基本情報技術者 2016年 春期 午前(科目A) 問80
問題文
A社がシステム開発を行うに当たり、外部業者であるB社を利用する場合の契約に関する記述のうち、適切なものはどれか。
選択肢
ア:請負契約によるシステム開発では、特に契約に定めない限り、B社が開発したプログラムの著作権はB社に帰属する。(正解)
イ:請負契約、派遣契約によらず、いずれの場合のシステム開発でも、B社にはシステムの完成責任がある。
ウ:準委任契約ではB社に成果物の完成責任がないので、A社がB社の従業員に対して直接指揮命令権を行使する。
エ:派遣契約では、開発されたプログラムに重大な欠陥が発生した場合、B社に瑕疵担保責任がある。
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請負契約と著作権帰属【午前解説】
正解の理由
選択肢の中で正しいのは ア です。請負契約(成果物の作成を目的とする契約)で開発を行った場合でも、著作権は特に譲渡や帰属を契約で定めない限り、成果物を作成した側(通常は受託者であるB社やその作成者)に帰属します。したがって、発注者Aが著作権を得たいならば、契約書で著作権の帰属や使用許諾の範囲(譲渡、独占・非独占、二次利用など)を明確に定める必要があります。
解法ステップ
- 各契約種類(請負、準委任、派遣)の本質を一言で整理する(成果物の有無/人の提供)。
- 問題文の各選択肢が「著作権帰属」「完成責任」「指揮命令」「瑕疵担保」のどれに関する記述かを判定する。
- それぞれの契約形態での法的帰属(デフォルト)を照らし合わせ、矛盾するものを除外する。
- 残った選択肢が契約の原則と合致するか最終確認する。
選択肢別の誤答解説
- ア:正解。請負契約で作成されたプログラムの著作権は、特に契約で定めない限り作成者側(受託者)に帰属することが原則です。発注者が使用・譲渡等を望む場合は契約で明記します。
- イ:誤り。請負では受託者に成果物完成責任(成果の完成義務)があるが、派遣契約は「人の派遣」であり派遣元が成果の完成責任を負うとは限りません。したがって「いずれの場合でもB社に完成責任がある」は不正確です。
- ウ:誤り。準委任(委任・準委任)は事務の処理を委託する契約であり、受任者(B社)の管理の下で行われます。A社がB社の従業員に直接指揮命令を行使するのは原則として認められません(労働者派遣における指示とは別問題)。
- エ:誤り。瑕疵担保責任は通常、成果物の引渡しを前提とする請負契約に関する概念です。派遣契約は“人”の提供であり、プログラムの納品・保証責任が派遣元に自動的にあるとは限りません。
よくある誤解
- 「成果物を買ったら著作権も買える」:請負で成果物に対価を払っても、著作権は自動的には移転しません。契約で明記する必要があります。
- 「派遣だから何でもB社責任」:派遣は“人”の提供であり、成果物の完成責任や瑕疵担保は原則として請負での扱いと異なります。
- 「準委任は成果保証がないから発注者が直接指揮できる」:発注者が直接指揮命令できるのは労働者派遣の範囲であり、準委任では受任者の管理下にあります。
補足コラム
- 実務上は著作権の帰属と併せて「使用権(ライセンス)」の範囲、ソースコードの納入・保守・再利用の可否、第三者ライブラリのライセンス問題、ソースコードエスクローの有無を明記します。
- 契約書には「著作権譲渡」または「非独占的/独占的実施権の付与」「改変・再配布の可否」「ドキュメント・ソースコードの納入形式」などを盛り込むことで将来のトラブルを防げます。
- 労働者派遣と請負の境界は実務で問題になりやすく、実態(指揮命令、作業の独立性、報酬の決定方法など)で判断されます。
FAQ
Q1: 請負で作ってもらったソフトの著作権は譲渡できますか?
A1: はい。著作権は契約(譲渡契約)で移転可能です。譲渡には書面での定めが望ましいです。
A1: はい。著作権は契約(譲渡契約)で移転可能です。譲渡には書面での定めが望ましいです。
Q2: 派遣と請負、どちらが発注者にとって責任が明確ですか?
A2: 請負は成果物責任が明確で発注者有利な点がある一方、派遣は人材提供で業務管理が発注者寄りになりますが成果保証は弱くなります。
A2: 請負は成果物責任が明確で発注者有利な点がある一方、派遣は人材提供で業務管理が発注者寄りになりますが成果保証は弱くなります。
Q3: 準委任で成果が出なかった場合、誰が責任を負いますか?
A3: 準委任は善管注意義務(過失のない限り成果保証はない)を負うため、契約で期待する成果や検収基準を明確にしておく必要があります。
A3: 準委任は善管注意義務(過失のない限り成果保証はない)を負うため、契約で期待する成果や検収基準を明確にしておく必要があります。
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