情報セキュリティマネジメント 2016年 秋期 午前(科目A) 問02
問題文
リスクの顕在化に備えて地震保険に加入するという対応は、JIS Q 31000:2010に示されているリスク対応のうち、どれに分類されるか。
選択肢
ア:ある機会を追求するために、そのリスクを取る又は増加させる。
イ:一つ以上の他者とそのリスクを共有する。(正解)
ウ:リスク源を除去する。
エ:リスクを生じさせる活動を開始又は継続しないと決定することによって、リスクを回避する。
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リスク共有【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
地震による損害が発生した場合の金銭的負担を保険会社と分け合う(負担を移す)対応は、JIS Q 31000:2010でいう「リスクを他者と共有する」扱いです。問題の対応「地震保険に加入する」は、発生した損害の経済的影響を保険会社に移転する仕組みなので、選択肢の中ではイが正しい分類になります。保険はリスクを完全に消すのではなく、損失の経済的影響を第三者と分担する(共有・移転する)方法だからです。
(補足)JIS Q 31000:2010はリスクマネジメントの規格で、リスク対応の種類には「回避(avoidance)」「軽減(reduction)」「共有・移転(sharing/transfer)」「保有(retain)」などがあります。保険は典型的な「共有/移転」です。
解法ステップ
- 問題文の対応策を短く整理する:地震保険に加入=損害発生時の経済的負担を保険会社に任せること。
- JISのリスク対応の分類を思い出すまたは照合する:回避、削減、共有(移転)、保有(受容)など。
- 各選択肢と照らし合わせる:保険は「リスクを他者と共有・移転する」ため、イを選ぶ。
- 他の選択肢が当てはまらないことを確認して確定する。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 「ある機会を追求するために、そのリスクを取る又は増加させる。」
→ これはリスクを積極的に受け入れ、リスクを増やして機会を追う行為です(リスク受容/増加)。保険加入は機会追求ではなく、発生時の損害を軽減する手段なので該当しません。 -
イ: 「一つ以上の他者とそのリスクを共有する。」
→ 保険は保険会社と被保険者で損失を分担する仕組みです。したがってこれが該当します。 -
ウ: 「リスク源を除去する。」
→ リスク源を完全になくす(例:危険な設備を撤去する)ことを指します。地震という自然現象そのものは除去できないため、保険加入は除去ではありません。 -
エ: 「リスクを生じさせる活動を開始又は継続しないと決定することによって、リスクを回避する。」
→ リスク回避はその活動自体をやめることで発生を防ぐ対応です(例:危険な工事を実施しない)。地震保険加入は活動をやめることではないので回避には当てはまりません。
よくある誤解
-
「保険はリスクを完全に無くす」
→ 実際には保険は経済的損失を補填する手段です。免責金額(自己負担)や補償上限があり、すべての被害をカバーするわけではありません。 -
「リスク共有=実務的に責任放棄」
→ 保険で経済的負担を移転しても、業務上の責任や復旧対応などの義務は残る場合があります。契約内容や法的責任を確認する必要があります。
補足コラム
職場で実際に「保険によるリスク共有」を運用する場合のポイント
- 保険の対象と補償範囲を明確にする(建物、設備、営業損失など)。
- 保険金額と自己負担(免責)をコストとリスク許容度で決める。
- 保険契約の更新・見直しを定期的に行う(地震リスクの評価や資産の増減に対応)。
- インシデント発生時の保険請求フローを社内規程に位置付け、担当者や必要書類を整備する(被害調査、見積り、報告書など)。
こうした運用により、保険による経済的復旧がスムーズになり、業務継続計画(BCP)と連携できます。
FAQ
Q: 地震保険は「リスク回避」ではありませんか?
A: 回避は「その活動をやめる」ことでリスク発生そのものを防ぐことです。地震は活動を止めても避けられない自然災害なので、保険は発生後の経済的損失を他者と分担する「共有/移転」です。
A: 回避は「その活動をやめる」ことでリスク発生そのものを防ぐことです。地震は活動を止めても避けられない自然災害なので、保険は発生後の経済的損失を他者と分担する「共有/移転」です。
Q: 保険と「リスク低減(軽減)」は同じですか?
A: 異なります。軽減は損害発生の可能性や影響を小さくする対策(耐震補強や防災訓練など)。保険は影響が起きた後の金銭的補填を行う方法です。両方を組み合わせるのが実務では一般的です。
A: 異なります。軽減は損害発生の可能性や影響を小さくする対策(耐震補強や防災訓練など)。保険は影響が起きた後の金銭的補填を行う方法です。両方を組み合わせるのが実務では一般的です。
Q: 保険で全て安心できますか?
A: いいえ。保険は重要ですが、免責や上限があるため、被害想定と保険の補償範囲を確認し、必要に応じて自己資金の準備や事業継続対策も講じる必要があります。
A: いいえ。保険は重要ですが、免責や上限があるため、被害想定と保険の補償範囲を確認し、必要に応じて自己資金の準備や事業継続対策も講じる必要があります。
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