基本情報技術者 2014年 春期 午前(科目A) 問38
問題文
ICカードとPINを用いた利用者認証における適切な運用はどれか。
選択肢
ア:ICカードによって個々の利用者を識別できるので、管理負荷を軽減するために全利用者に共通のPINを設定する。
イ:ICカードの表面に刻印してある数字情報を組み合わせて、PINを設定する。
ウ:ICカード紛失時には、新たなICカードを発行し、PINを再設定した後で、紛失したICカードの失効処理を行う。
エ:ICカードを配送する場合には、PINを同封せず、別経路で利用者に知らせる。(正解)
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ICカードとPIN運用管理【午前解説】
正解の理由
正解は エ です。ICカード(所有要素)とPIN(知識要素)を組み合わせた認証では、両者が同一の配送経路で第三者に取得されると認証の安全性が失われます。したがってカードを郵送する際にPINを同封せず、別経路(別便、電話、暗号化された専用メール、あるいは利用者自身が到着後に設定する方式)で伝えるのが適切です。これにより同一の窃取で認証情報が完全に漏えいするリスクを低減できます。
解法ステップ
- 問題文で「ICカードとPINの運用」=「二要素認証(所有+知識)」と認識する。
- 各選択肢がセキュリティ原則(最小権限、分離(separation of duties/paths)、早期失効)に合致するか評価する。
- 同一経路で両情報が漏れる選択肢を不適切と判定し、分離を主張するものを選ぶ。
選択肢別の誤答解説
- ア: ICカードによって個々の利用者を識別できるので、管理負荷を軽減するために全利用者に共通のPINを設定する。
理由:共通PINはセキュリティを大幅に低下させ、個人責任の追跡や不正検出が不可能になります。管理負荷軽減のためにセキュリティを犠牲にするのは誤りです。 - イ: ICカードの表面に刻印してある数字情報を組み合わせて、PINを設定する。
理由:カード表面の情報は容易に閲覧・複写でき、予測されやすいため強固なPINの基準を満たしません。PINは秘密情報である必要があります。 - ウ: ICカード紛失時には、新たなICカードを発行し、PINを再設定した後で、紛失したICカードの失効処理を行う。
理由:紛失が発覚した時点で速やかな失効が必要です。先に新カードを発行したり再設定を行ってから失効するのは、紛失カードが引き続き悪用される可能性を残します。 - エ: ICカードを配送する場合には、PINを同封せず、別経路で利用者に知らせる。
理由:カードとPINを別経路で伝達することで、配送過程で両方が同時に盗まれるリスクを低減し、二要素認証の有効性を保ちます。
よくある誤解
- 「全員共通PINで管理負荷を下げれば良い」は誤りです。共通PINは単一ポイント故障(全利用者が同時に侵害)を招き、責任追跡も不能になります。
- 「カード表面の刻印を利用してPIN設定すれば安全」は誤りです。刻印はカードを見れば分かり、簡単に推測・コピーされます。
- 「紛失カードは新カード発行後に失効すればよい」は誤りです。紛失が判明した時点で速やかに失効(無効化)し、被害拡大を抑えるべきです。
補足コラム
- 初期PINの扱い:初期PINは「到着後に利用者自身が変更する」か、「別便で通知して初回ログイン時に強制変更させる」方式が望ましいです。初期値を推測されにくくするため、ランダム生成+短期間経過での強制変更が推奨されます。
- PIN配送の実務例:カードは郵送、PINは別便封書かSMSや認証アプリで一時パスワードを送る。送信チャネルも認証(配送先確認や予備情報)を行うと更に安全です。
- ログと失効:紛失通報時に即時失効(カード番号の無効化)できる体制、及び不正利用の痕跡を追跡できるログを整備しておくことが重要です。
FAQ
Q1: カードとPINを別送しても、どちらも郵便で届く場合は意味がありますか?
A1: 同一ルートでも別送は同時窃取の確率を下げますが、最も安全なのは配送方法やチャネルそのものを分けることです(別便+別経路/SMS等)。
A1: 同一ルートでも別送は同時窃取の確率を下げますが、最も安全なのは配送方法やチャネルそのものを分けることです(別便+別経路/SMS等)。
Q2: PINをユーザ自身に設定させる方式は安全ですか?
A2: 初回設定をユーザに任せるのは良い方法ですが、弱いPINを防ぐために複雑さルールや強制変更、辞書攻撃対策が必要です。
A2: 初回設定をユーザに任せるのは良い方法ですが、弱いPINを防ぐために複雑さルールや強制変更、辞書攻撃対策が必要です。
Q3: 紛失時の手順で最優先は何ですか?
A3: 速やかな失効(無効化)と利用停止、続いて新カード発行と利用者通知、最後に原因分析と再発防止策の実施です。
A3: 速やかな失効(無効化)と利用停止、続いて新カード発行と利用者通知、最後に原因分析と再発防止策の実施です。
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