基本情報技術者 2016年 秋期 午前(科目A) 問14
問題文
ロードバランサを使用した負荷分散クラスタ構成と比較した場合の、ホットスタンバイ形式によるHA(High Availability)クラスタ構成の特徴はどれか。
選択肢
ア:稼働している複数のサーバ間で処理の整合性を取らなければならないので、データベースを共有する必要がある。
イ:障害が発生すると稼働中の他のサーバに処理を分散させるので、稼働中のサーバの負荷が高くなり、スループットが低下する。
ウ:処理を均等にサーバに分散できるので、サーバマシンが有効に活用でき、将来の処理量の増大に対して拡張性が確保できる。
エ:待機系サーバとして同一仕様のサーバが必要になるが、障害発生時には待機系サーバに処理を引き継ぐので、障害が発生してもスループットを維持することができる。(正解)
ホットスタンバイ形式によるHAクラスタ構成の特徴【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:ホットスタンバイはアクティブ/パッシブ構成で待機系が障害時に処理を引き継ぎ、通常時は負荷分散せず待機する方式です。
- 根拠:待機系は稼働系と同一仕様で待機し、フェイルオーバで処理を一台に切替えるため、平常時に複数台で処理を並列化しません。
- 差がつくポイント:選択肢の「待機系」「処理を分散」「均等に分散できる」の語を見てアクティブ/パッシブかアクティブ/アクティブかを即判断すること。
正解の理由
正解は エ です。ホットスタンバイは「アクティブ(稼働系)+パッシブ(待機系)」の構成で、待機系は通常稼働しておらず障害発生時に稼働系の処理を引き継ぎます。したがって、待機系は同一仕様のサーバを用意するのが一般的で、障害発生後に待機系が機能すれば元と同等のスループットを復元(維持)できます。これはロードバランサを用いた負荷分散(アクティブ/アクティブ)とは明確に異なる挙動です。
よくある誤解
- 「待機系がいるから常に負荷分散される」:待機系は通常アイドル状態で、平常時に処理を分散しません。
- 「同一DB共有が必須」:アクティブ/パッシブでは必ずしも共有DBが必要ではなく、共有ストレージやレプリケーションで状態を同期することが多い点を見落としがちです。
- 「フェイルオーバで無停止」:フェイルオーバ時に短時間の切替遅延や状態同期が発生し、完全無停止を保証しない点に注意が必要です。
解法ステップ
- 問題文のキーワードを確認:「ホットスタンバイ」「待機系」「ロードバランサと比較」などを識別する。
- 用語を対比する:ホットスタンバイ=アクティブ/パッシブ、ロードバランサ=アクティブ/アクティブ(負荷分散)であることを確認する。
- 各選択肢がどちらの構成を説明しているかを判定し、ホットスタンバイの特徴(待機サーバ・切替・スループット維持)と照らし合わせる。
- 最も整合する記述を選ぶ(今回なら待機系が処理を引き継ぐことを述べる選択肢)。
選択肢別の誤答解説
- ア:誤り。複数の稼働サーバ間で処理の整合性を取る必要がある場合はアクティブ/アクティブやロードバランサ方式に該当します。ホットスタンバイは基本的に一台だけが稼働するため、常時DBを共有する必然性は低い(ただしフェイルオーバ時に同一データを参照するため共有ストレージや同期は使われます)。
- イ:誤り。選択肢は「障害発生時に他の稼働中サーバに分散させる」とあるためアクティブ/アクティブ的な挙動を想定しています。ホットスタンバイでは待機系が処理を引き継ぐため、他の稼働中サーバに負荷が分散されることは通常ありません。
- ウ:誤り。処理を均等に分散して有効活用・拡張性を確保するのはロードバランサ等のアクティブ/アクティブ構成であり、ホットスタンバイの特徴ではありません。
- エ:正解(理由は上記)。待機系として同一仕様のサーバを用意し、障害時に待機系へ切替えることでスループットを回復できる、これがホットスタンバイの本質です。
補足コラム
ホットスタンバイ(熱的待機)は、より細かく分けると「ウォームスタンバイ」「コールドスタンバイ」などと対比されます。
- ホットスタンバイ:待機系はほぼ即時稼働可能で、必要なサービスやデータは定期的に同期されている。自動フェイルオーバを組みやすい。
- ウォームスタンバイ:一部サービスやデータが準備済みで、起動・同期に若干時間がかかる。
- コールドスタンバイ:待機機は電源オフや未構成で、復旧に手作業と時間を要する。
運用上はフェイルオーバの自動化(Heartbeat、Pacemaker、keepalived等)、データ同期(レプリケーション、共有ストレージ)、フェンシング(split-brain回避)を組み合わせることで安全性を高めますが、待機系のコスト(リソースの冗長化)は増えます。
FAQ
Q1: ホットスタンバイはスケールアウトに向いていますか?
A1: 向いていません。ホットスタンバイは可用性を重視した冗長構成であり、処理の水平拡張(スケールアウト)を目的とするロードバランサ方式とは用途が異なります。
A1: 向いていません。ホットスタンバイは可用性を重視した冗長構成であり、処理の水平拡張(スケールアウト)を目的とするロードバランサ方式とは用途が異なります。
Q2: 待機サーバの仕様は必ず同一でなければなりませんか?
A2: 完全一致が望ましいですが、必須ではありません。スループットや機能を維持するには稼働系と同等の能力が必要ですので、実用面では同一仕様が推奨されます。
A2: 完全一致が望ましいですが、必須ではありません。スループットや機能を維持するには稼働系と同等の能力が必要ですので、実用面では同一仕様が推奨されます。
Q3: フェイルオーバ時にダウンタイムはゼロですか?
A3: 多くの場合、切替時間(数秒〜数十秒)が発生します。設計によっては短時間のサービス中断がある点を考慮してください。
A3: 多くの場合、切替時間(数秒〜数十秒)が発生します。設計によっては短時間のサービス中断がある点を考慮してください。
関連キーワード: ホットスタンバイ、アクティブ-パッシブ、フェイルオーバー、HAクラスタ、ロードバランシング、待機系、冗長構成、フェンシング

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