情報セキュリティマネジメント 2017年 秋期 午前(科目A) 問05
問題文
a~dのうち、リスクアセスメントプロセスのリスク特定において特定する対象だけを全て挙げたものはどれか。
〔特定する対象〕
a リスク対応に掛かる費用
b リスクによって引き起こされる事象
c リスクによって引き起こされる事象の原因及び起こり得る結果
d リスクを顕在化させる可能性をもつリスク源
選択肢
ア:a, b, d
イ:a, d
ウ:b, c
エ:b, c, d(正解)
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リスク特定の対象項目【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
リスクアセスメント(risk assessment:リスクを系統的に評価する手続き)の最初の段階である「リスク特定」では、何が起こり得るかを明確にします。具体的には、リスクによって実際に発生する事象(b)、その事象が起こる原因や起こり得る結果(c)、およびその事象を引き起こし得るリスク源(d:リスクの発生源や要因)を洗い出します。したがって、選択肢の組合せとしては エ(b, c, d)が正しいです。
一方、a(リスク対応に掛かる費用)は、どのように対処するかを決める「リスク対応(リスク処理)」や、対応策を比較する段階で評価する項目です。つまり費用は「特定する対象」ではなく、後の工程で算出・検討するものです。
解法ステップ
- 問題が「リスク特定で何を特定するか」を問うていると確認する。
- リスク特定の目的を整理する:何が起きるか(事象)、なぜ起きるか(原因)、どこから起きるか(リスク源)、起きたときの影響(結果)を明確にする。
- 各選択肢を上の目的に当てはめる:
- b は「起きる事象」 → 該当
- c は「原因/結果」 → 該当
- d は「リスク源」 → 該当
- a は「費用」 → 対応段階の評価であり除外
- 該当するもののみを含む組合せを選ぶ(エ)。
選択肢別の誤答解説
- ア: a, b, d
a(費用)が含まれているため誤り。費用は対策を検討する段階で評価するため、特定段階の対象ではありません。 - イ: a, d
b(事象)が抜けているため誤り。事象そのものを特定しないとリスクは把握できません。 - ウ: b, c
リスク源(d)が抜けているため誤り。原因や事象はわかっても、その原因がどこから来るか(内部か外部か、どの業務・設備か)を特定しないと対策が甘くなります。 - エ: b, c, d
事象(b)、原因と結果(c)、リスク源(d)を網羅しており、リスク特定の目的に合致します。よって正解。
よくある誤解
- 「費用(a)も特定段階で考えるべき」と思う誤解:費用は重要ですが、まずは何が起き得るかを洗い出すことが優先です。対策コストは後の「評価・対応計画」段階で扱います。
- 「原因と事象は同じ」と混同する誤解:事象は実際に起きる出来事(例:個人情報の漏えい)。原因はその事象を引き起こす要因(例:設定ミス、委託先の管理不足)。両方を分けて考える必要があります。
補足コラム
- 用語の整理
- リスク(risk):不確実性が原因で発生し得る損失や被害の可能性。
- 事象(event/incidence):実際に起こる出来事。例:サーバ停止、情報漏えい。
- 原因(cause):事象を引き起こす直接的な理由。例:パッチ未適用、人的ミス。
- リスク源(risk source):リスクを発生させる源。内部要因(老朽化した設備)や外部要因(自然災害、取引先)など。
- 実務での運用イメージ
例えば「社内の顧客DBが外部に漏れるリスク」を特定する場合は、まず「どんな事象が起き得るか(データ漏えい)」を挙げ、次に「なぜ起きるか(原因:アクセス権設定ミス、委託先の不適切管理)」、最後に「リスク源(内部の権限設定手順、委託先の運用体制)」を明確にします。費用は対策案を作る際に見積もります。
FAQ
Q1. リスク特定で「どの程度の可能性」も明らかにする必要がありますか?
A1. 「可能性(発生確率)」の評価は通常、リスク分析の段階で定量・定性により行います。まずは発生し得る事象や原因、リスク源を漏れなくリスト化することが優先です。
A1. 「可能性(発生確率)」の評価は通常、リスク分析の段階で定量・定性により行います。まずは発生し得る事象や原因、リスク源を漏れなくリスト化することが優先です。
Q2. 「リスク源」と「脅威(threat)」は同じですか?
A2. 近い概念ですが使い分けます。脅威は「悪意ある攻撃者」や「自然災害」など具体的な危険要因を指すことが多く、リスク源はそれらを含む広い概念(内部要因や外部要因も含む)です。
A2. 近い概念ですが使い分けます。脅威は「悪意ある攻撃者」や「自然災害」など具体的な危険要因を指すことが多く、リスク源はそれらを含む広い概念(内部要因や外部要因も含む)です。
Q3. 特定が不十分だとどうなりますか?
A3. 対策が的外れになりやすく、コストや効果の無駄が生じます。まずは丁寧に特定して、後で優先度付け(評価)を行うのが安全です。
A3. 対策が的外れになりやすく、コストや効果の無駄が生じます。まずは丁寧に特定して、後で優先度付け(評価)を行うのが安全です。
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