけが他社特許に抵触する場合でも、その部分を利用する限りライセンスが必要で侵害となる。根拠: 特許権は実施行為(製造・使用・販売)を排他的に制限するため。差がつくポイント: 対象となる「請求項(クレーム)」を正確に分解して当該構成要素が含まれるか確認すること。
  • 結論: ハードウェアのライセンス取得でソフトウェアまで自由に模倣できるわけではない。根拠: ソフトウェアが独立した請求項で保護されていれば別個に権利侵害となる。差がつくポイント: ハード/ソフトの請求範囲が共通か独立かを判定し、方法請求やプログラム請求の有無を確認する。
  • 結論: 別会社がハードとソフトの特許を所有していても複数のライセンス取得やクロスライセンスで製品化は可能であり、独自開発で新規性があれば出願もあり得る。根拠: 特許権は個別の権利者に帰属するので合意次第で許諾される。差がつくポイント: FTO(権利侵害リスク調査)と交渉戦略を早期に行うこと。

正解の理由

正解:
アは、製品の一部(ハードウェア部分)のみが他社の特許請求の範囲に入っている場合、その部分を実施(製造・販売・使用)することは侵害行為に当たるため、当該特許の権利者からライセンスを取得しなければならない、という主張です。特許権は請求項で定められた発明に対する排他的権利であり、製品が請求項の要件を満たす限り侵害が成立します。したがって、製品全体ではなく一部の構成だけが請求項に該当していても、当該部分の実施は権利侵害となり、ライセンス取得が必要になります。

よくある誤解

  • ハードウェアのライセンスを取ればソフトウェアは自由に使えると思う誤解。実際はソフトウェア独自の特許があれば別途ライセンスが必要です。
  • 他社が別々の特許権を持っていると製品化できないと考える誤解。権利者との許諾交渉や複数ライセンス取得で解決可能です。
  • ライセンスを受けたら自社で作ったソフトウェアは特許出願できないと考える誤解。独自性や新規性・進歩性があれば出願は可能で、ライセンスはその可否に直接影響しません(契約で制限される場合を除く)。

解法ステップ

  1. 問題文で「どの部分が特許に抵触しているか」を明確にする(ハード/ソフトのどちらか、あるいは両方)。
  2. 各選択肢を「特許侵害の基本原則(請求項に該当するか、実施行為があるか)」に当てはめる。
  3. 「ライセンスを得ればどこまで自由になるか」「別権利者の存在がどう影響するか」を検討する(独立請求か従属請求かを意識)。
  4. 権利関係と契約可能性(複数ライセンスやクロスライセンス)を考慮して最も妥当な記述を選ぶ。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 新規開発した組込み製品のハードウェア部分だけが、他社の特許に抵触している場合、その部分のライセンスを得ないと権利侵害になる。
    正しい。特許請求の範囲に含まれる構成を実施する限り侵害となり、ライセンスが必要。
  • イ: 他社の特許がハードウェアとソフトウェアとの両方を権利範囲に含む場合、ハードウェア部分のライセンスを得れば、ソフトウェア部分は模倣して製品化できる。
    誤り。ソフトウェアが請求項に含まれていれば、ハードのライセンス取得だけではソフトの実施を正当化しない。ソフトに関する権利は別個に侵害判断される。
  • ウ: ハードウェア部分の特許とソフトウェア部分の特許をそれぞれ異なる会社が保有している場合、ライセンスを得て製品化することはできない。
    誤り。異なる権利者からそれぞれの権利許諾を得れば製品化は可能であり、必要ならクロスライセンスや権利調整により解決できる。
  • エ: ハードウェア部分の特許のライセンスを得て、ソフトウェア部分だけは社内で独自に新規開発した場合、このソフトウェアを特許出願することはできない。
    誤り。社内で新規かつ進歩性のある発明であれば特許出願は可能。ただし、既にライセンス契約で出願・権利行使を制限する条項がある場合は別。

補足コラム

  • 特許侵害の判断は「請求項(クレーム)」に基づくため、機能分解して当該構成要素が含まれるかを丁寧に検討することが重要です。
  • 組込みシステムでは「ハードウェア」「ファームウェア」「ソフトウェア」の区分が曖昧になりがちで、ファームウェアはソフトウェア寄りの請求になることが多い点に注意してください。
  • ライセンス形式は独占(exclusive)/非独占(non‑exclusive)、対象範囲(実施地域、用途)、ロイヤリティ、特許の維持期間など多岐に渡ります。早期のFTO調査と交渉がリスク低減につながります。

FAQ

Q1: ハードの特許を避けるために回避設計(design‑around)は有効ですか?
A1: 有効な場合が多いですが、請求項の範囲を超えていないか慎重に確認する必要があり、ドクトリン・オブ・エクイバレント(同等論)にも注意が必要です。
Q2: ソフトウェア特許はどのような場合に認められますか?
A2: 日本では「自然法則を利用した技術的思想の創作」であれば特許可能性があり、純粋な抽象的アルゴリズムだけでは難しい場合があります。
Q3: 複数の特許権者がいる場合の実務対応は?
A3: 個別にライセンス交渉、クロスライセンス、買収、あるいは設計変更で回避するなどの選択肢があります。早期にFTOと交渉戦略を立てるのが鍵です。

関連キーワード: 組込み、特許、ライセンス、FTO、クレーム、ソフトウェア特許、ハードウェア特許、クロスライセンス、回避設計
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