基本情報技術者 2011年 秋期 午前(科目A) 問74
問題文
MRP(Material Requirements Planning)システムを導入すると改善が期待できる場面はどれか。
選択肢
ア:図面情報が電子ファイルと紙媒体の両方で管理されていて、設計変更履歴が正しく把握できない。
イ:製造に必要な資材及びその必要量に関する情報が複雑で、発注量の算出を誤りやすく、生産に支障を来している。(正解)
ウ:設計変更が多くて、生産効率が上がらない。
エ:多品種少量生産を行っているので、生産設備の導入費用が増加している。
MRP(Material Requirements Planning)システムを導入すると改善が期待できる場面はどれか。【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:正解は イ。MRPはBOMと生産計画を基に資材の所要量と発注を自動算出して欠品や過剰発注を減らします。
- 根拠:選択肢イは「資材の必要量が複雑で発注量算出を誤りやすい」点を述べ、これはMRPの主要課題であるため適合します。
- 差がつくポイント:MRPの効果はBOM・在庫・リードタイムのデータ精度に依存するため、データ整備と運用ルールが合否を分けます。
正解の理由
MRPは「マスター生産計画(MPS)」「部品表(BOM)」「在庫データ」「所要量計算」「発注計画」を使って、階層的に部品・資材の必要量を算出し計画発注を作成します。選択肢イが示すように、資材の必要量が複雑で発注量を誤りやすい状況は、まさにMRPが改善する課題です。MRPにより総需要の展開(BOM爆発)とリードタイムを考慮した正確な発注計画が可能になります。
よくある誤解
- MRPを入れればすべての欠品や在庫過多が一気に解消する:データ精度と運用が整って初めて効果が出ます。
- 設計変更や図面管理の問題もMRPで直接解決できる:設計変更管理はPDM/PLMが主担当で、MRPは改版後のBOMを参照するに過ぎません。
- MRPは設備投資や生産設備の導入コストを下げる:MRPは資材計画であり、CAPEX削減を直接目的としません。
解法ステップ
- 問題文で「資材」「必要量」「発注量」「算出」「生産に支障」などキーワードを探す。
- MRPの機能(BOM爆発、所要量計算、発注計画、リードタイム考慮)と照合する。
- 各選択肢を別システムや別プロセス(文書管理、設計変更管理、設備投資)に当てはめて除外する。
- MRPが最も直接対応するものを選ぶ。
選択肢別の誤答解説
- ア: 図面情報が電子ファイルと紙媒体で管理され設計変更履歴が把握できない問題は、PDM/PLMや文書管理システムで解消するべきで、MRPの対象ではありません。
- イ: 正解。資材の必要量や発注量の算出ミスはMRPの代表的な適用領域で、BOMとMPSから所要量を自動計算し計画発注を出します。具体的には総需要(Gross Requirement)から在庫や予定受入を差し引いて純必要量を算出します。例:
- ウ: 設計変更が多いことで生産効率が下がる問題は設計・工程管理や変更管理の改善が必要で、MRPはBOM更新後の資材計画を支援するに留まります。
- エ: 多品種少量生産で設備導入費が増加している事象は生産戦略や設備投資判断の問題であり、MRPは資材発注計画には有効でも設備導入費自体を下げる仕組みではありません。
補足コラム
MRPは単体で動く場合(MRP I)と製造全体の能力計画やコスト管理まで包含するMRP II、さらに会計や販売を含むERPへと広がります。MRPで成果を出すための鍵は次の3点です:正確なBOM、実在庫と予定受入の正確な記録、現実的なリードタイム。ロットサイズ制御(LFL, FOQ, POQなど)や安全在庫ルールも運用設計で重要です。
簡単な所要量計算例:製品1台に部品Xが10個必要で、MPSが100台の場合、総需要は1000個。手持在庫200、予定受入100なら、
この700個をリードタイムやロットサイズに応じて発注計画に落とします。
FAQ
Q1: MRPを入れれば在庫は必ず減りますか?
A1: 初期導入ではアルゴリズムや安全在庫設定次第で一時的に在庫が増えることもあります。データ整備後に最適化が進み減少するケースが多いです。
A1: 初期導入ではアルゴリズムや安全在庫設定次第で一時的に在庫が増えることもあります。データ整備後に最適化が進み減少するケースが多いです。
Q2: 設計変更が多い場合、MRPは無意味ですか?
A2: 無意味ではありませんが、BOM改訂の運用整備(変更通知、版管理)が前提です。設計変更管理(ECO)と連携することが重要です。
A2: 無意味ではありませんが、BOM改訂の運用整備(変更通知、版管理)が前提です。設計変更管理(ECO)と連携することが重要です。
Q3: MRPとJITの違いは?
A3: MRPは需要予測と計画に基づくプッシュ型で、BOM爆発で部品を手配します。一方JITは必要時に必要量を引くプル型で在庫最小化を目指します。業務環境に応じて使い分けや併用が行われます。
A3: MRPは需要予測と計画に基づくプッシュ型で、BOM爆発で部品を手配します。一方JITは必要時に必要量を引くプル型で在庫最小化を目指します。業務環境に応じて使い分けや併用が行われます。
関連キーワード: MRP、BOM、所要量計算、在庫管理、マスター生産計画、リードタイム、ロットサイズ、発注計画、安全在庫、MRP II

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