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基本情報技術者 2015年 秋期 午前(科目A)04


問題文

アナログ電圧をディジタル化した後に演算処理することの利点として、適切なものはどれか。

選択肢

アナログからディジタルへの変換では誤差が発生しない。
演算結果が部品精度、温度変化及び外来雑音の影響を受けにくい。(正解)
数値演算において丸め誤差が発生することはない。
電圧が変化してから演算結果を得るまでの遅延時間が発生しない。

アナログ電圧をディジタル化した後に演算処理することの利点【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:アナログをディジタル化して演算することで、演算結果は外来雑音や温度変化、部品ばらつきの影響を受けにくくなります。
  • 根拠:一度離散値(デジタル値)に変換すれば、以降の演算はビット列上で行われ、アナログ経路の変動が直接伝播しません。
  • 差がつくポイント:量子化誤差や丸め誤差、変換遅延は留意点であり、それらと「外来雑音や温度影響」とを混同しないことが重要です。

正解の理由

正解は です。アナログ信号をA/D変換してディジタルデータにすると、以降の演算はデジタル回路やソフトウェア上で固定ビット長のデータとして処理されます。したがって、部品精度や温度変化によるアナログ回路のドリフト、外来のアナログ雑音はA/D変換後のデジタル演算結果に直接影響しにくくなります(影響は主にA/D変換前に限定され、A/D以降は再現性のある数値処理になります)。これが設問で問われる「利点」に該当します。

よくある誤解

  • 「A/D変換では誤差が発生しない」:A/D変換では量子化誤差やサンプリング誤差、直線性誤差が発生します。完全無誤差ではありません。
  • 「数値演算で丸め誤差が発生しない」:固定ビット長や浮動小数点演算では丸め誤差やオーバーフローが起こり得ます。
  • 「遅延が発生しない」:サンプリング時間、A/D変換時間、演算処理時間などにより遅延は必ず発生します。

解法ステップ

  1. 各選択肢が述べている事柄を「A/D変換前」「A/D変換時」「A/D変換後(ディジタル演算)」のどこに関連するかに分類する。
  2. 実際の電子・計測系で起きる代表的な誤差(量子化誤差、雑音、温度ドリフト、丸め誤差、遅延)を思い出す。
  3. 「影響を受けにくい」ことが当てはまるかを考え、選択肢を潰していく。
  4. 最終的に「外来雑音や温度変化、部品精度の影響を受けにくい」を満たす選択肢を選ぶ。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 誤り。A/D変換には量子化誤差、ADCの非直線性、サンプリングジッタなどの誤差が存在します。
  • : 正解。A/D変換後はデジタル値で演算するため、以降の演算はアナログ雑音や温度ドリフトの影響を直接受けにくくなります。
  • ウ: 誤り。ディジタル数値演算でも丸め誤差や表現範囲による切り捨て・切り上げが発生することがあります(特に固定長・浮動小数点)。
  • エ: 誤り。A/D変換と処理にはサンプリング周期や変換時間、演算時間が必要であり、遅延は避けられません。

補足コラム

A/D変換に伴う主要な点は以下の通りです。量子化ステップ幅を とすると、理想量子化器の平均二乗誤差(等方性雑音モデル)は で表されます。分解能 ビット、入力振幅範囲 のとき です。SNRの目安は で評価できます。実務では、量子化ノイズを低減するにはビット数を増やす、平均化やオーバーサンプリング、ΔΣ(デルタシグマ)方式の採用など手法があります。一方でデジタル化によって得られる利点は、フィルタ設計の柔軟性、再現性、ノイズ耐性の向上、アルゴリズムによる補正が可能な点です。
小さなシミュレーション例(量子化のイメージ):
import numpy as np
x = np.linspace(-1,1,1000)
N=8
Vfs=2
delta = Vfs/(2**N)
q = np.round(x/delta)*delta
mse = np.mean((x-q)**2)
print(f"量子化ステップ {delta:.6f}, MSE {mse:.6e}")

FAQ

Q: ディジタル化すれば雑音は完全になくなりますか?
A: いいえ。A/D変換以前に存在するアナログ雑音やジッタはデジタル値に取り込まれますが、A/D以降の演算は外来アナログ雑音に直接左右されにくくなります。また量子化誤差やA/Dの固有ノイズは残ります。
Q: 丸め誤差は無視してよいですか?
A: システム要求精度によります。高精度が必要な場合はビット幅の確保、固定小数点/浮動小数点の適切な選択、誤差伝搬解析が必要です。
Q: 遅延はどのくらい影響しますか?
A: サンプリング周期、ADCの変換時間、処理時間の合計が遅延になります。リアルタイム性が重要な応用ではこれらを短縮・最適化する必要があります。

関連キーワード: ADC, A/D変換, 量子化誤差, ディジタル信号処理, サンプリング定理, 雑音耐性, ΔΣ変換, SAR ADC, 丸め誤差, レイテンシ
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