情報セキュリティマネジメント 2016年 秋期 午前(科目A) 問35
問題文
不正アクセス禁止法による処罰の対象となる行為はどれか。
選択肢
ア:推測が容易であるために、悪意のある攻撃者に侵入される原因となった、パスワードの実例を、情報セキュリティに関するセミナの資料に掲載した。
イ:ネットサーフィンを行ったところ、意図せずに他人の利用者IDとパスワードをダウンロードしてしまい、PC上に保管してしまった。
ウ:標的とする人物の親族になりすまし、不正に現金を振り込ませる目的で、振込先の口座番号を指定した電子メールを送付した。
エ:不正アクセスを行う目的で他人の利用者ID、パスワードを取得したが、これまでに不正アクセスは行っていない。(正解)
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不正アクセス禁止法の処罰対象【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
選択肢のエは、「不正アクセスを行う目的で他人の利用者ID・パスワードを取得した」という点が処罰の要件に当てはまるため正解です。
不正アクセス禁止法は、他人の識別符号(識別符号=利用者IDやパスワードなど、本人を特定してシステムに入るための情報)を不正に取得・提供したり、それを使って無断でシステムに入る行為を禁止します。特に「不正アクセスを行う目的(=将来不正アクセスする意思)」で取得した場合は、実際にアクセスを行っていなくても処罰対象になり得ます。したがって、目的を伴う取得の段階で違法となります。
不正アクセス禁止法は、他人の識別符号(識別符号=利用者IDやパスワードなど、本人を特定してシステムに入るための情報)を不正に取得・提供したり、それを使って無断でシステムに入る行為を禁止します。特に「不正アクセスを行う目的(=将来不正アクセスする意思)」で取得した場合は、実際にアクセスを行っていなくても処罰対象になり得ます。したがって、目的を伴う取得の段階で違法となります。
解法ステップ
- 問題が問う法律の対象を確認する(不正アクセス禁止法=他人の識別符号や不正アクセス行為を規制)。
- 各選択肢が「識別符号の取得・提供」「不正アクセスの実行」「その他(詐欺など)」のどれに当たるか分類する。
- 法律の肝である「目的(不正アクセスの意思)」と「行為(取得・提供・実行)」の有無で照らし合わせる。
- 「目的を伴う取得」は実行前でも処罰される点を押さえる(これが正解の決め手)。
選択肢別の誤答解説
- ア: セミナー資料に「実例としてのパスワード」を掲載した。
→ 実際に他人の識別符号を無断で第三者に提供したなら問題ですが、問題文からは意図的に不正アクセスを助ける目的で公開したとは明記されていません。まずは内部規程違反や個人情報保護上の問題になる可能性が高く、必ずしも不正アクセス禁止法による処罰の対象とは限りません。 - イ: 意図せず他人のID・パスワードをダウンロードして保管してしまった。
→ 「偶然入手」し、かつ不正アクセスの目的がなければ、不正アクセス禁止法の「目的を伴う取得」に該当しません。発見時は削除・報告など対応すべきですが、故意や目的がなければ同法での処罰にはつながりにくいです。 - ウ: 親族になりすまして振込を促すメールを送付した(振込詐欺)。
→ これは詐欺罪や詐称(なりすまし)等の刑法・特別法で処罰されますが、不正アクセス禁止法が直接規制する「他人の識別符号を使ったシステムへの不正アクセス」とは別類型です。したがって本問の対象外です。 - エ: 不正アクセスを行う目的で他人のID・パスワードを取得した(ただしまだアクセスしていない)。
→ 取得時点で既に「不正アクセスの目的」が認められるため、不正アクセス禁止法の処罰対象になります(よって本肢が正解)。
よくある誤解
- 「IDやパスワードを持っているだけで必ず処罰される」
→ 意図(不正アクセスの目的)が重要です。偶発的に入手した場合は同法の処罰対象になりにくいですが、他の法令や社内規程の問題になることはあります。 - 「詐欺やなりすましは不正アクセス禁止法で処罰される」
→ 詐欺は詐欺罪が中心で、目的や手段によって適用される法律が異なります。犯罪類型を区別して考える必要があります。 - 「弱いパスワードや事例の公開は必ず刑事罰になる」
→ 事例公開は業務上のミスや個人情報保護法違反・内部処分の対象になり得ますが、直ちに不正アクセス禁止法の刑事罰とは限りません。
補足コラム
「識別符号」という言葉は法律で使われる専門語ですが、実務では単に『ログイン情報(利用者IDとパスワード)』と理解すれば十分です。職場で誰かが他人のログイン情報を入手したと分かったら、すべきことは次の通りです。
- 直ちにIT管理者に報告して該当アカウントのパスワードを変更。
- 入手経路や目的を確認(意図的か事故か)。
- 必要に応じて社内調査と外部報告、当事者への処分を検討。
これにより、将来の「不正アクセスの目的での取得」を未然に防げます。
FAQ
Q. 入手しただけで処罰されるのですか?
A. 基本は「不正アクセスの目的(将来アクセスする意思)」があるかどうかがポイントです。目的を持って取得した場合は処罰対象になり得ます。偶然の入手や誤ダウンロードは目的がなければ同法の処罰に該当しにくいですが、速やかに報告・削除することが求められます。
A. 基本は「不正アクセスの目的(将来アクセスする意思)」があるかどうかがポイントです。目的を持って取得した場合は処罰対象になり得ます。偶然の入手や誤ダウンロードは目的がなければ同法の処罰に該当しにくいですが、速やかに報告・削除することが求められます。
Q. 同僚が他人のパスワードを社内で共有していたら?
A. 社内規程違反や情報管理の重大な問題です。放置すると不正アクセスや情報漏洩につながるため、発見したらIT部門や個人情報管理担当へ報告し、パスワード変更や教育を行います。
A. 社内規程違反や情報管理の重大な問題です。放置すると不正アクセスや情報漏洩につながるため、発見したらIT部門や個人情報管理担当へ報告し、パスワード変更や教育を行います。
Q. 他人になりすましたメール送信はどう処理される?
A. 詐欺や業務妨害など別の犯罪に該当します。被害があれば警察への相談や社内対応が必要です。
A. 詐欺や業務妨害など別の犯罪に該当します。被害があれば警察への相談や社内対応が必要です。
関連キーワード: 不正アクセス、識別符号、目的要件、なりすまし、情報漏洩、取得と提供、刑事責任、内部運用管理

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