情報セキュリティマネジメント 2017年 秋期 午前(科目A) 問07
問題文
JIS Q 27001:2014(情報セキュリティマネジメントシステムー要求事項)に従ったリスク評価において、情報セキュリティリスクが受容可能か否かの意思決定を行う際に、リスク分析結果と比較するものはどれか。
選択肢
ア:組織の情報セキュリティインシデントシナリオ
イ:組織の情報セキュリティのインシデント対応フロー
ウ:組織の情報セキュリティのリスク基準(正解)
エ:組織の情報セキュリティリスク対応計画
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リスク基準【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
JIS Q 27001:2014(JIS 規格、ISO/IEC 27001 の日本版)におけるリスク評価では、リスクの大きさ(発生確率や影響の評価結果)を見て「そのリスクを受け入れるか(放置するか)」「対策を講じるか」を決めます。ここで比較するのは、組織があらかじめ定めた評価の基準、すなわちリスク基準です。リスク基準(risk criteria:評価結果を受容可能か判断するための閾値や方針)と、リスク分析の結果を照らし合わせて受容可否を決定します。選択肢の中では ウ がこれに当たります。
(用語補足)
- リスク基準(risk criteria):どの程度のリスクまで許容するか、またはどのような条件で対策を必要とするかを定めた基準。
- リスク分析(risk analysis):リスクの発生確率や影響の大きさを具体的に評価する作業。
解法ステップ
- 問題の目的を把握する:リスクを「受容可能か否か決める」とある → 比較対象は「決める基準」であることを想起。
- 各選択肢の意味を確認する:
- インシデントシナリオ(何が起きるかの想定)
- インシデント対応フロー(起きた後の手順)
- リスク基準(受容の判断基準)
- リスク対応計画(どのように対策するかの計画)
- 「判断するために比較するもの」として最も適切なのは「リスク基準」。よって ウ を選ぶ。
選択肢別の誤答解説
- ア: 組織の情報セキュリティインシデントシナリオ
- インシデントシナリオ(incident scenario:どのようなセキュリティ事象が起こり得るかの想定) はリスク分析の入力(脅威や影響想定)にはなるが、評価結果と比較して「受容するか」を判断する基準ではありません。
- イ: 組織の情報セキュリティのインシデント対応フロー
- インシデント対応フロー(incident response flow:インシデント発生後の対応手順) は対応手順であり、リスク受容の基準とは役割が異なります。起きてからの対応に関するものです。
- ウ: 組織の情報セキュリティのリスク基準
- リスク分析の結果(発生確率×影響など)を、あらかじめ決めた許容レベルや判定基準と比較して「受容」か「対応」かを決めるためのものです。これが正解です。
- エ: 組織の情報セキュリティリスク対応計画
- リスク対応計画(risk treatment plan:どの対策をいつ実施するかの計画)は、評価後にどのようにリスクを低減するかを示す文書であり、受容の判断と直接比較するものではありません。判断後に作成・適用されます。
よくある誤解
- 「インシデント対応フローやシナリオがあればそれで受容基準になる」と考える誤り
- フローやシナリオは手順や想定の材料であって、受容の判定基準そのものではありません。基準は「どの程度まで許容するか」という判断ルールです。
- 「リスク分析=リスク評価(最終判断)」と混同する誤り
- リスク分析は発生確率や影響を定量・定性で出す段階。リスク評価(evaluation)はその結果をリスク基準と比較して受容可否を決める段階です。混同すると答えを誤りやすいです。
補足コラム
リスク基準は単なる数値閾値だけでなく、業務重要度、法令順守の要件、経営のリスク許容度(risk appetite:どれだけのリスクを経営が許容するか)などを含めて定めます。例:
- 「業務継続に直接影響するシステムの情報漏えいは常に対策対象」
- 「影響額が年間○○円を超えるリスクは対策対象」
職場では、経営層や業務部門と合意してリスク基準を文書化し、定期的に見直すことが大切です。JIS Q 27001 ではリスク基準の定義・適用を要求しており、監査でも確認されます。
FAQ
Q1: リスク基準は誰が決めるべきですか?
A1: 経営陣が中心に、情報セキュリティ責任者や業務部門、法務・財務など関係部門で合意して決めます。業務影響や法令順守の観点が重要です。
A1: 経営陣が中心に、情報セキュリティ責任者や業務部門、法務・財務など関係部門で合意して決めます。業務影響や法令順守の観点が重要です。
Q2: 数値化できないリスクにもリスク基準は必要ですか?
A2: はい。数値化が難しい場合は重要度ランクや業務影響のカテゴリ(高・中・低)で基準を定めて比較できます。
A2: はい。数値化が難しい場合は重要度ランクや業務影響のカテゴリ(高・中・低)で基準を定めて比較できます。
Q3: リスク基準とリスク対応計画の違いは?
A3: リスク基準は「判断ルール(受容するかの基準)」、リスク対応計画は「判断後に実行する具体的対策の計画」です。前者で判断し、後者で対処します。
A3: リスク基準は「判断ルール(受容するかの基準)」、リスク対応計画は「判断後に実行する具体的対策の計画」です。前者で判断し、後者で対処します。
関連キーワード: リスク基準、リスク評価、リスク受容、リスク対応計画、インシデント対応、JIS Q 27001

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