基本情報技術者 2010年 秋期 午前(科目A) 問79
問題文
A社がシステム開発を行うに当たり、外部業者B社を利用する場合の契約に関する記述のうち、適切なものはどれか。
選択肢
ア:委任契約ではB社に成果物の完成責任がないので、A社がB社の従業員に対して直接指揮命令権を行使する。
イ:請負契約によるシステム開発では、特に契約に定めない限り、開発されたプログラムの著作権はB社に帰属する。(正解)
ウ:請負契約、派遣契約によらず、いずれの場合のシステム開発でも、B社にはシステムの完成責任がある。
エ:派遣契約では、開発されたプログラムに重大な欠陥が発生した場合、B社に瑕疵担保責任がある。
A社がシステム開発で外部業者B社を利用する場合の契約に関する記述【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:請負契約のままでは、特に定めがなければ開発した側(受託者=B社)に著作権が帰属する扱いになる。
- 根拠:請負は「成果物の完成・引渡し」を目的とする契約で、成果の帰属や検収、瑕疵担保は契約で定められる点に基づく。
- 差がつくポイント:契約書で著作権の帰属、使用許諾、ソースコード引渡し、瑕疵担保期間を明確に定義することが合否を分ける。
正解の理由
正解は イ です。請負契約によるシステム開発では、契約で別段の定めをしない限り、成果物(プログラム)の著作権は開発側に帰属するのが一般的な取り扱いです。請負は成果物の完成責任や検収・瑕疵担保責任などの義務を受託者が負いますが、著作権(著作者人格権・著作権そのもの)の帰属は別途契約で定める必要があります。したがって、著作権を発注者(A社)に移転したい場合は譲渡契約や包括的使用許諾を契約書に明記する必要があります。
よくある誤解
- 「委任だから指揮命令できる」:委任は業務遂行を委託する契約で、受任者(B社)の従業員に対して発注者が直接指揮命令する権限は原則ありません。
- 「派遣でもB社に完成責任がある」:派遣は労働者の提供であり、業務遂行の指揮命令権は派遣先(A社)にあります。成果責任の所在は契約の内容と指揮関係で変わります。
- 「派遣なら瑕疵担保責任がある」:瑕疵担保責任は成果物の引渡しを伴う請負で明確に想定されるもので、派遣契約では通常の位置づけとは異なります。
解法ステップ
- 各契約種別(請負、委任、派遣)の定義と特徴を頭に入れる。
- 各選択肢で問われている権限(指揮命令)、成果責任、著作権、瑕疵担保のどれに該当するかを判定する。
- 契約の「原則」を基準に、選択肢が法的・契約実務上の原則に合致するかを検証する。
- 明らかに契約内容で変更可能な事項(著作権の帰属など)は「原則=契約で定める」として判断する。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 「委任契約ではB社に成果物の完成責任がないので、A社がB社の従業員に対して直接指揮命令権を行使する。」
解説:委任(または準委任)は業務遂行を依頼するもので、受任者側の業務執行は受任者の裁量に属します。A社がB社の従業員に直接指揮命令することは原則できません。よって誤りです。 -
イ: (正解)「請負契約によるシステム開発では、特に契約に定めない限り、開発されたプログラムの著作権はB社に帰属する。」
解説:請負は成果物の完成を目的とするため、著作権や使用権の扱いは契約で明確化しなければ受託者側に帰属する扱いとなることが一般的であり、選択肢は妥当です。 -
ウ: 「請負契約、派遣契約によらず、いずれの場合のシステム開発でも、B社にはシステムの完成責任がある。」
解説:派遣契約は労働者の提供であり、業務の指揮命令は派遣先にあります。完成責任が常にB社にあるとは言えません。よって誤りです。 -
エ: 「派遣契約では、開発されたプログラムに重大な欠陥が発生した場合、B社に瑕疵担保責任がある。」
解説:瑕疵担保責任は請負での成果物引渡しに典型的に適用される概念です。派遣は人員提供が主目的であり、瑕疵担保責任を自動的に負うとは限りません。従って誤りです。
補足コラム
- 実務上の注意点:発注者がソースコードや著作権を確実に取得したい場合は、著作権譲渡条項、使用許諾(独占的か非独占的か)、第三者提供禁止、ソースコードのエスクロー/引渡し、検収基準・瑕疵担保期間を契約書に明記します。
- 「職務著作」の概念:従業員が職務として作成した著作物は会社(使用者)に帰属する場合があります。受託開発で作成者がB社の従業員であれば、会社側(B社)に著作権が帰属することが実務上多い点も押さえておきましょう。
- 紛争回避のための条項例:著作権帰属の明示、ソースコード納入条件、保守/瑕疵対応の責任範囲、損害賠償上限、検収プロセス。
FAQ
Q1: 発注者が著作権を欲しいときどうすればよいですか?
A1: 契約書で著作権譲渡、または十分な範囲の独占的使用許諾を明記し、対価や範囲を定めて合意します。
A1: 契約書で著作権譲渡、または十分な範囲の独占的使用許諾を明記し、対価や範囲を定めて合意します。
Q2: 派遣で作った成果物の権利は誰にある?
A2: 派遣は人員提供が主であり、成果物の権利は契約や指揮命令の実態、作成者の雇用関係等に依存します。契約で明確化が必要です。
A2: 派遣は人員提供が主であり、成果物の権利は契約や指揮命令の実態、作成者の雇用関係等に依存します。契約で明確化が必要です。
Q3: 瑕疵担保と保証はどう違う?
A3: 瑕疵担保は引渡した成果物に瑕疵があった場合の修補・責任追及に関する民法上の概念で、保証は契約で定める追加的な約束(性能保証など)です。契約で期間や範囲を定めておくことが重要です。
A3: 瑕疵担保は引渡した成果物に瑕疵があった場合の修補・責任追及に関する民法上の概念で、保証は契約で定める追加的な約束(性能保証など)です。契約で期間や範囲を定めておくことが重要です。
関連キーワード: 請負契約、委任契約、派遣契約、著作権、瑕疵担保責任、成果物、ソースコード、検収、契約書、エスクロー、使用許諾

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