基本情報技術者 2017年 秋期 午前(科目A) 問56
問題文
新規システムにおけるデータのバックアップ方法に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。
選択肢
ア:業務処理がバックアップ処理と重なると応答時間が長くなる可能性がある場合には、両方の処理が重ならないようにスケジュールを立てる。(正解)
イ:バックアップ処理時間を短くするためには、バックアップデータをバックアップ元データと同一の記憶媒体内に置く。
ウ:バックアップデータからの復旧時間を短くするためには、差分バックアップを採用する。
エ:バックアップデータを長期間保存するためには、ランダムアクセスが可能な媒体を使用する。
新規システムにおけるデータのバックアップ方法に関する記述【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論: 業務処理とバックアップが重なると応答遅延が発生する可能性があるため、両者が重ならないようスケジュールするのが基本対策です。
- 根拠: 同一資源(CPU、I/O、ネットワーク)を同時に使うと競合が起き応答時間が悪化するため、バックアップは業務負荷が低い時間帯に実行すべきです。
- 差がつくポイント: バックアップ方式や媒体選定は目的(RTO/RPO、コスト、保管期間)に依存するため、単純な短縮策や媒体選択の一般化は誤りになります。
正解の理由
正解: ア
業務処理とバックアップ処理が同時に実行されると、ディスクI/Oやネットワーク帯域、CPUなどで競合が発生し応答時間が延びる可能性があります。新規システム設計時には業務ピークを避けてバックアップをスケジュールする、あるいはバックアップの帯域制御や優先度設定を行うことが基本的かつ実務的に適切な対策です。この観点が問いの趣旨(システム運用での適切性)に最も合致します。
業務処理とバックアップ処理が同時に実行されると、ディスクI/Oやネットワーク帯域、CPUなどで競合が発生し応答時間が延びる可能性があります。新規システム設計時には業務ピークを避けてバックアップをスケジュールする、あるいはバックアップの帯域制御や優先度設定を行うことが基本的かつ実務的に適切な対策です。この観点が問いの趣旨(システム運用での適切性)に最も合致します。
よくある誤解
- 「バックアップを早くする=同じ媒体に置けばいい」は誤りです。同一媒体は障害時に共倒れとなるため可用性が低下します。
- 「差分バックアップは常に復旧時間が短くなる」は誤解です。差分はインクリメンタルより復旧は速いが、フルバックアップ単体よりは復旧が複雑になります。
- 「長期保存にはランダムアクセス媒体が有利」は一概に間違い。コストや信頼性、保管性(耐久性)が優先されるためテープ等の逐次媒体が適する場合が多いです。
解法ステップ
- 各選択肢が「可用性」「復旧時間」「運用負荷」「保管の適性」のどれに関する記述かを分類する。
- 記述が一般原則として正しいか、条件付きで正しいか、あるいは明らかに誤りかを評価する。
- 新規システムの運用上、汎用的に最も適する対策(業務影響の最小化)を優先して選ぶ。
- 条件付きで良い手段(差分、媒体選定など)は「必ず正しい」とは言えないため、選択肢の記述が断定的なら誤りと判断する。
選択肢別の誤答解説
- ア: 正しい。業務とバックアップが重なることでリソース競合が発生し応答時間が延びる可能性があるため、スケジュール調整が基本対策です。
- イ: 誤り。バックアップデータをバックアップ元と同一媒体に置くと、媒体障害時に元データとバックアップが同時に失われるリスクが高くなるため可用性が低下します。バックアップは物理的・論理的に分離するのが原則です。
- ウ: 条件付きで部分的に正しいが不適切。差分バックアップはインクリメンタルより復旧が速くなる場合が多いが、完全復旧にはフルバックアップと差分が必要であり、フルバックアップ単体に比べれば復旧プロセスは増えます。従って「短くするためには差分を採用する」と断言するのは誤りです。
- エ: 誤り。長期間保存する目的なら低コスト・高信頼でアーカイブ向きの逐次アクセス媒体(例: テープ)が適することが多く、ランダムアクセス可能であること自体は長期保存の必須条件ではありません。むしろランダムアクセス媒体はコストや劣化特性が問題になり得ます。
補足コラム
- バックアップ設計ではRTO(復旧時間目標)とRPO(許容データ損失量)をまず定義し、その要件に合わせてフル/差分/増分を組み合わせます。一般的に:
- フルバックアップは復旧が最も単純で速いが時間と容量を要する。
- 差分バックアップはフル+最新差分で復旧でき、復旧時間とバックアップ時間のバランスがよい。
- 増分バックアップはバックアップ時間・容量を節約できるが復旧時に複数の増分を適用するため復旧時間が長くなりがち。
- 運用面ではバックアップ時間帯のルール作り、帯域制御(throttling)、優先度設定、オフサイト保管(synchronization/replication)、災害対策(DR site)を組み合わせて設計します。
- 媒体選定は寿命、コスト、リストア頻度、保管管理性を考慮。長期アーカイブならテープ、短期かつ頻繁な復旧が必要ならディスクやクラウドが向きます。
FAQ
Q1: 差分と増分の違いは何ですか?
A1: 差分は最後のフルバックアップ以降に変更された全データを毎回保存します。増分は前回のバックアップ(フルまたは増分)以降の変更のみを保存します。
A1: 差分は最後のフルバックアップ以降に変更された全データを毎回保存します。増分は前回のバックアップ(フルまたは増分)以降の変更のみを保存します。
Q2: バックアップは必ず夜間に行うべきですか?
A2: 一般には業務負荷が低い時間帯に行いますが、24時間稼働や夜間も負荷が高いシステムでは帯域制御やスナップショット技術を用いるなど他の対策が必要です。
A2: 一般には業務負荷が低い時間帯に行いますが、24時間稼働や夜間も負荷が高いシステムでは帯域制御やスナップショット技術を用いるなど他の対策が必要です。
Q3: 同一サイト内にバックアップを置いても問題ないですか?
A3: 災害時に同時障害となるリスクがあるため、オフサイト保管やクラウドレプリケーションを併用することが望ましいです。
A3: 災害時に同時障害となるリスクがあるため、オフサイト保管やクラウドレプリケーションを併用することが望ましいです。
Q4: 長期保管はクラウドでも良いですか?
A4: クラウドは可用性や物理的分散で優れますがコストや法令・ガバナンス要件(保存場所や暗号化)を確認する必要があります。
A4: クラウドは可用性や物理的分散で優れますがコストや法令・ガバナンス要件(保存場所や暗号化)を確認する必要があります。
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