基本情報技術者 2015年 春期 午後 問05
営業支援システムに関する次の記述を読んで、設問1,2に答えよ。
生命保険会社のE社は、保険の新規契約の手続業務、既契約の保全手続業務(顧客の住所の変更、及び契約の解約)をサポートする営業社員のためのシステム(以下、営業支援システムという)を開発することになった。
営業支援システムは、新規契約の申込受付、既契約の保全手続受付、及び帳票出力の機能から成る。営業支援システムの各機能の要件を次に、E-R図を図1に、機能階層図を図2に示す。
〔新規契約の申込受付機能の要件〕
顧客が新規に生命保険契約を締結するときは、生命保険契約の申込書に所定の内容を記入する。この申込書に記入された内容から、当該契約を担当するE社の営業社員が、必要な情報を営業支援システムに登録する。
(1) 契約情報登録
契約情報を登録する。登録時に、契約ごとに一意な契約番号を付与する。
(2) 契約担当情報登録
当該契約の契約担当情報を登録する。契約はE社に在籍する営業社員が担当し、主担当と副担当の2人になることもある。
(3) 顧客情報登録・更新
営業支援システムは、顧客1人の情報は1レコードで管理する。しかし、複数の契約と関係する顧客については、1人の顧客を複数の異なる顧客情報で管理してしまう場合がある。その例を、表1に示す。

営業支援システムでは、顧客情報を一元管理するために、新規契約の申込受付時、顧客の住所の変更受付時に、“顧客氏名”、“生年月日”、“性別”、“住所”を比較項目(以下、名寄せ項目という)として、全ての名寄せ項目が同一である顧客情報が既に登録されているかどうかを調べることにしている。
新規契約の申込受付時の要件は次のとおりである。
① 当該契約の契約者、被保険者及び受取人の3名を顧客として、顧客情報を登録する。既に全ての名寄せ項目が同一である顧客情報が登録されている人物については、新たに登録しない。
② 顧客情報の登録時には、顧客ごとに一意な顧客IDを付与する。
③ 顧客情報の一つに、その顧客が契約者として関わる契約の件数を管理する保有契約の件数がある。契約者の顧客情報の登録時には1件と登録し、更新時には1をプラスする。
④ 契約者、被保険者及び受取人の3名の顧客情報ごとに、契約情報との関係を示す、関係顧客情報を登録する。
〔既契約の保全手続受付機能の要件〕
顧客から、既契約に対する保全手続の依頼を受け付けたとき、当該契約を担当するE社の営業社員が、保全手続に必要な情報を営業支援システムに登録する。
(1) 保全手続情報登録
保全手続に必要な情報の登録時に、保全手続ごとに一意な保全受付番号を付与する。保全手続情報は、契約単位に管理する。また、一つの契約に対する保全手続は、1日1回まで受け付ける。
(2) 契約情報更新
契約の解約を受け付けたときは、契約情報の一つである契約状況を“解約”に更新する。
(3) 顧客情報更新
① 登録された保全手続情報から、顧客情報を更新する。
② 顧客の住所の変更を受け付けたときは、変更後の顧客情報の全ての名寄せ項目と一致する顧客情報が既に登録されているかどうかを調べる。見つかった場合は、見つかった顧客情報を削除する。さらに、削除した顧客情報に関係する関係顧客情報を全て削除し、変更後の顧客情報によって新たに関係顧客情報を登録する。また、削除・登録した関係顧客情報に、契約者としての関係が含まれる場合は、当該顧客情報の保有契約の件数を更新する。
③ 契約の解約を受け付けたときは、契約者の顧客情報の保有契約の件数を更新(1をマイナス)する。また、関係顧客情報は変更しない。
〔帳票出力機能の要件〕
契約者に送付するための保全手続確認書を出力する。ここで、新規契約に関する帳票出力については省略する。
(1) 帳票印刷
登録されている保全手続情報から、保全手続確認書を作成して印刷する。印刷時に、帳票ごとに一意な帳票出力番号を付与する。
(2) 保全手続情報更新
帳票出力が完了した保全手続情報の工程ステータスを帳票出力済みに更新する。

設問1:
問題文を見る 図1中のに入れる適切な属性名を、解答群の中から選べ。
a〜dに関する解答群
ア:関係顧客番号
イ:契約担当番号
ウ:契約番号
エ:顧客ID
オ:社員ID
カ:帳票出力番号
キ:保険種類ID
ク:保全受付番号
模範解答
a:ウ、b:ク、c:カ、d:エ
解説
解答の導き方
図1の空欄は、各データが何を表し、どのデータと結び付いているかを考えると判断できます。
図1の凡例にある下線は、主キーを表します。主キーとは、データの中から1件を特定するための項目です。また、あるデータを別のデータと結び付けるために使う項目を、ここでは外部キーと呼びます。
-
aは「契約番号」です。
本文には、契約の登録時に「契約ごとに一意な契約番号を付与する」とあります。図1では、aが「契約担当」「関係顧客」「保全手続」に使われています。いずれも契約に関係する情報なので、契約を特定する項目である「契約番号」が入ります。
また、「契約担当」は、どの契約をどの社員が担当するかを記録するデータです。「関係顧客」は、どの契約にどの顧客がどの立場で関わるかを記録します。どちらにも契約番号が必要です。 -
bは「保全受付番号」です。
本文には、保全手続の登録時に「保全手続ごとに一意な保全受付番号を付与する」とあります。図1では、bは「保全手続」と「帳票出力」にあります。帳票出力は、保全手続の情報を基に行うため、どの保全手続に対する帳票なのかを特定できる番号が必要です。したがって、bは「保全受付番号」です。 -
cは「帳票出力番号」です。
cは「帳票出力」にだけあります。本文には、印刷時に「帳票ごとに一意な帳票出力番号を付与する」とあります。帳票を特定するための番号なので、cは「帳票出力番号」です。 -
dは「顧客ID」です。
dは「顧客」と「関係顧客」にあります。「関係顧客」は、契約に関わる顧客を記録するデータです。どの顧客なのかを特定する項目が必要なので、顧客ごとに一意な「顧客ID」が入ります。本文にも、顧客情報の登録時に「顧客ごとに一意な顧客IDを付与する」とあります。
誤りやすいポイント
- aに「契約担当番号」を選ばないようにします。「契約担当」は担当者の情報を記録しますが、図1では社員を「社員ID」で特定し、担当する契約を「契約番号」で特定します。
- bとcを混同しないようにします。保全手続を特定する番号が「保全受付番号」、印刷した帳票を特定する番号が「帳票出力番号」です。
- dには「関係顧客番号」ではなく「顧客ID」が入ります。「関係顧客」は契約と顧客の関係を記録するデータですが、顧客そのものを特定する項目は顧客IDです。
- 「1日1回まで」という受付条件だけから、保全手続を日付で特定すると考えないようにします。本文には、保全手続ごとに一意な保全受付番号を付けると明記されています。
FAQ
Q: 「契約担当」には、なぜ社員IDだけではなく契約番号も必要なのですか?
A: 社員IDだけでは、どの契約を担当しているか分からないためです。契約番号と社員IDを使うことで、担当する契約と社員の組合せを記録できます。
A: 社員IDだけでは、どの契約を担当しているか分からないためです。契約番号と社員IDを使うことで、担当する契約と社員の組合せを記録できます。
Q: 「関係顧客」は「顧客」と同じデータではないのですか?
A: 役割が異なります。「顧客」は顧客自身の情報を記録し、「関係顧客」は顧客が契約者・被保険者・受取人のどの立場で契約に関わるかを記録します。
A: 役割が異なります。「顧客」は顧客自身の情報を記録し、「関係顧客」は顧客が契約者・被保険者・受取人のどの立場で契約に関わるかを記録します。
Q: 保全受付番号と帳票出力番号は、どのように使い分けますか?
A: 保全受付番号は受け付けた保全手続を特定します。帳票出力番号は、その手続に対して作成・印刷した帳票を特定します。
A: 保全受付番号は受け付けた保全手続を特定します。帳票出力番号は、その手続に対して作成・印刷した帳票を特定します。
関連キーワード: E-R図、主キー、外部キー、複合主キー、データベース設計
設問2:
問題文を見る 営業支援システムのE-R図のエンティティと機能の関係を表2に示す。表2中のに入れる正しい答えを、解答群の中から選べ。

e, fに関する解答群
ア:C
イ:R
ウ:U
エ:D
オ:C, D
カ:C, R, U
キ:C, R, D
ク:C, U, D
ケ:−
模範解答
e:カ、f:キ
解説
解答の導き方
表2では、各機能が各エンティティに対して何をするかを、C、R、U、Dで表しています。エンティティとは、顧客や契約のように、システムで管理するデータのまとまりです。
C、R、U、Dは、CRUD(Create:登録、Read:参照、Update:更新、Delete:削除)の各操作を示します。たとえば、すでにあるデータを探す処理はR、新しいデータを作る処理はCです。
e:顧客情報登録・更新が「顧客」に対して行う操作
まず、「全ての名寄せ項目が同一である顧客情報が既に登録されているかどうかを調べる」とあります。登録済みの顧客情報を探すため、R(参照)が必要です。
該当する顧客情報がなければ、新しい顧客情報を登録するのでC(登録)を行います。該当する顧客情報がすでにある場合は、新たに登録しませんが、契約者については保有契約の件数を「1をプラスする」とあります。登録済みの顧客情報の値を変えるので、U(更新)も必要です。
顧客情報をこの処理で削除する記述はないため、Dは含みません。したがって、eにはC、R、Uを含む選択肢が入ります。
f:顧客情報更新が「関係顧客」に対して行う操作
関係顧客は、顧客と契約の結び付きや、契約者・被保険者・受取人のどの立場かを管理するデータです。
住所変更の受付時には、変更後の情報と一致する顧客情報が見つかった場合、その顧客情報に関係する関係顧客情報を全て削除し、新しい顧客情報によって関係顧客情報を登録し直します。そのため、関係顧客情報を探すR、削除するD、新たに登録するCが必要です。
関係顧客情報そのものの内容を更新するのではなく、いったん削除してから登録し直します。また、契約の解約時には「関係顧客情報は変更しない」とあります。したがって、Uは含みません。よって、fにはC、R、Dを含む選択肢が入ります。
誤りやすいポイント
- 登録の前に、同じ情報があるかを探す処理もあります。新規登録を行う場合でも、既存データを調べるならRを含めます。
- 「新たに登録しない」場合でも、保有契約の件数を増やすなら、登録済みの顧客情報に対するUが必要です。
- 関係顧客情報は、住所変更時に更新するのではなく、削除して登録し直します。そのため、UではなくDとCを選びます。
- 関係顧客情報を削除するときは、どのデータが対象かを調べる必要があります。また、契約者としての関係が含まれるかを確認するため、Rも必要です。
FAQ
Q: 顧客情報の登録・更新で、なぜCとUの両方が必要なのですか?
A: 一致する顧客情報がない場合は新規登録するのでCです。一致する顧客情報がある場合、契約者の保有契約の件数を増やすのでUです。状況によって、どちらの操作も発生します。
A: 一致する顧客情報がない場合は新規登録するのでCです。一致する顧客情報がある場合、契約者の保有契約の件数を増やすのでUです。状況によって、どちらの操作も発生します。
Q: 解約のとき、関係顧客情報に対する操作はありますか?
A: 問題文には「関係顧客情報は変更しない」とあります。そのため、解約処理だけでは関係顧客情報に対する操作はありません。
A: 問題文には「関係顧客情報は変更しない」とあります。そのため、解約処理だけでは関係顧客情報に対する操作はありません。
Q: 顧客情報の削除と関係顧客情報の削除は、同じ操作ですか?
A: 別のデータに対する操作です。住所変更時には、顧客情報に加えて、その顧客に結び付く関係顧客情報も削除し、関係顧客情報を登録し直します。
A: 別のデータに対する操作です。住所変更時には、顧客情報に加えて、その顧客に結び付く関係顧客情報も削除し、関係顧客情報を登録し直します。
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