情報セキュリティマネジメント 2017年 秋期 午前(科目A) 問08
問題文
JIS Q 27000:2014(情報セキュリティマネジメントシステム―用語)では、リスクを運用管理することについて、アカウンタビリティ及び権限をもつ人又は主体を何と呼んでいるか。
選択肢
ア:監査員
イ:トップマネジメント
ウ:利害関係者
エ:リスク所有者(正解)
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リスク所有者【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
JIS Q 27000:2014 における「リスク所有者」は、リスクを運用管理するためのアカウンタビリティ(accountability:説明責任)と権限(authority:意思決定・実行の権利)を持つ人または主体を指します。したがって選択肢の中では、エの「リスク所有者(risk owner:リスクの管理責任者)」が該当します。
他の選択肢は役割や立場が異なり、「リスクを運用的に管理する責任と権限」を定義する語ではありません。
他の選択肢は役割や立場が異なり、「リスクを運用的に管理する責任と権限」を定義する語ではありません。
解法ステップ
- 問題文のキーワードを確認:アカウンタビリティ(説明責任)と権限を持つ人または主体。
- 各選択肢の意味を簡単に整理する。
- 監査員:監査を行う人(第三者・評価者の立場)。
- トップマネジメント:経営陣(方針決定や資源配分を行う)。
- 利害関係者:影響を受ける人や組織(stakeholder)。
- リスク所有者:リスク管理の責任と権限を持つ主体。
- 定義と照らし合わせて、該当する語を選ぶ(リスク所有者)。
短く言えば、「説明責任と実行の権利を持つ=リスク所有者」です。
選択肢別の誤答解説
- ア:監査員
- 監査員(auditor:監査を行う人)は、ルールや手続きが守られているかを評価する役割です。監査する立場であり、リスクを直接運用管理するアカウンタビリティや権限を持つとは限りません。
- イ:トップマネジメント
- トップマネジメント(経営陣)は組織全体の方針や資源を決めます。重要なリスクの受容判断や方針決定を行うことはありますが、個々のリスクごとに「運用管理の責任と権限」を持つのは必ずしもトップマネジメントではありません。
- ウ:利害関係者
- 利害関係者(stakeholder:利害を持つ人や組織)はリスクの影響を受けたり関心を持ったりしますが、リスクの管理責任や権限を持つ主体を意味する語ではありません。
- エ:リスク所有者
- 正解。リスクの管理に関する説明責任と決定・実行の権限を持つ主体を表します。
よくある誤解
- 「リスク所有者=トップマネジメント」と混同する
- 実務では重大リスクについてはトップマネジメントが最終決定することがありますが、日常的な運用管理責任は現場のリスク所有者に委ねられることが多いです。
- 「リスク所有者=リスクマネージャー(担当者)」と混同する
- リスクマネージャーは運用を実行・支援する役割で、リスク所有者は最終的な説明責任と判断権を持つ点が異なります。
- 「利害関係者が管理権限を持つ」と誤解する
- 利害関係者は影響や関心を持つだけで、管理のための権限を持つとは限りません。
補足コラム
- 実務での運用イメージ:リスクはリスク登録簿(リスクレジスター)に記録します。そこで各リスクに対して「リスク所有者」を明記します。たとえば「人事情報の漏えいリスク」は人事部長がリスク所有者、「社内システムのダウン」はシステム担当部長がリスク所有者、という具合です。リスク所有者は対策の実行、進捗報告、残存リスク(residual risk)の評価を行います。
- 覚え方のコツ:英語の"risk owner"を直訳するとそのまま「リスクを“所有”する人」。所有=責任と権限を持つ、というイメージで覚えると紛らわしさが減ります。
- 高レベルの判断:組織全体に影響する戦略的リスクは、最終的な受容判断をトップマネジメントが行うことがあります。そのため権限の範囲はリスクの種類や重大度によって変わります。
FAQ
Q1: 誰をリスク所有者にすべきですか?
A1: リスクの発生源や対応の実行権限を持つ業務責任者が適任です。業務の責任者(部長・課長など)を原則とし、明確に記録します。
A1: リスクの発生源や対応の実行権限を持つ業務責任者が適任です。業務の責任者(部長・課長など)を原則とし、明確に記録します。
Q2: リスク所有者に権限がない場合はどうする?
A2: 必要な権限を明確に上位に要求するか、権限を持つ別の主体をリスク所有者として割り当てます。責任だけで権限が無いと適切な対策実行ができません。
A2: 必要な権限を明確に上位に要求するか、権限を持つ別の主体をリスク所有者として割り当てます。責任だけで権限が無いと適切な対策実行ができません。
Q3: リスク所有者と資産所有者(asset owner)の違いは?
A3: 資産所有者は資産(データやシステム)の管理責任を持つ人です。リスク所有者は特定のリスクに対する管理責任を持つ人。場合によって同一人物になることもありますが、役割は別です。
A3: 資産所有者は資産(データやシステム)の管理責任を持つ人です。リスク所有者は特定のリスクに対する管理責任を持つ人。場合によって同一人物になることもありますが、役割は別です。
Q4: リスク所有者はどのくらいの頻度で見直すべきですか?
A4: 組織の変更、業務プロセスの変更、またはリスク発生状況に応じて随時見直します。定期レビューを年次や半期で行う運用が一般的です。
A4: 組織の変更、業務プロセスの変更、またはリスク発生状況に応じて随時見直します。定期レビューを年次や半期で行う運用が一般的です。
関連キーワード: リスクマネジメント、リスク所有者、アカウンタビリティ、権限、ISMS(Information Security Management System)、監査員、利害関係者、トップマネジメント

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