基本情報技術者 2019年 秋期 午前(科目A) 問16
問題文
2台の処理装置から成るシステムがある。少なくともいずれか一方が正常に動作すればよいときの稼働率と、2台とも正常に動作しなければならないときの稼働率の差は幾らか。ここで、処理装置の稼働率はいずれも0.9とし、処理装置以外の要因は考慮しないものとする。
選択肢
ア:0.09
イ:0.10
ウ:0.18(正解)
エ:0.19
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並列と直列の稼働率差【午前解説】
正解の理由
2台の処理装置それぞれの稼働率を とすると、「少なくともいずれか一方が正常に動作すればよい」(並列構成)のシステム稼働率は「両方とも故障する確率」を引いて求めます:
。
「2台とも正常に動作しなければならない」(直列構成)の稼働率は両方が同時に稼働する確率で、 。
差は で、したがって正解は ウ です。
「2台とも正常に動作しなければならない」(直列構成)の稼働率は両方が同時に稼働する確率で、 。
差は で、したがって正解は ウ です。
解法ステップ
- 各装置の稼働率を 、故障率を と置く。
- 並列(少なくとも1台稼働): 全部故障する確率は 。よってシステム稼働率は 。
- 計算: 。
- 直列(両方稼働): 。
- 計算: 。
- 差 = 。
(補足)2台同じ の場合、この差は「ちょうど1台だけが稼働する確率」と一致します。式で見ると
。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 0.09
0.09 は に相当し、「特定の一方(例えばA)が稼働し、他方(B)が故障する」順序付きの事象の確率です。問題で求めているのは順序を区別しない「どちらか一方または両方」というシステム稼働率と直列稼働率の差なので、0.09 は半分しか説明していません(正しい差はその2倍の です)。先の解説で誤って「0.09 を と関連づける」記述がありましたが、それは事実誤認です。0.09 は (=0.01)とは無関係です。 -
イ: 0.10
0.10 は単一装置の故障率 に相当します。稼働率の差を求める問題で単に故障率を答えるのは誤りです。混同の典型例は「差 = 1 - p」などと取り違えることですが、ここではシステム形態(並列/直列)に基づく確率計算が必要です。 -
エ: 0.19
0.19 は算術ミスや丸めの結果として出る値の可能性があります。例えば直列の稼働率を誤って と計算して とするとこの値が出ますが、正しい直列稼働率は です。よって単純な計算誤差が原因です。
よくある誤解
- 「0.09 = 0.1^2」と見なす誤り
0.09 は とは別物で、(特定順序の確率)です。複数装置の確率は順序の扱いに注意してください。 - 「少なくとも1台稼働」と「ちょうど1台稼働」を混同する
「少なくとも1台」は10%の故障が両方同時に起きる場合を除いた全てを含みますが、「ちょうど1台」は両方同時に稼働する場合を含みません。 - 独立性の仮定を忘れる
上の式は装置間に独立性(故障・稼働が互いに影響しない)がある前提です。相関がある場合は別の解析が必要です。
補足コラム
- 一般の 台の同一稼働率 の場合
- 直列(全台稼働):
- 並列(少なくとも1台):
- それらの差: 。特に のときは となり、「ちょうど1台稼働する確率」に等しい点が面白い性質です。
- 異なる稼働率 の2台なら
- 並列:
- 直列:
差は (ちょうど1台稼働する確率の和)。
FAQ
- Q: 装置に修理が入る場合はどう計算する?
A: 修理がある場合は単純な稼働率 を用いるよりも、到達確率や稼働率の定常値として MTBF(平均故障間隔)と MTTR(平均修理時間)から可用性 を使い、その を上の式に代入します。 - Q: 装置の故障が独立でない場合は?
A: 依存性があると のような積で表せません。共通故障モードや確率過程をモデル化して同時故障確率を直接評価する必要があります。 - Q: なぜ差が「ちょうど1台稼働」の確率になるのですか?
A: 並列は「ちょうど1台」+「両方稼働」を含み、直列は「両方稼働」のみを含むため、差は自然に「ちょうど1台稼働」に対応します。
関連キーワード: 可用性、冗長化、直列構成、並列構成、確率計算、MTBF、MTTR、独立事象、故障確率

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