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情報セキュリティマネジメント 2016年 春期 午前(科目A)20


問題文

利用者PCのHDDが暗号化されていないとき、攻撃者が利用者PCからHDDを抜き取り、攻撃者が用意したPCに接続してHDD内の情報を盗む攻撃によって発生する情報漏えいのリスクの低減策のうち、適切なものはどれか。

選択肢

HDDにインストールしたOSの利用者アカウントに対して、ログインパスワードを設定する。
HDDに保存したファイルの読取り権限を、ファイルの所有者だけに付与する。
利用者PC上でHDDパスワードを設定する。(正解)
利用者PCにBIOSパスワードを設定する。

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HDDパスワード【情報セキュリティマネジメント解説】

正解の理由

物理的にHDD(ハードディスクドライブ)を抜き取られた場合、ドライブ自体にかかる保護がなければ別のPCに接続して中身を簡単に読み取られてしまいます。選択肢のうち、ドライブ単体でのアクセス制御を行うのは の「利用者PC上でHDDパスワードを設定する」だからです。HDDパスワード(ATAパスワードなど)はドライブのファームウェアレベルでロックをかけ、正しいパスワードを入力しないとデータを読めないようにします。したがって、抜き取られて別のPCにつながれても、パスワードがなければ読み出しが困難になり、情報漏えいリスクを低減します。

解法ステップ

  1. 攻撃手法を確認:攻撃者はHDDを「物理的に抜き取って別PCで読む」ことが目的。
  2. 抜き取られた後でも有効な対策を考える:ドライブ自体にかかる保護か、取り付けられたPC固有の保護かを判断する。
  3. 各選択肢を検証:ドライブから切り離しても効力が残るものを選ぶ。
  4. もっとも適切なのはドライブ単体に課されるロック(HDDパスワード)であると判定する。

選択肢別の誤答解説

  • ア: HDDにインストールしたOSの利用者アカウントに対して、ログインパスワードを設定する。
    • なぜ誤りか:OSのログインはそのOSが動作している環境で効力を持ちます。HDDを取り外して別のPCに接続すれば、別OSやライブブートでファイルシステムをマウントして中身を取得できるため、物理的な抜き取りには対処できません。
  • イ: HDDに保存したファイルの読取り権限を、ファイルの所有者だけに付与する。
    • なぜ誤りか:ファイルのアクセス権(ACL)はOSレベルの機能です。ドライブが別PCに接続されると、ファイルシステムを直接読み取るか、ファイル所有者情報を無視してデータにアクセスできるため、抜き取り対策として不十分です。
  • ウ: 利用者PC上でHDDパスワードを設定する。
    • なぜ正解か:ドライブ自身に設定するパスワードは、ドライブを別のPCに接続しても読み出しを禁止できます。ドライブ単位のロックは物理的窃取に対して有効です。
  • エ: 利用者PCにBIOSパスワードを設定する。
    • なぜ誤りか:BIOS(またはUEFI)のパスワードはそのPCでの起動制限に有効ですが、HDDを抜いて別のPCに繋がれると無意味です。BIOSパスワードは本体の不正起動対策であり、ドライブ単体の防護にはならない点に注意します。

よくある誤解

  1. 「OSログインやファイル権限があれば十分」と考える誤解
    • 実際は物理的にドライブを取り出された場合、別環境で直接アクセスされると無力です。物理盗難にはドライブ自身の保護が必要です。
  2. 「HDDパスワードは暗号化と同じ」と混同する誤解
    • HDDパスワードはドライブのロック機能であり、暗号化(データを数学的に読み取り不能にする)とは別物です。多くの場合、フルディスク暗号化の方がより強力かつ設計が明確です。

補足コラム

  • HDDパスワードの実装と限界
    • ATAパスワードや自己暗号化ドライブ(SED: Self-Encrypting Drive)はドライブ側で保護を行います。正しく実装されたSEDは強力ですが、古いドライブや一部の実装には脆弱性やリセット方法が存在することがあります。
  • 実務でのおすすめ運用
    • 企業では「フルディスク暗号化(FDE: Full Disk Encryption)」を推奨します。WindowsならBitLocker、macOSならFileVault、LinuxならLUKSが代表です。これらはOSレベルとハードウェア(TPM: Trusted Platform Module)を組み合わせて運用でき、中央で回復キーを管理(エスクロー)することで紛失時対応がしやすくなります。
  • 運用イメージ(一言)
    • 管理者が端末を配布する際、暗号化を有効にして回復キーを社内システムに保管。紛失時は回復キーでデータを復旧するか、遠隔で端末を無効化します。

FAQ

Q1. HDDパスワードとフルディスク暗号化、どちらが良いですか?
A1. フルディスク暗号化が一般に推奨です。管理性とセキュリティ(暗号化アルゴリズムの信頼性・復旧手段)が優れているからです。HDDパスワードは補助的手段と考えてください。
Q2. SSDでも同じ対策で良いですか?
A2. 概念は同じですが、SSDは自己暗号化機能(SED)を持つ製品があります。導入前に仕様とベンダーの運用方法(鍵管理など)を確認してください。
Q3. 導入時の運用面で気をつけることは?
A3. 復旧手段(回復キーの安全な保管)、キーローテーション、端末の廃棄・再利用時の消去手順、ユーザー教育を必ず用意してください。

関連キーワード: HDDパスワード、フルディスク暗号化、ATAパスワード、自己暗号化ドライブ、BitLocker、FileVault、TPM、物理盗難対策、エンドポイント暗号化、鍵管理
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