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情報セキュリティマネジメント 2017年 秋期 午前(科目A)23


問題文

非常に大きな数の素因数分解が困難なことを利用した公開鍵暗号方式はどれか。

選択肢

AES
DH
DSA
RSA(正解)

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RSA公開鍵暗号【情報セキュリティマネジメント解説】

正解の理由

選択肢のうち のRSA(Rivest–Shamir–Adleman:公開鍵暗号方式)が正解です。RSAは「非常に大きな数の素因数分解が困難であること」を安全性の根拠にしています。具体的には2つの大きな素数の積 を公開値とし、 を元に素因数 を見つけることが実用上困難であるため、秘密鍵を推測されにくくなります。
補足説明:
  • 公開鍵(公開する鍵)と秘密鍵(本人だけが保持する鍵)の方式を「公開鍵暗号(Public key cryptography)」と呼びます。RSAはその代表例です。
  • 「素因数分解が難しいこと」が計算上の困難性(security assumption)であり、これが破られるとRSAの安全性は損なわれます。

解法ステップ

  1. 各選択肢が何を指すかを短く確認する。
    • AES:共通鍵(対称)暗号(Advanced Encryption Standard)
    • DH:公開鍵を使った鍵共有(Diffie–Hellman);離散対数問題に依存
    • DSA:電子署名方式(Digital Signature Algorithm);離散対数問題に依存
    • RSA:公開鍵暗号;素因数分解問題に依存
  2. 問題文のキーワード「素因数分解が困難なこと」を探す。
  3. 素因数分解に基づく暗号はRSAだけなので、それが正解と判断する。

選択肢別の誤答解説

  • ア: AES(Advanced Encryption Standard:共通鍵暗号)
    • 共通鍵(同じ鍵で暗号化/復号)方式です。数学的な安全性は別の設計(ブロック暗号の構造)に依存し、素因数分解とは関係ありません。
  • イ: DH(Diffie–Hellman:鍵共有方式)
    • 安全性は「離散対数問題」(離散対数が計算しにくいこと)に依存します。素因数分解とは異なる数学的困難性です。
  • ウ: DSA(Digital Signature Algorithm:電子署名方式)
    • 署名アルゴリズムで、やはり離散対数問題に基づきます。RSAとは基礎となる問題が異なります。
  • エ: RSA(Rivest–Shamir–Adleman:公開鍵暗号方式)
    • 2つの大きな素数の積を分解することが難しいという性質を利用しています。したがって問題文の条件に直接一致します。

よくある誤解

  • 「公開鍵暗号=RSA」ではない:RSAは代表的だが、DHや楕円曲線暗号(ECDSAなど)も公開鍵暗号/関連技術です。用途や前提(鍵交換、署名、暗号化)で使い分けます。
  • 「素因数分解が困難=永遠に安全」ではない:新しいアルゴリズムや量子コンピュータの進展で破られる可能性があります(後述の補足参照)。
  • 「RSAは何もしなくても安全」ではない:鍵長やパディング方式を適切に選ばないと攻撃を受けます。運用の注意が重要です。

補足コラム

  • RSAの仕組み(簡単な流れ)
    1. 2つの大きな素数 を選ぶ。
    2. を公開する。
    3. 公開鍵は 、秘密鍵は )の形になります。
      例(教育的な小さい数): とすると 。実運用では桁数が遥かに大きく(2048ビット以上が推奨)なります。
  • 実務での運用イメージ
    • 企業ではRSA鍵は証明書(電子証明書)と共に使われることが多いです。公開鍵は証明書で配布、秘密鍵はHSM(Hardware Security Module:専用の鍵保護装置)や厳格なアクセス制御で保管します。鍵の作成・配布・更新(鍵ローテーション)と廃棄手順を規程に定め、従うことが実務上重要です。
  • 将来のリスク(量子コンピュータ)
    • 量子アルゴリズム(Shorのアルゴリズム)は素因数分解を効率化します。量子が実用化するとRSAは破られる可能性があるため、ポスト量子暗号の検討が進んでいます。
  • パディングと安全性
    • 実際のRSA暗号化では、単純に数を演算するだけでなく「パディング」(データ整形)方式(例:OAEP)を用いて安全性を高めます。これを怠ると復号や署名で脆弱になります。

FAQ

Q. RSAはどのくらい長い鍵を使えば安全ですか?
A. 現在の一般的な推奨は最低2048ビットです。より長い鍵(3072ビットや4096ビット)は将来性を考えた選択です。運用面では処理速度や互換性も考慮します。
Q. RSAとDHの違いは何ですか?
A. RSAは暗号化と署名に使える公開鍵暗号方式で、素因数分解の困難性に基づきます。DHは共通鍵を安全に共有するためのプロトコルで、離散対数問題に基づきます。目的と数学的根拠が異なります。
Q. 既に導入済みのRSA鍵をどう管理すればいいですか?
A. 秘密鍵は社外に出さない、暗号化・物理保護・アクセス制御を行う、証明書の有効期限を管理して期限切れ前に更新・失効リスト(CRL)やOCSPで状態を確認する、といった運用が必要です。

関連キーワード: 公開鍵暗号、素因数分解、RSA鍵長、公開鍵基盤(PKI)、量子コンピュータ、離散対数問題
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