基本情報技術者 2017年 秋期 午前(科目A) 問59
問題文
システム監査人が実施するヒアリングに関する記述のうち、最も適切なものはどれか。
選択肢
ア:監査業務を経験したことのある被監査部門の管理者をヒアリングの対象者として選ぶ。
イ:ヒアリングで被監査部門から得た情報を裏付けるための文書や記録を入手するよう努める。(正解)
ウ:ヒアリングの中で気が付いた不備事項について、その場で被監査部門に改善を指示する。
エ:複数人でヒアリングを行うと記録内容に相違が出ることがあるので、1人のシステム監査人が行う。
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監査ヒアリングの基本【午前解説】
正解の理由
本問では、ヒアリングは「情報収集とそれを裏付ける監査証拠の取得」が目的であるため、被監査部門から得た口頭の説明について、文書や記録で裏付けを取ることが適切です。したがって、選択肢イが正解です。ヒアリング自体は重要な証拠源ですが、主観的・記憶に依存するため、客観的証拠(文書・ログ・記録など)で補強することが監査手続の基本です。
また、監査人の役割について補足すると、監査人は業務改善の提言や助言(提言・助言)は行えますが、被監査部門に対して改善を命じる権限(指示)は持ちません。監査は評価・報告と改善提言が役割であり、実行権限は被監査部門の経営陣にあります。
解法ステップ
- ヒアリングの目的を確認する(情報収集・実態確認・監査証拠の取得)。
- 選択肢がその目的に合致しているかを判断する(証拠の補強、権限の範囲、実務上の効率)。
- 「監査人の権限(助言は可、指示は不可)」という監査の基本原則と照らし合わせる。
- 複数人で行う利点・欠点を比較し、単独実施が常に適切ではない点を考慮する。
上記により、口頭情報を文書で裏付けることを勧めるイが妥当と判断できます。
選択肢別の誤答解説
- ア: 監査業務を経験した被監査部門の管理者を対象にすることが自動的に誤りではありませんが、ヒアリング対象は「実務に最も詳しい者」「業務責任者」「プロセスの担当者」など、目的に応じて適切に決めるべきです。監査経験の有無だけで対象を決めるのは不適切で、バイアスや代表性の欠如を招く恐れがあります。
- イ: 正解。口頭説明は裏付けがないと信頼性が低いため、文書やログなどの客観的証拠を入手し、検証することが監査上の必須プロセスです。
- ウ: 誤り。監査人は被監査部門に対して直接「改善を指示する(命じる)」権限を持ちません。発見事項は指摘して報告し、必要に応じて改善提言や助言を行って監督層に改善を促しますが、実行指示は経営側の権限です。
- エ: 誤り。複数の監査人でヒアリングを行うと記録の差異が生じる可能性はありますが、それを理由に必ず1人で行うべきではありません。複数人で行う利点(複眼的検討、分担による網羅性向上)があり、事前に役割分担や記録方式を決めることで差異を抑えられます。
よくある誤解
- 監査人は「何も助言できない/関与できない」:監査人は改善のための提言・助言は行えますが、被監査部門に対する具体的な業務遂行の指示・命令は行えません。この「提言(可)/指示(不可)」の差を混同しやすいので注意してください。
- ヒアリングだけで結論を出してよい:口頭情報のみで結論を出すと誤判断の原因になります。必ず文書・ログ・設定情報などで裏付けを取ることが必要です。
- 単独実施が最善:一人で行えばぶれないという誤解がありますが、複数名でのヒアリングは確認や専門性の補完に有効です。共通の質問票や議事録テンプレートで整合性を保つことが大切です。
補足コラム
- ヒアリングで有効な裏付け資料の例:業務手順書、フローチャート、変更履歴、ログ、アクセス権一覧、設定ファイル、SLA・契約書、過去の報告書・検査結果。
- 実務的な運用ポイント:
- 事前に質問票(チェックリスト)を作成し、対象者に共有しておくと効率的。
- 記録方法は議事録(要点+発言者)、音声録音(同意が必要)、またはチェックリストの回答で統一する。
- 重要な発言や矛盾があれば、その場で確認し、関連文書の提示を求める。提示が無ければ入手手続を明確にする。
- 簡単なヒアリングチェックリスト例(抜粋)
1. 担当業務の概要と主要手順を説明してください。
2. 直近の変更履歴(誰が、いつ、何を)を示す資料はありますか?
3. 権限付与・変更の記録(申請・承認)はどのように管理されていますか?
4. 発言内容を裏付ける文書やログの提示をお願いします。
FAQ
Q1: 監査人が見つけた不備を現場で改善するように促してもよいですか?
A1: 改善を促したり、改善方法の提案や助言は可能です。しかし、被監査部門に対して直接的な実行の指示や命令を行う権限は監査人にありません。改善の実行は被監査部門(経営陣や責任者)の判断と責任に委ねられます。
A1: 改善を促したり、改善方法の提案や助言は可能です。しかし、被監査部門に対して直接的な実行の指示や命令を行う権限は監査人にありません。改善の実行は被監査部門(経営陣や責任者)の判断と責任に委ねられます。
Q2: 被監査部門が口頭で重要な事実を否認した場合、どう対応すべきですか?
A2: 否認があれば、関連する文書やログを再度提示してもらい、第三者的な証拠(システムログ、メール、承認記録など)で確認します。証拠が取得できない場合は、その状況を監査報告で明確に記述し、限界事項として扱います。
A2: 否認があれば、関連する文書やログを再度提示してもらい、第三者的な証拠(システムログ、メール、承認記録など)で確認します。証拠が取得できない場合は、その状況を監査報告で明確に記述し、限界事項として扱います。
Q3: ヒアリングの録音は可能ですか?
A3: 録音は有効な記録手段ですが、事前に被監査部門の同意を得る必要があります。組織の規程や法令(個人情報保護など)にも配慮し、録音の目的と利用範囲を明確にしてから実施してください。
A3: 録音は有効な記録手段ですが、事前に被監査部門の同意を得る必要があります。組織の規程や法令(個人情報保護など)にも配慮し、録音の目的と利用範囲を明確にしてから実施してください。
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