情報セキュリティマネジメント 2017年 春期 午前(科目A) 問05
問題文
JIS Q 31000:2010(リスクマネジメントー原則及び指針)において、リスクマネジメントを効果的なものにするために、組織が順守することが望ましいこととして挙げられている原則はどれか。
選択肢
ア:リスクマネジメントは、静的であり、変化が生じたときに終了する。
イ:リスクマネジメントは、組織に合わせて作られる。(正解)
ウ:リスクマネジメントは、組織の主要なプロセスから分離した単独の活動である。
エ:リスクマネジメントは、リスクが顕在化した場合を対象とする。
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リスクマネジメントの原則【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
JIS Q 31000:2010は、リスクマネジメント(リスクマネジメント:危険や損失の可能性を特定・評価・対応して管理する仕組み)が効果的であるために守るべき「原則」を示しています。その中に「組織に合わせて作られる(customized/適合させる)」ことが明記されています。つまり、リスクマネジメントは組織の規模や業務、文化に応じて設計・運用されるべきであり、選択肢の中では イ がこの考えを表しているため正解です。
ポイント:
- JIS Q 31000 は「一般的なやり方」を示しますが、実際の運用は各組織に合わせて調整します。
- したがって「組織に合わせる=カスタマイズ」が正しい原則です。
解法ステップ
- 問題文で問われている規格(JIS Q 31000)が「リスクマネジメントの原則」を示すものだと確認する。
- 各選択肢を「原則らしい文か」「逆のことを言っていないか」で判定する。原則は一般的で運用可能な前提を示すはず。
- 「静的である」「単独の活動」「発生後のみを対象」という選択肢は原則としてありえないと判断する。
- 残った「組織に合わせて作られる」が最も合致するため選ぶ(イ)。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 「リスクマネジメントは、静的であり、変化が生じたときに終了する。」
- 誤り。JIS Q 31000はリスクマネジメントを動的(ダイナミック)なプロセスとし、環境変化や業務変化に応じて継続的に見直すべきとしています。終わるものではありません。
-
イ: 組織に合わせて作られる(正解)
- 正しい。組織の目的、規模、文化、リスク許容度に応じて、手法や適用範囲を調整することが求められます。職場ではテンプレートをベースに必要部分だけ適用・簡素化することが多いです。
-
ウ: 「組織の主要なプロセスから分離した単独の活動である。」
- 誤り。むしろ逆で、リスクマネジメントは組織の主要プロセスに統合されるべきです。業務と切り離すと実効性が下がります(例:稟議やプロジェクト計画の中で行う)。
-
エ: 「リスクが顕在化した場合を対象とする。」
- 誤り。リスクマネジメントは、リスクが顕在化する前(潜在的なリスク)からの対応を含みます。発生後だけ対応するのはインシデント対応であり、予防を含む設計とは異なります。
よくある誤解
- 「リスク管理は災害や事故が起きた後の対応だけだ」と考えること。実際は発生前の予防と軽減が重要です。
- 「会社のサイズが小さいとリスクマネジメントは不要」と思うこと。規模に応じて簡素化しても、方針や役割は必要です。
- 「テンプレートをそのまま導入すれば良い」と考えること。テンプレートは出発点で、必ず自社の実情に合わせて調整します。
補足コラム
JIS Q 31000 の主な原則(わかりやすく要約)
- 統合されること:経営や業務に組み込む。
- 構造化され包括的であること:体系的に行うことで一貫性を保つ。
- 組織に合わせること(customized):規模や文化に応じて設計する。
- 包括的(インクルーシブ)であること:関係者を巻き込み多面的に判断する。
- 動的であること:変化に応じて見直す。
- 利用可能な最良の情報に基づくこと:情報に基づき合理的に判断する。
- 人的・文化的要因を考慮すること:人の行動や組織文化を無視しない。
- 継続的に改善すること:定期的に効果を見直し改善する。
職場での運用イメージ:
- 新しい業務システムを導入する際、プロジェクトチームが業務担当・総務・情報システムを交えてリスク洗い出しを行い、業務フローに沿って対策を決めて定期的に見直す、という流れが典型です。
FAQ
Q1: 「組織に合わせる」とは具体的に何を変えるのですか?
A1: 適用範囲(全部門か一部か)、リスク評価の深さ(簡易チェックか定量評価か)、担当者や会議の頻度などを組織の実情に合わせて決めます。例えば小規模会社なら簡易チェックリストで十分です。
A1: 適用範囲(全部門か一部か)、リスク評価の深さ(簡易チェックか定量評価か)、担当者や会議の頻度などを組織の実情に合わせて決めます。例えば小規模会社なら簡易チェックリストで十分です。
Q2: どれくらいの頻度で見直すべきですか?
A2: 決まった回数だけでなく「トリガー」(新製品、法改正、組織変更、インシデント発生など)が起きたときに見直すことが重要です。定期的なレビュー(例:年1回、四半期ごと)も並行して行います。
A2: 決まった回数だけでなく「トリガー」(新製品、法改正、組織変更、インシデント発生など)が起きたときに見直すことが重要です。定期的なレビュー(例:年1回、四半期ごと)も並行して行います。
Q3: 誰が責任を持つべきですか?
A3: 最終的な責任は経営層にありますが、実務は業務担当・リスク管理担当・情報システムなど関係部門が協働して行います。組織に合わせて役割分担を明確にしましょう。
A3: 最終的な責任は経営層にありますが、実務は業務担当・リスク管理担当・情報システムなど関係部門が協働して行います。組織に合わせて役割分担を明確にしましょう。
関連キーワード: JIS Q 31000、リスクマネジメント、リスクアセスメント、組織適合、継続的改善、統合運用

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