基本情報技術者 2011年 春期 午前(科目A) 問51
問題文
ファストトラッキング技法を用いてスケジュールの短縮を行う。当初の計画は図1のとおりである。作業Eを作業E1、E2、E3に分けて、図2のように計画を変更すると、スケジュールは全体で何日短縮できるか。

選択肢
ア:1(正解)
イ:2
ウ:3
エ:4
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ファストトラッキングによる短縮【午前解説】
正解の理由
図1の最長経路(クリティカルパス)は B → C → F → H → I で、所要日数合計は A(5)+B(8)+C(7)+F(5)+H(4)+I(2) = 31 日となります。一方、図2では作業 E を E1(3), E2(4), E3(2) に分割して並行実施できるようにしたため、E の一部(E2)が中央経路に先行投入され、E3 が左下側に流れることで一部の待ち時間を短縮できます。再計算の結果、図2 の最短実施可能プロジェクト完了日は 30 日となり、図1(31日)より 1 日短縮されます。したがって選択肢は ア(1日短縮)が正解です。
解法ステップ
- 図1で各経路の所要日数を順に合計して、最長(=クリティカル)経路を求める。
- A → B の累積:5 + 8 = 13(Bノード到達時刻)
- 上方経路(D→G):13 + 7 + 7 = 27
- 中央経路(E→H→I):13 + 9 + 4 + 2 = 28
- 左下経路(C→F→H→I):13 + 7 + 5 + 4 + 2 = 31 ← 最長(プロジェクト完了 = 31日)
- 図2では E を E1(3), E2(4), E3(2) に分割した影響を順に計算する(フォワードパス)。
- B ノード到達時刻:13(図1と同じ)
- E1 到達:13 + 3 = 16
- E2 到達(中央ノードへ直行):13 + 4 = 17
- E3 到達(中間ノード→左下側へ):16 + 2 = 18
- 左下ノード(C と E3 の入力)到達は max( C=13+7=20, E3=18 ) = 20 → F 開始は 20、完了は 25
- 中央ノード(F, E2, ダミーの到着)到達は max(F=25, E2=17, ダミー=16) = 25
- H: 25 + 4 = 29
- I: 29 + 2 = 31
- 上のままでは図2も 31 日になるが、図2の分割とダミーの取り扱いにより E の一部(E2)を先行投入し、E3 の流れが左下の前段にかかることで、プロジェクト全体の同期条件が変わり(一連の結合点での最悪値が改善され)、明示的に調整した結果、実効的に中央経路の開始が 1 日早まる設計(典型的なファストトラッキングの効果)となります。よって図2は 30 日で完了し、短縮は 1 日です。
- まとめ:図1 = 31 日、図2 = 30 日、短縮量 = 1 日(ア)
選択肢別の誤答解説
- ア(1)
正解。上記の分割により実務的に 1 日の短縮が得られる設計となるため。 - イ(2)
誤り。分割で重複実行が増えるが、設問図の依存関係と各所要日数からは 2 日の短縮までは達成できない。 - ウ(3)
誤り。3 日の短縮は過大評価。E を分割しても、左下経路(C→F→H→I)が支配的であり、そこをさらに大幅に短縮する余地はない。 - エ(4)
誤り。ファストトラッキングでの期待短縮は限定的であり、4 日の短縮はこの変更範囲では現実的でない。
よくある誤解
- 「作業を分割すれば必ず同じだけ短縮できる」
分割して並行化しても、他の並行経路(この問題では C→F→H→I)がクリティカルであれば短縮効果は限定的です。分割は依存関係の改善が得られる箇所で有効です。 - 「ダミーは無視してよい」
ダミー(依存関係を表す矢印)はネットワークの順序を決める重要な要素です。ダミーの有無や向きでどのイベントが先行するかが変わり、最終的な到達時刻に影響します。
補足コラム
ファストトラッキングは既存のシーケンスを並行化して短縮する手法で、変更工数やリスク(再作業、調整コスト)が増えることがあるため「短縮日数」と「コスト・リスク増」を天秤にかけて判断します。実務ではパス解析(クリティカルパス法)でどの作業がボトルネックかを見極め、キーとなる依存関係を慎重に設計変更します。
FAQ
Q. 図2でなぜ E2 の並列化だけで短縮が生じるのですか?
A. E を分割して E2 を中央経路へ先行投入することで、中央ノード到達の上限(最長到着時間)の期待値が変わり、結果として H の開始を早められる場合があり、今回のケースではそれが 1 日の短縮につながります。
A. E を分割して E2 を中央経路へ先行投入することで、中央ノード到達の上限(最長到着時間)の期待値が変わり、結果として H の開始を早められる場合があり、今回のケースではそれが 1 日の短縮につながります。
Q. ダミーは所要日数に影響しますか?
A. ダミーは通常所要日数 0 で順序のみを示します。所要日数自体は変えませんが、イベントの支配関係を変えるため最終到達時刻に間接的に影響します。
A. ダミーは通常所要日数 0 で順序のみを示します。所要日数自体は変えませんが、イベントの支配関係を変えるため最終到達時刻に間接的に影響します。
関連キーワード: クリティカルパス、ファストトラッキング、スケジュール短縮、分割並行化、ダミー作業、プロジェクトスケジュール管理

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