基本情報技術者 2017年 春期 午前(科目A) 問32
問題文
LANに接続されている複数のPCを、FTTHを使ってインターネットに接続するシステムがあり、装置AのWAN側インタフェースには1個のグローバルIPアドレスが割り当てられている。この1個のグローバルIPアドレスを使って複数のPCがインターネットを利用するのに必要となる装置Aの機能はどれか。

選択肢
ア:DHCP
イ:NAPT (IPマスカレード)(正解)
ウ:PPPoE
エ:パケットフィルタリング
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NAPTによるIPマスカレード【午前解説】
正解の理由
設問では装置AのWAN側に「1個のグローバルIPアドレス」が割り当てられており、利用者宅内の複数PCはプライベートIPを持つ想定です。この状況で複数のPCが同時にインターネットにアクセスするには、「複数のプライベートIP:ポート」を「単一のグローバルIP:異なるポート」へ対応付ける機能が必要です。これを実現するのがNAPT(Network Address and Port Translation、IPマスカレード)で、外向きの接続では送信元IPをグローバルIPに書き換え、送信元ポートも変換して多対一の通信を管理します。よって正解はイです。
解法ステップ
- 問題文から「WAN側に1個のグローバルIPが割り当てられている」点を確認する。
- 「複数のPCがインターネットを使う」ために必要な機能が何かを考える(多対一のIP共有の要否)。
- 選択肢を機能で分類する:DHCP(アドレス配布)、NAPT(多対一変換)、PPPoE(認証・セッション)、パケットフィルタ(通信制御)。
- 多対一で「送信元IPとポートを変換」するのはNAPTなので、これを選ぶ。
選択肢別の誤答解説
- ア: DHCP
- 説明:DHCPはLAN内のホストにIPアドレスやDNSなどを配布するプロトコルであり、複数端末のインターネット共有(グローバルIPの多対一変換)を行いません。したがって不正解です。
- イ: NAPT (IPマスカレード)
- 説明:NAPTは送信元IPアドレスとポート番号を変換して多数のプライベートIPを1つのグローバルIPで共有可能にします。設問の要件に合致するため正解です。
- ウ: PPPoE
- 説明:PPPoEはユーザ認証や接続のためのトンネリング・セッション確立プロトコルで、1個のグローバルIPを複数端末で共有する変換機能は持ちません(ISPとの接続方式)。不正解です。
- エ: パケットフィルタリング
- 説明:パケットフィルタは通過可否を判定するセキュリティ機能であり、アドレスやポートの多対一変換は行わないため不正解です。
よくある誤解
- 「DHCPがあればIPを共有できる」は誤解です。DHCPはLAN内でIPアドレスを配布する仕組みであり、グローバルIPの共有機能ではありません。
- 「PPPoEがあれば複数端末が接続できる」は誤解です。PPPoEは利用者認証やセッション確立のためのプロトコルであり、アドレス変換(多対一変換)そのものは行いません。
- 「パケットフィルタは共有に使える」は誤解です。パケットフィルタリングは通過可否の判定(セキュリティ)を行うだけで、アドレス変換の機能は持ちません。
補足コラム
- NATとNAPTの違い:NATはアドレスを書き換える機能一般を指しますが、NAPTはポート番号まで含めて変換し「多数→1つ」を可能にする方式です。家庭用ルータで一般的に使われているのはNAPT(IPマスカレード)です。
- 制約と対策:NAPTでは外部から内部ホストへの直接到達が難しくなるため、外部公開が必要なサービスはポートフォワーディングやDMZ、UPnPなどで対応します。IPv6普及によりNATは不要になる場面も増えますが、現状ではIPv4環境で一般的です。
- Linuxでの簡単な設定例:WANインタフェースをeth0とした場合の一時設定例
# IP転送を有効にする
sysctl -w net.ipv4.ip_forward=1
# NAT(マスカレード)ルールを追加(eth0をWANとする)
iptables -t nat -A POSTROUTING -o eth0 -j MASQUERADE
FAQ
Q1. 家庭用ルータなら必ずNAPTを持っていますか?
A1. ほとんどの家庭用ルータ(ブロードバンドルータ)はNAPT機能を備えていますが、設定で無効にできるものもあります。機器の仕様で確認してください。
A1. ほとんどの家庭用ルータ(ブロードバンドルータ)はNAPT機能を備えていますが、設定で無効にできるものもあります。機器の仕様で確認してください。
Q2. PPPoEとNAPTは併用されますか?
A2. はい。PPPoEでISPとセッションを確立してグローバルIPを得た後、家庭内はNAPTで複数端末を共有する、という組み合わせが一般的です。
A2. はい。PPPoEでISPとセッションを確立してグローバルIPを得た後、家庭内はNAPTで複数端末を共有する、という組み合わせが一般的です。
Q3. NAPTでポートが足りなくなることはありますか?
A3. 理論上ポート数は有限(TCP/UDPでそれぞれ約65535)ですが、普通の家庭利用では枯渇は稀です。大量の同時接続を行う特殊用途では問題になる場合があります。
A3. 理論上ポート数は有限(TCP/UDPでそれぞれ約65535)ですが、普通の家庭利用では枯渇は稀です。大量の同時接続を行う特殊用途では問題になる場合があります。
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