基本情報技術者 2012年 秋期 午前(科目A) 問58
問題文
リスクアセスメントに基づく監査対象の選定として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:運用開始時期の順に、全てのシステムを対象とする。
イ:監査実施体制を踏まえて、実施可能なシステムを対象とする。
ウ:無作為に抽出したシステムを対象とする。
エ:問題発生の可能性とその影響の大きなシステムを対象とする。(正解)
リスクアセスメントに基づく監査対象の選定【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論: 監査対象は、リスクアセスメントに基づき「問題発生の可能性」と「影響の大きさ」が高いシステムを優先して選定すべきです。
- 根拠: 有限の監査資源を最も重大なリスクに集中させることで、組織全体のリスク低減効果と監査効率が最大化されます。
- 差がつくポイント: 無作為抽出や稼働順序ではなく、発生確率と影響度の積(リスク値)で優先順位を付けることを理解しているかが合否を分けます。
正解の理由
正解は エ です。リスクアセスメントに基づく監査対象の選定とは、潜在的な問題(事象)が発生する可能性と、その発生時の影響度を評価し、リスクの高い領域に監査リソースを集中させることを意味します。選択肢エは「問題発生の可能性とその影響の大きなシステムを対象」と明示しており、リスクベースドアプローチの定義に一致します。
よくある誤解
- 「無作為抽出=公平」は誤り:無作為抽出は統計的評価や抽出の公正性には有効ですが、リスクが偏在する監査では重要なリスクを見逃す可能性があります。
- 「稼働順や実施可能性を優先」は誤り:監査計画で実務上の制約を考慮することは必要ですが、優先順位の基本はリスク評価であり、これを理由に重要システムを後回しにしてはいけません。
解法ステップ
- 問題文のキーワードを確認:「リスクアセスメントに基づく」→リスクベースの選定を意味する。
- 各選択肢とリスクベースの定義を照合する:「発生可能性」「影響度」「優先度」などが含まれているかをチェック。
- 実務的な観点で除外:稼働順や実施可能性、無作為抽出はリスクベースの優先順位決定には該当しないと判断する。
- 正答を決定:リスクの発生確率と影響度を基準にした選択肢を選ぶ。
選択肢別の誤答解説
- ア: 運用開始時期の順に、全てのシステムを対象とする。
問題点:運用開始時期で並べることはリスク評価とは無関係で、重要度の高いものを優先できません。全てを対象にするのは現実的でなく効率的でもありません。 - イ: 監査実施体制を踏まえて、実施可能なシステムを対象とする。
問題点:実施可能性は計画上の制約として考慮する項目ですが、監査対象の「優先順位基準」そのものにはなりません。リスクが高い対象を優先する原則と異なります。 - ウ: 無作為に抽出したシステムを対象とする。
問題点:無作為抽出はサンプリング手法として有効な場面がありますが、リスクが偏在している場合は重要リスクを見落とすリスクがあります。リスクベースド監査の観点では不適切です。 - エ: 問題発生の可能性とその影響の大きなシステムを対象とする。
解説:リスクアセスメントの基本(発生確率×影響度)に基づいて監査対象を選定する点で正解です。限られた監査資源を有効配分できます。
補足コラム
リスクベースド監査は、内部監査の国際標準や多くのガイドライン(例:ISO 31000のリスクマネジメント原則)にも準拠する考え方です。具体的にはリスクマトリクスを用いて発生確率と影響度を定量または定性的に評価し、スコアリングした上で監査の対象・頻度・深度を決めます。監査計画では、リスク評価に加えて法令要件や経営上の重要事項、過去の不備履歴も考慮しますが、優先順位付けの中核は常にリスク評価です。
FAQ
Q: リスクが低いシステムは監査しなくて良いですか?
A: いいえ。リスクが低くても一定の監査頻度は必要ですが、監査の深度や頻度を下げるなど資源配分を調整します。全く実施しないのは避けるべきです。
A: いいえ。リスクが低くても一定の監査頻度は必要ですが、監査の深度や頻度を下げるなど資源配分を調整します。全く実施しないのは避けるべきです。
Q: 無作為抽出はまったく使わない方が良いですか?
A: 使い分けが重要です。統制の有効性を総体的に評価する場面や統計的サンプリングが適切な場面では有効ですが、重要リスクの特定と優先対応が必要な監査計画立案には補助手段に留めます。
A: 使い分けが重要です。統制の有効性を総体的に評価する場面や統計的サンプリングが適切な場面では有効ですが、重要リスクの特定と優先対応が必要な監査計画立案には補助手段に留めます。
Q: 実施可能性が低い重要リスクはどう扱うべきですか?
A: 実施可能性の制約は計画調整の理由になりますが、代替手段(例えば限定的なレビュー、データ分析、外部リソースの活用)を検討し、重要リスクを見捨てない対応が必要です。
A: 実施可能性の制約は計画調整の理由になりますが、代替手段(例えば限定的なレビュー、データ分析、外部リソースの活用)を検討し、重要リスクを見捨てない対応が必要です。
関連キーワード: リスクアセスメント、監査対象選定、リスクベースド監査、リスクマネジメント、リスクマトリクス、内部監査、優先順位付け、ISO31000、監査計画、サンプリング

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