基本情報技術者 2010年 秋期 午前(科目A) 問65
問題文
利害関係者要件の確認において、定義された要件に対して、発生した変更要求の実装までの経過を明らかにできることを表すものはどれか。
選択肢
ア:インターオペラビリティ
イ:セキュリティ
ウ:トレーサビリティ(正解)
エ:ユーザビリティ
🔒 解説は解答すると表示されます
トレーサビリティ【午前解説】
正解の理由
トレーサビリティは、要求(利害関係者要件)から設計・実装・テストに至る一連の成果物や変更履歴をつながりとして把握できることを指します。設問が問う「変更要求が発生してから実装されるまでの経過を明らかにする」という性質に最も合致するため、選択肢の中ではウが正解です。具体的には、要求項目とそれに対応する設計項目、実装コード、テストケース、変更要求(チケット)やコミットとを関連付け、誰がいつどのように変更を行ったかを追跡できる状態を意味します。
解法ステップ
- 設問のキーワードを抽出する。今回なら「変更要求」「経過」「実装まで」「明らかにできる」などが該当する。
- 各選択肢の定義を頭の中で素早く照合する(相互運用性、セキュリティ、トレーサビリティ、ユーザビリティ)。
- 「過去から現在までのつながり・履歴を追う」性格を持つ概念を選ぶ。該当するのがトレーサビリティであることを確認する。
- 他の選択肢が問意にそぐわない理由(目的や対象が異なる)を確認して除外する。
選択肢別の誤答解説
-
ア: インターオペラビリティ(相互運用性)
システムやコンポーネント間でデータや機能をやり取りできる能力を指す。変更履歴や要求から実装までの追跡とは本質的に異なるため不適切です。 -
イ: セキュリティ
情報の機密性・完全性・可用性を守ることが目的であり、変更要求の経過を追跡して可視化することを指す概念ではありません。もちろんトレーサビリティの記録は監査やセキュリティ対応で役立ちますが、設問の主題ではないため誤答です。 -
ウ: トレーサビリティ
要件→設計→実装→テスト/保守までの関連付けと履歴管理により、「誰がいつどの要求をどのように実装したか」を明確にできるため正しい選択です。 -
エ: ユーザビリティ
利用者が使いやすいかどうか(操作性・理解性・効率性など)を指す概念で、変更要求の経過追跡とは無関係です。
よくある誤解
-
トレーサビリティ=バージョン管理と考える誤解
バージョン管理(例: git)は履歴を残す手段ですが、トレーサビリティは「どの要求に対してどの設計やコードやテストが対応しているか」を示す関連付けの概念です。両者は連携しますが同義ではありません。 -
トレーサビリティは後工程だけの話という誤解
要件段階からの前方追跡(Forward)と、実装から要求を遡る後方追跡(Backward)両方が重要です。どちらか一方だけでは不十分です。 -
トレーサビリティは大規模プロジェクト専用という誤解
プロジェクト規模に関わらず、要求変更への影響把握や品質保証のために適用価値があります。やり方は簡素化できます(小規模ならスプレッドシートとチケット連携など)。
補足コラム
実務ではトレーサビリティを確保するために次のような手段を組み合わせます。
- 要件トレーサビリティマトリクス(RTM)で要求IDと設計/テスト/チケット/コミットを紐付ける。
例(簡易): - 課題管理ツール(JIRA等)でチケットに要求IDを明記し、コミットメッセージやプルリクエストにチケットを参照させる運用。
例: git commit -m "REQ-001: 実装完了(TCK-001に対応)" - CI/CDパイプラインや自動テスト結果をチケットと関連付けて、テストの合否やデプロイ履歴も追跡可能にする。
これらを組み合わせることで、監査や影響分析、リグレッション対策が効率化されます。
FAQ
Q1: トレーサビリティがないと何が困るのですか?
A1: 変更要求の影響範囲が把握できず、誤った箇所を修正したりテストを漏らしたりするリスクが高まり、品質低下や納期遅延を招きます。
A1: 変更要求の影響範囲が把握できず、誤った箇所を修正したりテストを漏らしたりするリスクが高まり、品質低下や納期遅延を招きます。
Q2: アジャイル開発でもトレーサビリティは必要ですか?
A2: 必要です。アジャイルでは軽量化したトレーサビリティ(チケットとコミットの紐付けやストーリーマッピングなど)を取り入れるのが実務的です。
A2: 必要です。アジャイルでは軽量化したトレーサビリティ(チケットとコミットの紐付けやストーリーマッピングなど)を取り入れるのが実務的です。
Q3: トレーサビリティとログ(監査ログ)はどう違いますか?
A3: 監査ログは操作やイベントの記録(いつ誰が何をしたか)に焦点を当てます。トレーサビリティは成果物間の関連性(要求→設計→実装→テスト)を管理する点が主目的です。両者は相互補完的です。
A3: 監査ログは操作やイベントの記録(いつ誰が何をしたか)に焦点を当てます。トレーサビリティは成果物間の関連性(要求→設計→実装→テスト)を管理する点が主目的です。両者は相互補完的です。
関連キーワード: 要件管理, 変更管理, トレーサビリティマトリクス, 影響分析, 品質保証

\ せっかくなら /
基本情報技術者を
クイズ形式で学習しませんか?
クイズ画面へ遷移する→
すぐに利用可能!

