基本情報技術者 2017年 秋期 午前(科目A) 問57
問題文
落雷によって発生する過電圧の被害から情報システムを守るための手段として、有効なものはどれか。
選択肢
ア:サージ防護デバイス(SPD)を介して通信ケーブルとコンピュータを接続する。(正解)
イ:自家発電装置を設置する。
ウ:通信線を、経路が異なる2系統とする。
エ:電源設備の制御回路をディジタル化する。
落雷によって発生する過電圧の被害から情報システムを守るための手段として、有効なものはどれか。【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論→通信回線から侵入する落雷由来の過電圧には、通信線側に適切なサージ防護デバイス(SPD)を介して機器を接続し、過渡電流を安全に接地する対策が有効です。
- 根拠→落雷は電磁誘導や直撃で大きな過渡電圧を発生させ、通信線を伝わって機器を破壊するため、発生点で電流を地に逃がすSPDが直接的に被害を軽減します。
- 差がつくポイント→SPD選定では耐電圧・通過損失・応答速度・接地の低インピーダンス化が重要で、場合によっては光ファイバー化や絶縁で併用すると更に安全性が高まります。
正解の理由
正解は ア です。サージ防護デバイス(SPD)は過渡的な高電圧・高電流を安全に接地に逃がす役割を持ち、通信ケーブル経由で侵入する雷サージを機器に到達する前に抑えます。通信機器とケーブルの間に適切なSPDを挿入し、確実な接地(アース)を確保することで、機器破壊やデータ損失のリスクを大幅に低減できます。
よくある誤解
- 「自家発電があれば落雷被害は防げる」:自家発電は停電対策には有効ですが、落雷による過電圧を抑えるものではありません。発電装置自体や接続機器がサージで損傷する恐れがあります。
- 「経路を2系統にすれば安全」:通信の経路多重化は可用性向上には寄与しますが、両系統が同じ地域で同時に雷サージを受ければ防げません。根本的な過電圧遮断にはなりません。
- 「制御回路のディジタル化で耐雷性が高まる」:ディジタル化は制御の利便性や冗長化に寄与しますが、過渡電圧そのものを遮断する作用はありません。
解法ステップ
- 問題の焦点を「落雷による過電圧から守る手段」と確認する。
- 落雷の侵入経路(電源線、信号線、構造体の誘導)を想定する。
- 各選択肢が直接的に「過渡電圧を遮断・吸収・接地」する手段かを判定する。
- 直接的に過電流・過電圧を地へ逃がす仕組み(SPD)を選ぶのが最適と判断する。
選択肢別の誤答解説
- ア: サージ防護デバイス(SPD)を介して通信ケーブルとコンピュータを接続する。→ 正解。SPDは過渡的なサージ電流を安全に接地へバイパスし、機器保護に直接効果があります。通信信号用のSPDは信号劣化を抑える仕様のものを選びます。
- イ: 自家発電装置を設置する。→ 誤り。自家発電は停電対策であって、雷サージの抑制手段ではありません。発電機系統も過電圧で損傷する可能性があります。
- ウ: 通信線を、経路が異なる2系統とする。→ 誤り。経路冗長は可用性向上にはなるが、雷サージは広域で発生し同時に両系統へ影響することがあるため過電圧対策にはならない。
- エ: 電源設備の制御回路をディジタル化する。→ 誤り。制御のディジタル化は運用上の利点をもたらすが、過電圧を物理的に遮断・吸収する対策とは無関係です。
補足コラム
- SPDの種類と用途:SPDは主に「電源線用」「信号線用」「アンテナ線用」などに分かれ、MOV(酸化亜鉛バリスタ)、ガス放電管(GDT)、TVSダイオードなどの素子を用います。設置場所は建物外部からの侵入点や盤内の入り口付近が基本です。
- 接地の重要性:SPDは「接地がしっかりして初めて機能する」ため、接地抵抗の低減と設備間の等電位化(ボンディング)が重要です。接地が不十分だとSPDが破損したり効果が出ません。
- 代替対策:光ファイバーへの置換は信号経路で完全に電気的絶縁を作れるため、雷誘導対策として非常に有効です。ただし光化できない場合はSPDと遮蔽、フィルタリングで対処します。
FAQ
Q1: SPDを入れるだけで完全に安全になりますか?
A1: いいえ。SPDは有効ですが、接地や配線経路の設計、等電位化、機器の耐圧設計と組み合わせることが必要で、保守(サージ後の点検・交換)も重要です。
A1: いいえ。SPDは有効ですが、接地や配線経路の設計、等電位化、機器の耐圧設計と組み合わせることが必要で、保守(サージ後の点検・交換)も重要です。
Q2: 通信機器はどこにSPDを入れるべきですか?
A2: 通信線の建物入口や機器直前の配線ポイントに設置し、機器アースに短く低インピーダンスで接地するのが一般的です。システム全体で等電位化を行ってください。
A2: 通信線の建物入口や機器直前の配線ポイントに設置し、機器アースに短く低インピーダンスで接地するのが一般的です。システム全体で等電位化を行ってください。
Q3: 光ファイバー化は常に最良の選択ですか?
A3: 光化は電気的絶縁を提供し高い効果がありますが、コストや既存設備の制約、信号変換の必要性を考慮する必要があります。重要箇所の光化は有効な選択肢です。
A3: 光化は電気的絶縁を提供し高い効果がありますが、コストや既存設備の制約、信号変換の必要性を考慮する必要があります。重要箇所の光化は有効な選択肢です。
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