情報セキュリティマネジメント 2016年 秋期 午前(科目A) 問01
問題文
ICカードとPINを用いた利用者認証における適切な運用はどれか。
選択肢
ア:ICカードによって個々の利用者が識別できるので、管理負荷を軽減するために全利用者に共通のPINを設定する。
イ:ICカード紛失時には、新たなICカードを発行し、PINを再設定した後で、紛失したICカードの失効処理を行う。
ウ:PINには、ICカードの表面に刻印してある数字情報を組み合わせたものを設定する。
エ:PINは、ICカードの配送には同封せず、別経路で利用者に知らせる。(正解)
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ICカード認証運用【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
ICカード(内部に電子回路を持つ身分証明用カード)とPIN(Personal Identification Number:個人識別番号、本人が知っている情報)を組み合わせる運用は、「持っているもの(カード)」と「知っているもの(PIN)」の二要素認証(2要素認証:two-factor authentication)となり、強い本人確認になります。これら二つの要素の独立性を保つため、カードとPINは別経路で配布する必要があります。したがって、カード配送にPINを同封しない運用である エ が適切です。カードとPINを同時に奪われると、事実上本人認証が成立してしまうため危険です。
解法ステップ
- 問題の目的を確認:ICカード+PINの運用で「安全に本人を確認する」ことが目的。
- 認証の原理を思い出す:2要素認証は「持っているもの」と「知っているもの」が別であることが前提。
- 各選択肢を「独立性」「運用手順」「情報漏洩のリスク」で評価する。
- 「カードとPINが同時に漏れる可能性があるか」を基準に正誤を判断する。
- 別経路での通知(別封筒、別配送、対面、別の電子チャネルなど)により独立性を確保する選択肢を採る。
選択肢別の誤答解説
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ア: ICカードによって個々の利用者が識別できるので、管理負荷を軽減するために全利用者に共通のPINを設定する。
誤り。共通のPINは「知っているもの」の要素が無力化されます。誰でも共通の番号を知っていれば、カードの所持だけで認証が可能になり、不正利用防止の効果が失われます。管理負荷を理由にセキュリティを下げるのは避けるべきです。 -
イ: ICカード紛失時には、新たなICカードを発行し、PINを再設定した後で、紛失したICカードの失効処理を行う。
誤り。紛失が判明したら速やかに紛失カードを失効(無効化)すべきです。失効を後回しにすると、紛失カードが第三者に使われるリスクが残ります。新カード発行やPIN再設定は本人確認が完了し、失効処理と並行または失効後に行うのが正しい手順です。 -
ウ: PINには、ICカードの表面に刻印してある数字情報を組み合わせたものを設定する。
誤り。カード表面の刻印はカードを見れば誰でも知り得る情報です(公知情報)。これをPINに使うと推測やソーシャルエンジニアリングで突破されやすくなります。PINは推測されにくいランダム性が必要です。 -
エ: PINは、ICカードの配送には同封せず、別経路で利用者に知らせる。
正しい。カード(持っている要素)とPIN(知っている要素)の配布を物理的・論理的に分けることで、両方を同時に奪われるリスクを下げられます。さらに、初期PINは利用者がログイン時に自分で変更する仕組み(ワンタイムPINや初回変更必須)にする運用が望ましいです。
よくある誤解
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「カードに個人情報があるからPINは簡単で良い」
カードに氏名や番号があっても、PINは別に秘密にする必要があります。カード情報は見える情報であり、PINは秘密情報です。 -
「紛失時は新カードを先に出せば手続きが早く済む」
先に新カードを出すと、紛失カードが不正利用される可能性が残ります。まず失効手続きを行い、安全確認のうえ再発行します。 -
「メールでPINを送れば手軽だ」
暗号化されていないメールは盗聴や誤送信のリスクがあります。メール単体での送付は避け、暗号化や別の経路(郵送・対面・認証済みポータル)を検討します。
補足コラム
- 配送の具体例:カードは簡易書留で郵送、PINは別の日に別封筒で郵送する、あるいはカードは郵送、PINは本人確認した上で対面で手渡す方法などが考えられます。SMSは短時間の利便性がある反面、番号乗っ取り(SIMスワップ)等のリスクがあるため重要度によっては適切でない場合があります。
- 初期PIN運用:よくある運用は「発行側が一時的な初期PINを設定し、初回ログオン時に利用者本人が新しいPINに変更する」方式です。これにより発行時の漏洩リスクを低減します。
- ブロッキングとPUK:一定回数以上の誤入力でカード内の認証機能がロックされる仕組みがあります。ロック解除にはPUK(Personal Unblocking Key:解除用の特別な鍵)が必要になることがあります。PUKの管理も厳重に行ってください。
FAQ
Q: PINを安全に知らせる最も安全な方法は何ですか?
A: 対面での通知が最も安全です。難しい場合は、カードとPINを別日に別の配送経路で送るか、暗号化された専用ポータルでの表示を検討してください。暗号化されないメールや同封は避けます。
A: 対面での通知が最も安全です。難しい場合は、カードとPINを別日に別の配送経路で送るか、暗号化された専用ポータルでの表示を検討してください。暗号化されないメールや同封は避けます。
Q: 利用者がPINを忘れた場合の対応は?
A: 利用者の身元確認を厳格に行ったうえで、既存PINを無効化し、一時的な初期PINを発行して初回ログオン時に再設定させるのが一般的です。手続きは記録に残し、なりすまし対策を徹底してください。
A: 利用者の身元確認を厳格に行ったうえで、既存PINを無効化し、一時的な初期PINを発行して初回ログオン時に再設定させるのが一般的です。手続きは記録に残し、なりすまし対策を徹底してください。
Q: PINはどれくらいの長さが望ましいですか?
A: 組織のリスクに応じますが、短すぎる(たとえば4桁のみ)と総当たりで突破されやすくなります。システム要件で6桁以上や英数字混在を要求するなどの対策を検討してください。
A: 組織のリスクに応じますが、短すぎる(たとえば4桁のみ)と総当たりで突破されやすくなります。システム要件で6桁以上や英数字混在を要求するなどの対策を検討してください。
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