基本情報技術者 2012年 春期 午前(科目A) 問56
問題文
複数の業務システムがある場合のアクセス管理の方法のうち、最も適切なものはどれか。
選択肢
ア:業務の担当変更に迅速に対応するために、業務グループごとに共通の利用者IDを使用する。
イ:人事異動が頻繁に発生する場合には、年初にまとめてアクセス権限の変更を行う。
ウ:新入社員の名簿に基づいて、あらかじめ全業務システムに全員の利用者登録を実施しておく。
エ:利用者の職位にかかわらず、業務システムごとに役割に応じて適切なアクセス権限の設定を行う。(正解)
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業務システムのアクセス権管理【午前解説】
正解の理由
選択肢の中で最も適切なのは、業務システムごとに役割に応じて適切なアクセス権限を設定する(エ)です。理由は以下の通りです。
- 最小権限の原則(least privilege)を実現でき、利用者が業務遂行に必要な最小限の権限のみを持つように設計できるため、被害範囲を限定できます。
- 利用者ごとに固有のIDと権限を割り当てることで、操作ログと責任の対応付け(アカウンタビリティ)が可能になり、インシデント対応や監査に強くなります。
- 業務ごとに必要な役割は異なるため、システム毎にきめ細かい権限設計(RBACやABAC等)を行うことで分離性と運用効率を高められます。
解法ステップ
- 業務・システムごとに必要な役割(ロール)と、その役割が必要とする最小限の権限を定義する。
- 利用者ごとに固有のIDを割当て、IDとロールを紐づけて権限を付与する(RBACが基本)。
- 人事情報と連携してライフサイクル(入社、異動、退職)に応じたプロビジョニング/デプロビジョニングを自動化する。
- 定期的なアクセス権レビューとログによる監査を実施し、必要に応じて修正する。
- シングルサインオンやフェデレーションを導入しつつ、認可はシステム毎の役割に基づいて行う。
選択肢別の誤答解説
- ア: 業務グループごとに共通の利用者IDを使用する。
- 問題点:共通IDは誰が何を行ったかの追跡ができず、責任の所在が不明確になります。権限管理と監査性で大きく劣るため不適切です。
- イ: 年初にまとめてアクセス権限の変更を行う。
- 問題点:人事異動や退職は随時発生するため、最小権限維持の観点からはタイムリーな変更が必要です。定期一括では過剰権限や未削除アカウントが残ります。
- ウ: 新入社員の名簿に基づいて全業務システムに全員登録する。
- 問題点:全員を事前登録すると不要な権限や攻撃対象が増え、管理負荷やセキュリティリスクが増大します。必要時に限定して登録・付与するべきです。
- エ: 利用者の職位にかかわらず、業務システムごとに役割に応じて適切なアクセス権限の設定を行う。
- 理由:最小権限と責任の明確化、システム固有の要件対応が可能で総合的に最も適切です。
よくある誤解
- 共通IDで管理すれば運用が楽になるという誤解:共有IDは誰が何をしたか追跡できず不正検出や責任追及が困難になります。
- 年に一度の一括変更で十分という誤解:人事異動や退職は随時発生するため、タイムラグで不要権限が残りリスクが高まります。
- 事前に全員を登録しておけば即戦力になるという誤解:不要なアカウントは攻撃対象や誤使用の原因となるため、原則として必要時に最小限登録・権限付与すべきです。
補足コラム
現代の実務では「役割に基づくアクセス制御(RBAC)」が基本ですが、条件や属性(部署、時間帯、拠点など)を組み合わせる「属性ベースのアクセス制御(ABAC)」や、ID管理を集中化する「アイデンティティ・アクセス管理(IAM)」の導入が効果的です。特にクラウドやSaaSを多用する環境では、SSOやプロビジョニングの自動化、権限の定期的なレビューとアンタイチビティ(分離)を仕組み化することが重要です。
FAQ
Q1: 役割(ロール)と職位は同じですか?
A1: いいえ。同じではありません。職位は組織の地位を示し、ロールは業務に必要な権限セットです。職位に応じたロール割当はあり得ますが、権限は業務に基づいて決めるべきです。
A1: いいえ。同じではありません。職位は組織の地位を示し、ロールは業務に必要な権限セットです。職位に応じたロール割当はあり得ますが、権限は業務に基づいて決めるべきです。
Q2: 小規模組織でも個別IDで問題ありませんか?
A2: はい。小規模でも個別IDと最小権限を採ることでインシデント発生時の影響を限定でき、監査対応も容易になります。
A2: はい。小規模でも個別IDと最小権限を採ることでインシデント発生時の影響を限定でき、監査対応も容易になります。
Q3: 共通IDがどうしても必要な場面はありますか?
A3: 保守用の共有アカウントが例外的に要求されることはありますが、その場合は使用制限、非常時のみの利用、厳格なログ記録やパスワード管理でリスクを低減する必要があります。
A3: 保守用の共有アカウントが例外的に要求されることはありますが、その場合は使用制限、非常時のみの利用、厳格なログ記録やパスワード管理でリスクを低減する必要があります。
Q4: どの頻度でアクセス権を見直すべきですか?
A4: 重要度に応じて異なりますが、最低でも四半期ごとのレビューと、人事イベント発生時の即時見直しを推奨します。
A4: 重要度に応じて異なりますが、最低でも四半期ごとのレビューと、人事イベント発生時の即時見直しを推奨します。
関連キーワード: アクセス管理、最小権限、RBAC、ABAC、IAM、シングルサインオン、アカウント管理、権限プロビジョニング、監査ログ、責任追跡

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