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情報セキュリティマネジメント 2017年 秋期 午前(科目A)09


問題文

情報セキュリティマネジメントにおける、脅威と脆弱性に関する記述のうち、最も適切なものはどれか。

選択肢

管理策の欠如によって脅威が高まり、脆弱性の深刻度が低くなる。
脅威が存在しないと判断できる場合、脆弱性に対処する必要性は低い。(正解)
脅威のうち、脆弱性によってリスクが顕在化するのは環境的脅威である。
脆弱性の有無にかかわらず、事故の発生確率は脅威の大きさで決まる。

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脅威と脆弱性の関係【情報セキュリティマネジメント解説】

正解の理由

選択肢は「脅威が存在しないと判断できる場合、脆弱性に対処する必要性は低い。」とあります。ここでのポイントは「脅威(threat:害をもたらす可能性のある事象)」と「脆弱性(vulnerability:攻撃や事故に対して弱い部分)」の違いです。脆弱性があっても、それを悪用する脅威が現実に存在しない、もしくは存在確率が極めて低いなら、優先度は下がります。つまり、リスク評価は「脅威の有無(可能性)」と「脆弱性の存在」と「影響(被害の大きさ)」の組合せで決まるため、脅威が無ければ対処の緊急度は下がる、という考え方が正しいためです。
ただし「脅威が今は存在しない」と判断して放置する場合でも、環境変化や攻撃手法の進化で脅威が出現する可能性があるため、定期的な見直しや監視は必要です。

解法ステップ

  1. 用語をはっきりさせる
    • 脅威(threat):何か悪いことが起きる原因になりうるもの(例:不正アクセス、自然災害、人為ミス)。
    • 脆弱性(vulnerability):それが起きたときに被害を受けやすい弱点(例:未更新のソフト、施錠していないサーバ室)。
  2. リスクの評価原理を思い出す
    • リスクは「脅威の発生確率 × 脆弱性の存在 × 影響度」で判断するイメージ。脅威がゼロに近ければリスクは小さい。
  3. 各選択肢を照らし合わせる
    • 脅威がない場合の脆弱性対処の必要性について、妥当かどうかを判断する。
  4. 結論を得る
    • 以上より、が正しいと判断する。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 「管理策の欠如によって脅威が高まり、脆弱性の深刻度が低くなる。」
    → 誤り。管理策(コントロール)が欠如すると脆弱性はむしろ深刻化します。管理策は脆弱性を低減するためのものなので、欠如は脆弱性を大きくします。
  • : 「脅威が存在しないと判断できる場合、脆弱性に対処する必要性は低い。」
    → 正しい。ただし「存在しないと判断できる」根拠を持ち、定期的に見直すことが前提です。完全ゼロを保証するのは現実的でないため、リスク評価としての優先度判断という意味で正答になります。
  • ウ: 「脅威のうち、脆弱性によってリスクが顕在化するのは環境的脅威である。」
    → 誤り。脅威には人為的(内部不正・外部攻撃)、技術的(ソフトの欠陥)、環境的(火災・停電)などがあり、どの種類でも脆弱性があればリスクは顕在化し得ます。限定する根拠はありません。
  • エ: 「脆弱性の有無にかかわらず、事故の発生確率は脅威の大きさで決まる。」
    → 誤り。事故発生確率は脅威の発生可能性だけでなく、脆弱性の存在にも左右されます。脆弱性が無ければ脅威があっても被害が出ない場合があります(例:施錠された金庫に入っている重要書類)。

よくある誤解

  • 脅威がゼロなら対策は不要だ:脅威が「今は」観測されない場合でも、将来の変化で脅威が現れる可能性があるため、完全放置は危険です。定期的なリスクレビューが必要です。
  • 脆弱性=即リスク:脆弱性があっても脅威が無ければすぐに大きな被害にならないことがあります。優先順位付けが重要です。
  • 脅威は常に外部から来る:内部ミスや設定漏れなど、組織内部にも脅威は存在します。

補足コラム

実務では「リスク受容(accept)」「リスク低減(mitigate)」「リスク回避(avoid)」「移転(transfer)」の4つの選択肢で対応を決めます。脅威がほぼ存在しないと合理的に判断できる場合は「受容」や優先度を下げる判断が採られますが、その判断過程(根拠)を記録しておくことが重要です。例えば、データセンターが物理的に隔離されておりアクセス可能な人が極めて限定されているなら、外部からの不正アクセスリスクは低く評価でき、その分ソフトウェアの脆弱性対応を後回しにする判断が現実的です。
職場での運用イメージ:脆弱性一覧(例:未適用のパッチ)を作り、脅威情報(攻撃が現実にあるか)と影響度を掛け合わせて優先度付け。高リスクだけを早急に対応し、その他はスケジュール化して定期的に見直します。

FAQ

Q1: 「脅威が存在しない」とどうやって判断する?
A1: 脅威の有無は観測データと環境分析で判断します。たとえば外部攻撃の痕跡が無く、物理的アクセスが厳しく制限されている等の証拠を集め、定期的に再評価します。
Q2: 脆弱性を放置すると必ずリスクが増える?
A2: 必ずではありません。脅威が無ければ即リスクにはならないこともありますが、放置は将来のリスク増大につながる可能性があるため、記録と見直しを行います。
Q3: リスク評価で使える簡単な考え方は?
A3: 「リスク ≒ 発生確率(脅威) × 影響度」。脆弱性は発生確率を高める要因と考え、優先度を決めます。

関連キーワード: 脅威、脆弱性、リスク評価、リスクアセスメント、優先度付け、インシデント予防
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