基本情報技術者 2015年 春期 午後 問06
プロジェクトにおけるコミュニケーションの計画に関する次の記述を読んで、設問1,2に答えよ。
B社で立ち上げた社内システムの刷新プロジェクトでは、関係者間における情報の配布を考慮したコミュニケーションの計画を立案することにした。関係者とは、B社の情報システム部及びベンダL社である。このプロジェクトは、作業を効率よく進めることを目的に、プロジェクトマネージャ(以下、PMという)を頂点とするプロジェクト体制を構築することにした。また、計画段階における認識のずれを防止するために、社内の各業務の主管部門の要求事項を、システム化対象の機能要件として、プロジェクト計画書に盛り込むことにした。プロジェクトの体制を、図1に示す。

〔各チームの構成〕
(1) Xチームは、社内システムの処理Xを担当する情報システム部員で構成される。
(2) Yチームは、社内システムの処理Yを担当する情報システム部員で構成される。
(3) Zチームは、社内システムの処理Zを担当するベンダL社の社員で構成される。
(4) 各チームのメンバは、チームリーダ(以下、TLという)と担当者から構成される。各チームのメンバの人数を、表1に示す。
〔コミュニケーションの計画の説明〕
プロジェクト計画書に記載されているコミュニケーションの計画の一部を、図2に示す。
設問1:
問題文を見る 定期的に開催されるプロジェクト会議のプロジェクト会議議事録(以下、議事録という)を配布する際のルールについて、PMが行った検討作業に関する次の記述中のに入れる適切な答えを、解答群の中から選べ。
〔PMが行った検討作業〕
コミュニケーションの計画に定められた方法に従って、情報をより正確に配布できるルールの検討に当たり、コミュニケーションを取る関係者間の関係の数を明らかにした。関係の数は、ある作業において、コミュニケーションを取る二者間の関係を1と数えて、作業の関係者間の全ての関係を数えたものである。関係の数の例を、図3に示す。

(1) 議事録は、aが配布する。議事録の配布の頻度は、定期的に開催されるプロジェクト会議の開催頻度から月b回となる。議事録の配布については、各チームのTLを議事録の配布の窓口とし、TLから担当者に配布する方法(以下、方法①という)と、aから全チームのメンバに直接配布する方法(以下、方法②という)を検討した。方法①の場合、議事録を配布するための関係の数は、aと各チームのTLの間の数と、各チームのTLと担当者の間の数との合計なので、cとなる。方法②と比較して、関係の数はdが、各チーム内でTLが窓口として担当者を束ねることになるので、コミュニケーションを密に取ることができる。そこで、方法①を選択することにした。
(2) 方法①で、議事録の内容が配布先に確かに伝わったことを確認し、その報告の履歴を残すために、配布先の全てのTLに、eよう指示することにした。
aに関する解答群
ア:PM
イ:XチームのTL
ウ:YチームのTL
エ:ZチームのTL
bに関する解答群
ア:2
イ:6
ウ:12
エ:14
cに関する解答群
ア:3
イ:6
ウ:12
エ:24
dに関する解答群
ア:多い
イ:少ない
ウ:変わらない
eに関する解答群
ア:TLが担当者全員から内容を確認した旨の電子メールを受け、TLからPMに口頭で報告する
イ:TLが担当者全員から内容を確認した旨の電子メールを受け、TLからPMに電子メールで報告する
ウ:メンバが、内容を確認した旨を直接PMに電子メールで報告する
模範解答
a:ア、b:エ、c:ウ、d:ウ、e:イ
解説
解答の導き方
この設問では、議事録を誰が配布するか、月に何回配布するか、配布方法ごとの連絡経路の数、そして配布先への確認方法を考えます。
PM(Project Manager:プロジェクトマネージャ)はプロジェクト全体を管理する人、TL(Team Leader:チームリーダ)はチームをまとめる人です。
a:議事録を配布する人
図2では、「プロジェクト会議議事録」の管理者はPMで、配布先は「全チームのメンバ」とされています。また、注記には、文書の配布と配布履歴の保管を管理者が行うとあります。したがって、議事録を配布するのはPMです。
b:月あたりの配布頻度
定期的に開催されるプロジェクト会議には、図2に「月2回」とある全体進捗会議と、「チームごとに月4回」とあるチーム進捗会議があります。チーム進捗会議は、Xチーム、Yチーム、Zチームの3チームそれぞれで開催されます。
そのため、1か月の会議回数は次のとおりです。
会議ごとに議事録を配布するので、配布頻度は月14回です。
c:方法①の関係の数
図3では、線で結ばれた二者間の関係を1つとして数えています。方法①では、PMから各チームのTLに議事録を渡し、さらに各TLから自分のチームの担当者に渡します。
まず、PMから各チームのTLへの関係は、Xチーム、Yチーム、Zチームの3つです。次に、TLから担当者への関係は、表1の人数を合計して、つです。
したがって、方法①の関係の数は、です。
d:方法②と比べた関係の数
方法②では、PMが全チームのメンバに直接配布します。各チームのメンバは、TLが3人、担当者が人なので、合計12人です。PMから各メンバへの関係は、合計12です。
方法①も方法②も関係の数は12で変わりません。方法①はTLを窓口にしますが、連絡経路が減るわけではありません。
e:配布を確認し、報告の履歴を残す方法
方法①では、TLが担当者に議事録を配布します。その内容が担当者に伝わったことを確認するには、各TLが担当者全員から確認の電子メールを受け取る必要があります。
さらに、確認した結果をPMに伝えた記録も残すため、TLからPMへも電子メールで報告します。口頭で報告すると、TLからPMへの報告履歴が残りません。また、各メンバが直接PMに報告する方法では、TLを窓口にする方法①と異なります。
誤りやすいポイント
- チーム進捗会議の「月4回」を、全チームで月4回と数えないようにします。図2には「チームごとに月4回」とあるため、3チーム分を数えます。
- 議事録の配布頻度には、定期開催の全体進捗会議とチーム進捗会議の両方を含めます。
- 関係の数は、関係者全員の組合せを数えるのではなく、実際に連絡する二者間の経路を数えます。
- TLを経由すると関係の数が少なくなるとは限りません。この問題では、PMからTLへの経路とTLから担当者への経路を足すと、PMから全員へ直接配布する場合と同じ数になります。
- 配布後の確認だけでなく、確認結果をPMへ報告した履歴も残す必要があります。そのため、口頭ではなく電子メールで報告します。
FAQ
Q: 設計検討会や設計書レビューの開催回数も、月あたりの配布頻度に含めますか?
A: 含めません。図2では、これらの開催頻度は「随時」とされており、定期開催ではありません。この設問で数えるのは、定期的に開催されるプロジェクト会議です。
A: 含めません。図2では、これらの開催頻度は「随時」とされており、定期開催ではありません。この設問で数えるのは、定期的に開催されるプロジェクト会議です。
Q: 方法①はTLを経由するので、方法②より連絡経路が少なくなりませんか?
A: この問題では少なくなりません。PMからTLへの連絡に加えて、TLから担当者への連絡も必要だからです。経路をすべて数えると、方法②と同じ数になります。
A: この問題では少なくなりません。PMからTLへの連絡に加えて、TLから担当者への連絡も必要だからです。経路をすべて数えると、方法②と同じ数になります。
Q: TLが担当者から確認メールを受け取るだけでは不十分ですか?
A: それだけでは、PMが確認結果を受け取った履歴が残りません。TLからPMへも電子メールで報告することで、担当者の確認とPMへの報告の両方を記録できます。
A: それだけでは、PMが確認結果を受け取った履歴が残りません。TLからPMへも電子メールで報告することで、担当者の確認とPMへの報告の両方を記録できます。
関連キーワード: コミュニケーション計画、情報配布、関係者間の連絡経路、文書管理、会議議事録
設問2:
問題文を見る 設計工程の状況に基づく、グループウェア(以下、GWという)の導入についての記述中のに入れる適切な答えを、解答群の中から選べ。
〔設計工程の状況とGWの導入について〕
設計工程の進行に伴い、各チームの進捗に遅延が発生し始めた。原因は、各チームの担当者が、出席を要請されている設計検討会に十分に参加できていないことと、プロジェクト関係者間の情報流通が悪いことであった。
PMは、メンバのスケジュールを確保した上で今後の設計検討会を実施するとともに、プロジェクト関係者間の情報流通を改善することに着手した。情報流通として、プロジェクト計画書の配布先が原因となり、システム化対象の機能要件を十分に確認しないまま設計したことと、機能要件の変更がメンバに伝わっていない場合があることに問題があると分析している。解決に向け、GWの導入を踏まえた検討を行った。
プロジェクト計画書については、現状では配布先が限定されているので、GW導入後の配布先をfとした。プロジェクト管理文書の配布に関するGWの設定ルールの検討結果を表2に整理した。

fに関する解答群
ア:全チームの担当者
イ:全チームのメンバ
gに関する解答群


模範解答
f:イ、g:ウ
解説
解答の導き方
この設問では、グループウェア(GW:Groupware。予定や文書などを共有する仕組み)を導入したときに、誰に文書を配り、誰に登録や閲覧を許可するかを考えます。
f:プロジェクト計画書の配布先
プロジェクト計画書には、システム化対象の機能要件、つまり「システムにどのような働きを持たせるか」が記載されています。本文では、機能要件を十分に確認しないまま設計したことが問題になっています。
現在の計画では、プロジェクト計画書の配布先は全チームのTL(Team Leader:チームのリーダ)です。TLだけでなく、設計を担当する人たちにも機能要件を確認してもらう必要があります。
「全チームの担当者」だけを配布先にすると、TLが含まれません。一方、「全チームのメンバ」であれば、TLと担当者の両方が含まれます。そのため、配布先は全チームのメンバと判断できます。
g:プロジェクト会議議事録のアクセス権
図2では、プロジェクト会議議事録の管理者はPM(Project Manager:プロジェクト全体の計画や進行を管理する責任者)で、配布先は全チームのメンバです。つまり、PMが議事録を登録し、チームのメンバは内容を確認できる設定にします。
表2の記号は、●が「登録及び参照を許可」、○が「参照だけ許可」、×が「参照不可」です。したがって、PMには登録と参照ができる●を設定し、ほかのメンバには閲覧のみの○を設定します。
この組合せは、PMが●で、Xチーム、Yチーム、ZチームのTLと担当者がすべて○になっている選択肢です。
誤りやすいポイント
- 「担当者」だけに配ればよいと考えること
設計担当者への情報共有は必要ですが、TLも計画書を確認できる必要があります。「全チームのメンバ」にはTLも含まれます。 - 議事録の配布先と登録できる人を混同すること
議事録を全員に配ることは、全員に登録を許可することではありません。管理者であるPMだけが登録でき、ほかのメンバは参照だけできる設定にします。 - ○をアクセス不可と考えること
○は参照だけ許可する記号です。アクセス不可は×です。
FAQ
Q:全チームのメンバには、TLも含まれますか?
A:含まれます。各チームのメンバは、TLと担当者から構成されています。
A:含まれます。各チームのメンバは、TLと担当者から構成されています。
Q:プロジェクト会議議事録について、全員を●にしないのはなぜですか?
A:●は登録も参照もできる権限だからです。議事録の管理者はPMなので、ほかのメンバには参照だけを許可します。
A:●は登録も参照もできる権限だからです。議事録の管理者はPMなので、ほかのメンバには参照だけを許可します。
Q:○と×の違いは何ですか?
A:○は文書を参照できますが、登録はできません。×は文書を参照できません。
A:○は文書を参照できますが、登録はできません。×は文書を参照できません。
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