情報セキュリティマネジメント 2016年 春期 午前(科目A) 問24
問題文
公開鍵暗号を利用した電子商取引において、認証局(CA)の役割はどれか。
選択肢
ア:取引当事者間で共有する秘密鍵を管理する。
イ:取引当事者の公開鍵に対するディジタル証明書を発行する。(正解)
ウ:取引当事者のディジタル署名を管理する。
エ:取引当事者のパスワードを管理する。
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公開鍵証明書の発行【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
公開鍵暗号(公開鍵と秘密鍵のペアを使う方式)において、認証局(CA:Certificate Authority、証明書を発行する第三者)は、ある公開鍵が特定の主体(人・組織・サーバ)に属することを証明する「ディジタル証明書」を発行します。したがって、選択肢の中では イ(取引当事者の公開鍵に対するディジタル証明書を発行する。)が正解です。
簡単に言うと、CAは「その公開鍵は本当にこの人(またはこのサーバ)のものです」と署名して示す役割を持ちます。これにより、相手の公開鍵が偽造されたものでないかを検証でき、安全に暗号通信や電子署名の検証ができます。
解法ステップ
- 「認証局(CA)」という語から役割を思い出す:何を「認証」するかを考える。
- 公開鍵暗号の基本を確認する:公開鍵は誰でも知ってよい鍵、秘密鍵は持ち主だけが保持する鍵。
- 選択肢を1つずつ当てはめる:CAは鍵を直接管理するのか、証明書を発行するのか、署名を管理するのか、パスワードを扱うのか。
- 「公開鍵に対する証明を発行する」という記述がCAの本質と一致するためそれを選ぶ。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 取引当事者間で共有する秘密鍵を管理する。
公開鍵暗号では「秘密鍵」は個人が自分で管理します。複数当事者で共有する秘密鍵を管理するのは共通鍵暗号(対称鍵暗号)の運用に関わる話であり、CAの役割ではありません。 -
イ: 取引当事者の公開鍵に対するディジタル証明書を発行する。
これが正しい説明です。ディジタル証明書は公開鍵と所有者の情報を結び付け、CAが署名して信頼性を与えます。 -
ウ: 取引当事者のディジタル署名を管理する。
ディジタル署名(電子署名)は署名者の秘密鍵で作られます。CAは署名そのものを管理する役割は持ちません。むしろ、署名を検証するための公開鍵の正当性を保証します。 -
エ: 取引当事者のパスワードを管理する。
パスワード管理はID管理や認証システムの範疇であり、CAの業務ではありません。CAは鍵と証明書の信頼性を扱います。
よくある誤解
-
「CAは秘密鍵を保管している」と考える誤解
実務では秘密鍵は原則その鍵の持ち主が安全に保管します。CAは公開鍵に対する証明を発行する側であり、他者の秘密鍵を預かるわけではありません(例外的に鍵管理サービスを使う場合は別の運用が必要です)。 -
「CAの発行だけで完全に安全になる」と思う誤解
証明書は公開鍵と主体の結びつきを保証しますが、証明書の有効期限や失効(CRL/OCSP)管理を怠るとリスクがあります。CAの信頼連鎖(ルートCAの信頼性)も重要です。
補足コラム
ディジタル証明書の中身には、公開鍵、所有者の識別情報(例:組織名、ドメイン名)、有効期間、発行者(CA)の情報、そしてCAの電子署名が含まれます。これらを総称してPKI(Public Key Infrastructure:公開鍵基盤)と呼びます。PKIは「誰の公開鍵か」を信頼できるようにする仕組みです。
証明書の運用面では、職場では次のような対応が典型です。社内サーバに対しては社内CAを設置して証明書を発行・自動配布することが多く、外部向けウェブサイトは信頼された外部CAからSSL/TLS証明書を購入します。また、証明書の有効期限管理(期限切れの防止)や失効リスト(CRL:Certificate Revocation List、証明書失効リスト)・OCSP(Online Certificate Status Protocol:オンラインで失効確認する仕組み)による確認運用も必要です。
RA(Registration Authority:登録機関)は、CAと連携して申請者の身元確認を行う役割を持つことが多い点も知っておくと実務で役に立ちます。
FAQ
Q. CAは社内に置くべきですか、外部に委託すべきですか?
A. 用途によります。社内利用(社内システムや端末管理)なら社内CAで自動配布が便利です。外部公開サービス(顧客向けWebサイト等)は広くブラウザに信頼されている外部CAの証明書を使うのが一般的です。
A. 用途によります。社内利用(社内システムや端末管理)なら社内CAで自動配布が便利です。外部公開サービス(顧客向けWebサイト等)は広くブラウザに信頼されている外部CAの証明書を使うのが一般的です。
Q. 証明書が期限切れになるとどうなる?
A. TLSならブラウザが警告を出し、接続に失敗したり利用者が警告を無視しない限りサービスが利用できなくなります。業務に支障が出るため、更新(再発行)管理が重要です。
A. TLSならブラウザが警告を出し、接続に失敗したり利用者が警告を無視しない限りサービスが利用できなくなります。業務に支障が出るため、更新(再発行)管理が重要です。
Q. CAが不正に使われたら?
A. 重大です。CAの秘密鍵が漏れると偽の証明書を作られ信頼チェーンが壊れます。対策としては、CA秘密鍵の厳重な保管、監査、必要なら証明書の失効(CRL/OCSP)で対処します。
A. 重大です。CAの秘密鍵が漏れると偽の証明書を作られ信頼チェーンが壊れます。対策としては、CA秘密鍵の厳重な保管、監査、必要なら証明書の失効(CRL/OCSP)で対処します。
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