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基本情報技術者 2016年 秋期 午前(科目A)16


問題文

ある時間帯でのジョブの処理状況を計測したところ、次のとおりであった。どのような状況になっているか。   〔ジョブの処理状況〕  (1) 多重度3でジョブを実行する。  (2) ジョブは5分間隔で発生し、実行時間は多重度に依存せず20分である。  (3) 各ジョブは実行終了後にスプーリング機能を利用して印刷し、印刷時間は15分である。  (4) プリンタは2台使用する。

選択肢

印刷待ちだけが増加している。
実行待ちだけが増加している。
実行待ちと印刷待ちが増加している。(正解)
実行待ちも印刷待ちも発生していない。

ジョブの処理状況の評価【午前2 解説】

要点まとめ

  • 結論:実行待ちと印刷待ちの両方が増加しているため、システム全体が過負荷で遅延が拡大しています。
  • 根拠:到着間隔5分、実行20分、印刷15分、実行多重度3、プリンタ2台から両方の処理能力が到着率に追いつかないためです。
  • 差がつくポイント:到着率 と各処理段階の合計サービス能力(サーバ数×サービス率)を比較し、単に時間を比べるだけでなく「流量(λ×処理時間)」で判定します。

正解の理由

ジョブ到着率は 1 ジョブ / 5 分 = です。
実行段階は同時に最大 3 ジョブまで処理でき、各ジョブの実行時間は 20 分なので最大処理可能レートは です。到着率 がこれを上回るため、実行待ちが増加します。
印刷段階はプリンタ2台で各15分/ジョブのため最大処理可能レートは で、これも到着率 を下回るため印刷待ちも増加します。
したがって、実行待ちと印刷待ちの両方が増加するため、正解は です。

よくある誤解

  • 「多重度3だから実行は大丈夫」と思い、単純に並列数だけで判断して到着率との比較を忘れる。
  • 印刷は終端処理だから影響が小さいと考えがちだが、到着率がサービス能力を超えれば必ず待ち行列が増える。
  • 単位を揃えずに分/時間を混同して計算ミスする(到着率は分あたりで統一するなど)。

解法ステップ

  1. 到着率 を求める:到着間隔 5 分 →
  2. 各段階の最大処理能力(合計サービス率)を求める:
    • 実行:サーバ数 、サービス時間 分 → 合計処理率 ジョブ/分。
    • 印刷:プリンタ数 、サービス時間 分 → 合計処理率 ジョブ/分。
  3. 到着率と比較: が各段階の合計処理率を超えているか確認。超えていれば待ち行列が増加する。
  4. 両方超えているため、実行待ちと印刷待ちがともに増加する(正解:ウ)。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 印刷待ちだけが増加している。→ 誤り。実行段階の合計処理率 は到着率 未満で、実行待ちも増加します。
  • イ: 実行待ちだけが増加している。→ 誤り。印刷段階の合計処理率 も到着率 未満で、印刷待ちも増加します。
  • ウ: 実行待ちと印刷待ちが増加している。→ 正しい。両段階とも到着率が処理能力を上回っているため待ち行列が拡大します(正解: )。
  • エ: 実行待ちも印刷待ちも発生していない。→ 誤り。到着率が十分に大きく、どちらも処理が追いついていません。

補足コラム

  • 増加速度(概算):実行段階の増加率は到着率 − 最大処理率 = ジョブ/分(=3ジョブ/時)、印刷段階は ジョブ/分(=4ジョブ/時)。このため、印刷待ちの増加がやや速くなります。
  • 安定条件(待ち行列が増えないために必要な数):必要な並列実行数は 以上、プリンタ台数は 以上が目安です。
  • 実務上の対策:多重度(実行同時数)やプリンタ台数を増やす、または到着率を下げる(ジョブ発生間隔を広げる)、各処理時間を短縮することが有効です。

FAQ

Q1: 到着が等間隔なら平均だけ見れば良いのですか?
A1: 等間隔・一定サービス時間の仮定では平均で判定できますが、実際は変動(分散)が待ち行列に大きく影響するため余裕を持った設計が必要です。
Q2: 「多重度3」は CPU が3個あるのと同じですか?
A2: 概念的には並列に処理できるジョブ数が3であるという意味ですが、処理能力は実行時間とスケジューリングに依存します。単に「3台ある」だけで十分とは限りません。
Q3: 両方が増えるとどこがボトルネックですか?
A3: 到着率に対する余裕が最も小さい(増加率が大きい)段階が実質的なボトルネックになります。本例では印刷の増加速度がやや速く、短期的には印刷が顕著なボトルネックになります。

関連キーワード: 到着率、サービス時間、並列処理、待ち行列理論、トラフィック強度、スプーリング、プリンタ競合、リソース設計、システム安定性、性能評価
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