基本情報技術者 2017年 秋期 午前(科目A) 問34
問題文
トランスポート層のプロトコルであり、信頼性よりもリアルタイム性が重視される場合に用いられるものはどれか。
選択肢
ア:HTTP
イ:IP
ウ:TCP
エ:UDP(正解)
##: トランスポート層のプロトコルであり、信頼性よりもリアルタイム性が重視される場合に用いられるものはどれか【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論: 音声・映像などリアルタイム性を優先する場面では再送待ちを行わず遅延を抑える UDP(コネクションレス)を用います。
- 根拠: UDP はコネクションを張らずヘッダが小さく再送やフロー制御を行わないため、処理遅延や待ち時間が少なくなる特性があります。
- 差がつくポイント: 「信頼性よりもリアルタイム性」を見抜き、TCP の再送・接続指向や HTTP/IP の階層を混同しないことが得点差になります。
正解の理由
正解: エ
UDP(User Datagram Protocol)はトランスポート層のプロトコルで、コネクションレス型・最小限のヘッダ・再送や順序制御を行わない設計です。これによりパケット到着の遅延要因(接続確立、再送待ち、細かなフロー制御など)が少なく、音声通話(VoIP)、ライブストリーミング、オンラインゲームなど遅延が致命的な用途で有利になります。問題文の「信頼性よりもリアルタイム性が重視される」という条件は、まさに UDP が適している状況を示しています。
他の選択肢は階層や性質が異なります。TCP は信頼性保証(再送・順序制御・接続管理)を重視するため遅延が増える一方、HTTP はアプリケーション層、IP はネットワーク層でありトランスポート層の特性を問う本問の答えではありません。
よくある誤解
- 「信頼性が低い=使えない」と思い込みやすいが、リアルタイム用途では遅延回避を優先するため UDP が適切な場合が多い点。
- 「IP と UDP を混同する」受験者が多い。IP はネットワーク層、UDP/TCP はトランスポート層で役割が異なります。
- 「TCP をチューニングすれば同じ」だと考えがちだが、TCP の再送や輻輳制御は遅延の原因になりやすく完全に代替できません。
解法ステップ
- 問題文のキーワード(今回は「信頼性よりもリアルタイム性」)を拾う。
- 各プロトコルの階層と特性を整理する(HTTP=アプリ層、IP=ネットワーク層、TCP/UDP=トランスポート層)。
- 「再送・順序制御・接続管理」があるかないかで遅延の影響を判定する。
- リアルタイム重視で再送待ちを避ける設計が望ましいため UDP を選ぶ。
選択肢別の誤答解説
- ア: HTTP
- 誤り。HTTP はアプリケーション層プロトコルであり、トランスポート層の UDP/TCP のいずれかを使って動作します(通常は TCP)。問題はトランスポート層の選択を問うています。
- イ: IP
- 誤り。IP はネットワーク層(パケットのルーティング)であり、トランスポート層プロトコルの特性(再送やリアルタイム性)を示す対象ではありません。
- ウ: TCP
- 誤り。TCP は信頼性(再送・順序制御・コネクション管理)を重視するため、再送待ちなどが発生し遅延が増える。リアルタイム性を最優先する場面には不向きです。
- エ: エ UDP
- 正解。UDP はコネクションレスで再送を行わずヘッダオーバーヘッドが小さいため、遅延を抑えリアルタイム性を優先する用途に適しています。
補足コラム
- 実運用では UDP 単体で使う際に欠点(パケットロス、順序ずれ)へ対処するため、アプリケーション側で FEC(前方誤り訂正)、パケット再送(限定的)、ジッタバッファなどの工夫を行います。
- RTP(Real-time Transport Protocol)は音声や映像の伝送に用いられ、通常は UDP 上で動作してリアルタイム性を確保します。
- 近年は QUIC のように UDP を下地にして信頼性やセキュリティをアプリ層で実装するプロトコルも登場しています(低遅延かつ接続性の改善を目指す)。
- DNS は小さなクエリであれば UDP を使い、サイズが大きい場合は TCP にフォールバックする運用例があります。
FAQ
Q: UDP は全く信頼性がないのですか?
A: プロトコル自体に再送や順序制御はありませんが、アプリケーション側で補完することが可能です。用途によっては十分実用的です。
A: プロトコル自体に再送や順序制御はありませんが、アプリケーション側で補完することが可能です。用途によっては十分実用的です。
Q: リアルタイム通信では絶対に UDP を使うべきですか?
A: 多くのリアルタイム用途で UDP が有利ですが、必要に応じてアプリケーションレベルでの補正や、QUIC のような UDP ベースの信頼性レイヤを採用する選択肢もあります。
A: 多くのリアルタイム用途で UDP が有利ですが、必要に応じてアプリケーションレベルでの補正や、QUIC のような UDP ベースの信頼性レイヤを採用する選択肢もあります。
Q: QUIC は UDP と同じカテゴリですか?
A: QUIC は UDP の上で動作するプロトコルで、UDP の低遅延性を利用しつつ独自にコネクション管理や再送制御を実装します。
A: QUIC は UDP の上で動作するプロトコルで、UDP の低遅延性を利用しつつ独自にコネクション管理や再送制御を実装します。
関連キーワード: トランスポート層、UDP、TCP、リアルタイム通信、RTP、QoS、再送制御、コネクションレス、パケットロス、ジッタバッファ

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