基本情報技術者 2018年 秋期 午前(科目A) 問55
問題文
キャパシティ管理における将来のコンポーネント、並びにサービスの容量・能力及びパフォーマンスを予想する活動のうち、傾向分析はどれか。
選択肢
ア:特定の資源の利用状況を時系列に把握して、将来における利用の変化を予測する。(正解)
イ:待ち行列理論などの数学的技法を利用して、サービスの応答時間及びスループットを予測する。
ウ:模擬的にトランザクションを発生させて、サービスの応答時間及びスループットを予測する。
エ:モデル化の第一段階として、現在達成されているパフォーマンスを正確に反映したモデルを作成する。
キャパシティ管理における傾向分析【午前2 解説】
要点まとめ
- 結論:傾向分析は特定資源の時系列データから増減や季節性を抽出し将来の需要を予測する活動です。
- 根拠:設問の「時系列に把握して将来の利用の変化を予測する」は過去データのトレンド抽出を示し傾向分析の定義に合致します。
- 差がつくポイント:待ち行列理論や負荷試験は別手法で、数学モデルや実機検証と用途が異なる点を見分けることが重要です。
正解の理由
正解は ア です。傾向分析(トレンド分析)は、CPU 使用率やネットワーク帯域など特定の資源利用を時系列で収集し、その変化パターンから将来の利用量を推定する手法を指します。設問文の「時系列に把握して、将来における利用の変化を予測する」という記述は、まさに過去データに基づくトレンド抽出と外挿を意味しており、選択肢アが定義どおり正解となります。
よくある誤解
- 待ち行列理論(イ)と混同しやすい:待ち行列理論は数学的モデルで応答時間やスループットを評価するため傾向分析とは目的が異なります。
- ロードテスト(ウ)と混同:実機で負荷を掛ける試験は将来負荷の再現やボトルネック検出に有効ですが、過去データの時系列予測とは別の活動です。
- モデル化と傾向抽出の順序を誤る:エの「現在の性能を正確に反映したモデル作成」はモデル検証やキャリブレーションであり、傾向分析そのものではありません。
解法ステップ
- 問題文のキーワードを確認:「時系列」「将来における利用の変化」「特定の資源」などを抽出します。
- 各選択肢とキーワードを照合:時系列データの収集・分析を示すものが傾向分析に該当します。
- 手法の目的で切り分ける:数学的予測、実負荷試験、モデルの構築、それぞれの目的差を確認します。
- 最終判断:時系列による将来予測を明示しているアを正解とします。
選択肢別の誤答解説
- ア: 正解。特定資源の利用状況を時系列で把握し将来変化を予測する記述は傾向分析そのものです。
- イ: 誤り。待ち行列理論は確率・数学モデルを用いて応答時間やスループットを解析する手法で、過去の時系列データから単純に傾向を抽出する活動とは異なります。
- ウ: 誤り。模擬トランザクションを発生させるロード/ストレステストは実機検証による性能評価で、時系列傾向の抽出を行う手法ではありません。
- エ: 誤り。モデル化の第一段階として現在の性能を反映したモデルを作ることはモデル検証やキャリブレーションに当たりますが、設問の「傾向分析」とは別の工程です。
補足コラム
傾向分析で用いられる代表的な手法には移動平均、指数平滑法、季節調整、回帰分析、ARIMA モデルなどがあります。実務では単純な直線外挿だけでなく季節性やトレンドの変化点検出、ビジネスイベント(キャンペーンやリリース)による影響の調整が重要です。また、傾向分析は「いつまでに何を増設するか」の計画材料になりますが、安全マージン(headroom)やSLA対応のための余裕も考慮する必要があります。
FAQ
Q1: 傾向分析と待ち行列理論はどちらを使うべきですか?
A1: 目的によります。過去データから将来需要を予測するなら傾向分析、サービスの応答時間やスループットを理論的に評価したいなら待ち行列理論を使います。
A1: 目的によります。過去データから将来需要を予測するなら傾向分析、サービスの応答時間やスループットを理論的に評価したいなら待ち行列理論を使います。
Q2: どれくらいの期間のデータが必要ですか?
A2: 季節性を捉えたい場合は少なくとも1周期(例:週間・月間の季節性なら数ヶ月〜1年)、長期トレンド把握なら数年のデータが望ましいです。
A2: 季節性を捉えたい場合は少なくとも1周期(例:週間・月間の季節性なら数ヶ月〜1年)、長期トレンド把握なら数年のデータが望ましいです。
Q3: 異常値(突発的なピーク)はどう扱えばよいですか?
A3: 原因を調査し、除外・補正・別モデルで扱うなど状況に応じて対処します。ビジネス要因なら予測に組み入れることも検討します。
A3: 原因を調査し、除外・補正・別モデルで扱うなど状況に応じて対処します。ビジネス要因なら予測に組み入れることも検討します。
Q4: 傾向分析だけで十分ですか?
A4: 単独では不十分な場合があります。将来の負荷特性やアーキテクチャ変更を評価するには、待ち行列理論や負荷試験など他手法と組合せることが有効です。
A4: 単独では不十分な場合があります。将来の負荷特性やアーキテクチャ変更を評価するには、待ち行列理論や負荷試験など他手法と組合せることが有効です。
関連キーワード: キャパシティ管理、傾向分析、トレンド分析、時系列解析、待ち行列理論、ロードテスト、モデル検証、キャパシティプランニング、パフォーマンス予測

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