情報セキュリティマネジメント 2017年 秋期 午前(科目A) 問06
問題文
リスク対応のうち、リスクファイナンシングに該当するものはどれか。
選択肢
ア:システム被害につながるリスクの発生を抑える対策に資金を投入する。
イ:リスクが大きいと評価されたシステムを廃止し、新たなセキュアなシステムの構築に資金を投入する。
ウ:リスクが顕在化した場合のシステム被害を小さくする設備に資金を投入する。
エ:リスクによってシステムが被害を受けた場合を想定して保険を掛ける。(正解)
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リスクファイナンシング【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
リスクファイナンシングとは、リスクが現実化したときに生じる金銭的損失をどう準備するか(資金的に手当てするか)を指します。つまり「損害が発生した場合の金銭的負担を誰がどう負うか」を決める手法です。保険は損害発生時に保険会社が金銭を支払う仕組みなので、資金手当の代表的な方法です。したがって、保険を掛ける選択肢である エ が該当します。
解法ステップ
- 問題のキーワードを確認:「リスクファイナンシング」→金銭的な対応を意味するかを意識する。
- 各選択肢が示す対応が「発生確率の低減」「被害の縮小」「資金の手当て」のどれに当たるかで分類する。
- 「資金の手当て(損害発生時の費用負担)」に該当するものを選ぶ。保険は典型的な資金手当てであるため正解となる。
選択肢別の誤答解説
- ア: システム被害を抑える対策に資金を投入する。
-> これは発生確率を下げる「リスク低減(リスクコントロール)」です。ファイナンシングではありません。 - イ: リスクが大きいシステムを廃止して新システムに資金を投入する。
-> リスクを避ける(リスクアボイダンス)または移行による低減に当たります。投資は必要ですが、発生後の資金手当てではありません。 - ウ: 被害を小さくする設備に資金を投入する。
-> 損害を軽減する「緩和(ミティゲーション)」や事後の回復力強化です。やはりファイナンシングとは異なります。 - エ: リスク発生時に備えて保険を掛ける。
-> 保険は被害が発生した際に保険金で金銭的損失を補填するため、リスクファイナンシングの代表例です。
よくある誤解
- 「保険を掛ければ対策は不要」
-> 保険は損失の金銭的補償を行いますが、発生そのものを防ぐわけではありません。予防と保険は両方必要な場合が多いです。 - 「投資=ファイナンシング」
-> システム改善への投資はリスクを減らす行為であり、ファイナンシング(発生後の資金準備)とは種類が違います。
補足コラム
リスクファイナンシングの主な手法には次があります。
- 保険(第三者にリスクを移転)
- 自己保有(企業が損失を内部留保で負担)=リスクの受容(リスクレテンション)
- キャプティブ(企業が出資して設立する保険会社)
実務では、発生確率や損失額、保険料のコスト、業務継続への影響を比較して、どの組み合わせで備えるかを決めます。たとえば、サイバー攻撃のリスクは予防策(脆弱性対策)と保険(サイバー保険)を組み合わせることが一般的です。契約時は補償範囲・免責金額(自己負担)・除外項目を必ず確認します。
職場での運用イメージ:経営層や総務がリスクアセスメント(リスク評価)を受け、重大な財務リスクについては保険加入を検討。IT部門と連携して保険でカバーされるインシデントと保険適用外の対応を明確にし、予算と手続き(保険金請求フロー)を整備します。
FAQ
Q: 保険に入れば安心ですか?
A: 保険は金銭的損失の補填に有効ですが、保険金で業務停止の reputational(評判)損失や顧客信頼の回復はカバーしにくいことがあります。予防と組み合わせるのが重要です。
A: 保険は金銭的損失の補填に有効ですが、保険金で業務停止の reputational(評判)損失や顧客信頼の回復はカバーしにくいことがあります。予防と組み合わせるのが重要です。
Q: どうやって保険を選べばよいですか?
A: 想定される損害の種類・規模、保険料、免責額、補償範囲・除外、保険会社の支払実績を比較します。またインシデント対応体制と保険請求の手順を事前に確認してください。
A: 想定される損害の種類・規模、保険料、免責額、補償範囲・除外、保険会社の支払実績を比較します。またインシデント対応体制と保険請求の手順を事前に確認してください。
Q: リスクファイナンシングとリスク移転は同じですか?
A: 重なる部分はあります。保険による「移転」は典型的なファイナンシング手段です。ただし「移転」は責任そのものや対応義務の移動を示す場合もあり、厳密には文脈で意味が変わります。
A: 重なる部分はあります。保険による「移転」は典型的なファイナンシング手段です。ただし「移転」は責任そのものや対応義務の移動を示す場合もあり、厳密には文脈で意味が変わります。
関連キーワード: リスクファイナンシング、リスク移転、リスクレテンション、保険、サイバー保険、リスクコントロール、リスクアセスメント、ミティゲーション、免責金額、キャプティブ保険

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