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基本情報技術者 2026年 科目A05


問題文

仮想記憶方式のコンピュータシステムにおいて、処理の多重度を増やしたところ、ページイン、ページアウトが多発して、システムの応答速度が急激に遅くなった。このような現象を何というか。

選択肢

オーバレイ
スラッシング(正解)
メモリコンパクション
ロールアウト

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スラッシング現象【午前解説】

正解の理由

選択肢は「スラッシング(thrashing)」を指します。処理の多重度を上げて各プロセスが必要とするページ数に比べて物理メモリのフレームが不足すると、ページフォルトが頻発してページイン/ページアウトに時間を取られ、CPUは実効的な処理をほとんど行えなくなります。これがスラッシングで、設問で示された「ページイン・ページアウトが多発して応答速度が急激に遅くなる」状況と一致します。

解法ステップ

  1. 問題文のキーワードを抽出:「ページイン/ページアウトが多発」「処理の多重度を増やした」「応答速度が急激に低下」。
  2. これらは「ページングに関する性能劣化」を示す表現であると判断する。
  3. ページングが過度に発生してシステム全体のスループットが低下する現象=スラッシングと照合する。
  4. 他の選択肢(オーバレイ、メモリコンパクション、ロールアウト)は意味が異なるため除外する。

選択肢別の誤答解説

  • ア: オーバレイ
    プログラムの一部を同じ領域に順次読み込んで実行する技法。メモリ節約のための手法であり、ページイン/アウトの頻発による全体遅延を表すものではない。
  • : スラッシング
    正解。ページフォルトの連鎖的増加によりCPU利用率が下がり、I/Oに占有されてしまう状態を指す。
  • ウ: メモリコンパクション
    メモリの断片化を解消するために空き領域を詰める操作。ページング頻度が増えて遅くなる現象とは異なる対処・概念。
  • エ: ロールアウト
    プロセス全体を補助記憶へ退避(スワップアウト)し、必要時に呼び戻す手法(スワッピング系)。局所的なページングの激増によるスラッシングとは原因・挙動が異なる。

よくある誤解

  • スラッシング=単なるスワッピングだと思う
    スワッピングはプロセス全体の退避を指すことが多いです。スラッシングは「頻繁な個別ページの入れ替え」による性能劣化を指します。
  • CPU使用率が高いとスラッシングではないと考える
    スラッシング時はCPU使用率はむしろ低下する(I/O待ちが多いため)。これを見落とすと診断を誤ります。
  • 置換アルゴリズムのせいだけだと考える
    置換アルゴリズムも影響しますが、主因は「プロセス群の要求ワーキングセット合計 > 実機フレーム数」です。アルゴリズムだけで完全回避できない場合がある。

補足コラム

スラッシングの分析には「ワーキングセット」モデル(Denning)が有用です。各プロセスのワーキングセットサイズ の合計が利用可能フレーム数 を超えると、ページフォルト率が急上昇しスラッシングが発生します。すなわち
となると危険です。防止策としては、
  • 物理メモリの増設
  • 多重度(同時実行プロセス数)の制御(ロードコントロール)
  • ワーキングセット管理やページフォルト頻度に基づく調整
  • ローカル置換やプログラムのページ参照性の改善 などが実用的です。観測指標は「高いディスクI/O、非常に高いページフォルト率、低いCPU利用率」です。

FAQ

Q: スラッシングはどうやって検出しますか?
A: ページフォルト率の急増、ディスクI/Oの持続的高負荷、CPU利用率の低下(I/O待ち増)を組み合わせて検出します。
Q: すぐにできる対処は?
A: 実行中のプロセス数を減らす、メモリを割り当て直す、優先度の低いジョブを一時停止するなどで負荷を下げます。根本対策はメモリ増設やアルゴリズムの見直しです。
Q: どのページ置換アルゴリズムでも起こり得ますか?
A: はい。どのアルゴリズムでもワーキングセット合計が物理メモリを超えれば発生しますが、適切な置換戦略で発生を緩和できることがあります。

関連キーワード: スラッシング、ページング、ページフォルト、ワーキングセット、ページ置換、スワッピング、メモリ断片化、ロードコントロール
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