情報セキュリティマネジメント 2017年 春期 午前(科目A) 問06
問題文
JIS Q 31000:2010(リスクマネジメントー原則及び指針)において、リスクマネジメントは、“リスクについて組織を指揮統制するための調整された活動”と定義されている。そのプロセスを構成する活動の実行順序として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:リスク特定→リスク対応→リスク分析→リスク評価
イ:リスク特定→リスク分析→リスク評価→リスク対応(正解)
ウ:リスク評価→リスク特定→リスク分析→リスク対応
エ:リスク評価→リスク分析→リスク特定→リスク対応
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リスクマネジメントのプロセス順序【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
JIS Q 31000 に沿ったリスクマネジメントは、まず「何が問題になり得るかを見つける」ことから始まります。これがリスク特定(リスク特定:リスク=被害につながりうる事象や状況を洗い出す行為)です。次に、そのリスクの「起こりやすさ」と「影響の大きさ」を調べる段階がリスク分析(リスク分析:発生確率と影響度を定性的・定量的に評価する作業)です。分析した結果を基準と照らして優先度を決めるのがリスク評価(リスク評価:分析結果を組織の許容度などに照らして重要度を判断すること)です。最後に、評価した結果に応じて対策を決めて実行するのがリスク対応(リスク対応:回避、低減、受容、移転などの手段を選び実行すること)です。
この流れを正しく示しているのが選択肢の中では イ(リスク特定→リスク分析→リスク評価→リスク対応)です。順序の理由は「何があるかを知らずに分析や評価はできない」「評価なしに対応の優先順位は決められない」からです。
解法ステップ
- 用語の意味を短く確認する
- 特定=洗い出し、分析=深掘り、評価=優先付け、対応=対策実行。
- 「できるだけ順序が自然か」を考える
- 見つける→調べる→順位付け→対策、が自然な流れかを確認する。
- 選択肢を当てはめて確認する
- 例えば評価が最初に来る選択肢は「評価する材料(特定・分析)が無い」ので除外。
- 最短で答えを決める(試験では時間配分を意識)
選択肢別の誤答解説
-
ア: リスク特定→リスク対応→リスク分析→リスク評価
→ 誤り。対応(対策実行)を分析と評価の前に行っています。対策の優先順位や内容は分析・評価の結果で決めるため、この順序は不合理です。 -
イ: リスク特定→リスク分析→リスク評価→リスク対応
→ 正しい。まず洗い出して、詳細に調べ、優先度を決めてから対策を実行するという論理的な順序です。 -
ウ: リスク評価→リスク特定→リスク分析→リスク対応
→ 誤り。評価(優先付け)を最初に行っていますが、評価には分析結果が必要です。材料なしに優先順位は決められません。 -
エ: リスク評価→リスク分析→リスク特定→リスク対応
→ 誤り。特定が最後に来ています。特定なしに分析や評価は成立しません。
よくある誤解
-
リスク「分析」と「評価」を混同する
→ 分析はデータを出す作業(発生確率や影響度を算出)。評価はそのデータを組織基準(許容度)に照らして「重要かどうか」を判断する作業です。 -
「対応」は最初に考えてよいと思い込む
→ 組織の限られた資源で効率よく対策をするには、何が重要かの判断(評価)が必要です。思いつきで対応すると非効率です。
補足コラム
リスクアセスメント(risk assessment:リスク特定・分析・評価をまとめた言葉)は現場でよく使われます。実務では次のように行います。
- 定期的にリスク特定の会議を開く(担当者が現場を見て洗い出す)
- 簡易なヒートマップ(縦に影響度、横に発生確率)で視覚化して分析結果を示す
- 経営陣や関係部門と評価基準(例えば「受容できる年間損失額」や「法令違反のリスクは最優先」)を合意して優先度を決定する
- 優先度に応じて対応計画を作り、実行後は効果測定と見直しを行う(PDCA)
職場でのイメージ:まず部署で「どの業務が漏洩すると困るか」を洗い出し(特定)、各業務の情報量や頻度を調べ(分析)、会社の基準で重要度を決め(評価)、優先して施錠やアクセス制限などの対策(対応)を実施します。
FAQ
Q1: この順序は常に厳密に守らないといけませんか?
A1: 基本はこの順序ですが、実務では反復的に行います。例えば特定→分析→評価→対応→(対応の結果で新たな特定が必要になれば)再び特定、というサイクルを回します。
A1: 基本はこの順序ですが、実務では反復的に行います。例えば特定→分析→評価→対応→(対応の結果で新たな特定が必要になれば)再び特定、というサイクルを回します。
Q2: 定性的分析と定量的分析の違いは何ですか?
A2: 定性的分析は言葉やランク(高・中・低)で評価する方法。定量的分析は金額や確率など数値で評価する方法です。時間やデータに応じて使い分けます。
A2: 定性的分析は言葉やランク(高・中・低)で評価する方法。定量的分析は金額や確率など数値で評価する方法です。時間やデータに応じて使い分けます。
Q3: 小さな組織でもこの手順は必要ですか?
A3: はい。規模に合わせて簡素化してよいですが、洗い出し→調査→優先付け→対策の流れは守ると効率的です。
A3: はい。規模に合わせて簡素化してよいですが、洗い出し→調査→優先付け→対策の流れは守ると効率的です。
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