情報セキュリティマネジメント 2017年 春期 午前(科目A) 問15
問題文
ディジタルフォレンジックスの説明として、適切なものはどれか。
選択肢
ア:あらかじめ設定した運用基準に従って、メールサーバを通過する送受信メールをフィルタリングすること
イ:外部からの攻撃や不正なアクセスからサーバを防御すること
ウ:磁気ディスクなどの書換え可能な記憶媒体を廃棄する前に、単に初期化するだけではデータを復元できる可能性があるので、任意のデータ列で上書きすること
エ:不正アクセスなどコンピュータに関する犯罪に対してデータの法的な証拠性を確保できるように、原因究明に必要なデータの保全、収集、分析をすること(正解)
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ディジタルフォレンジックス【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
ディジタルフォレンジックスとは、コンピュータやスマートフォンなどの電子機器に関する不正や犯罪について、法的に有効な証拠を残すために「データの保全・収集・分析」を行う活動です。選択肢エは「証拠性を確保できるように、原因究明に必要なデータの保全、収集、分析をすること」と記述しており、フォレンジックスの目的と方法を端的に表しています。
ポイントは「証拠性を損なわないように扱う」ことです。証拠の信頼性を保つため、手順や記録(チェーンオブカストディ:証拠管理の履歴)を残し、元のデータを変更しないで作業用の複製(イメージ)を解析します。これらが揃って初めて、調査結果が社内調査や法的手続きで使えます。
解法ステップ
- 問題文のキーワードを探す:「証拠」「保全」「収集」「分析」「法的」などがあればフォレンジックスの説明を示す可能性が高い。
- 選択肢の役割を分類する:予防・防御、検知・フィルタリング、データ廃棄、調査・証拠保全。
- フォレンジックスは「調査と証拠保全」が中心であることを確認し、それに合致する選択肢を選ぶ。
- 残りを排除する:運用ルールによるメールフィルタはフィルタリング、サーバ防御はセキュリティ対策、上書きは廃棄・消去(サニタイズ)に該当するため誤り。
選択肢別の誤答解説
-
ア: 「メールサーバを通過する送受信メールをフィルタリングすること」
→ これはメールフィルタリングやDLP(Data Loss Prevention:情報漏えい防止)の説明です。フォレンジックスは事後の証拠保全・解析であり、通常はリアルタイムのフィルタリングとは別物です。 -
イ: 「外部からの攻撃や不正なアクセスからサーバを防御すること」
→ これは防御(ディフェンス)や侵入検知/防御(IDS/IPS、ファイアウォールなど)の説明です。フォレンジックスは防御ではなく、攻撃発生後の調査と証拠保全が目的です。 -
ウ: 「記憶媒体を廃棄する前に任意のデータ列で上書きすること」
→ これはデータ消去(サニタイズ)や廃棄手順に関する説明で、フォレンジックスとは逆の行為です。フォレンジックスでは元データを保全するため、上書きしてしまうと証拠が失われます。なお、安全な廃棄では上書きや物理破壊が有効ですが、それは証拠保全の目的とは異なります。
よくある誤解
-
フォレンジックスは「不正を未然に防ぐ」活動だと思う誤解
→ 実際は事後の調査・証拠保存・原因究明が主目的。防止は別のセキュリティ対策です。 -
証拠は必ず復元できると思う誤解
→ 上書きや破損、機器の操作によって証拠が失われることがあります。特に電源操作で揮発性メモリ(RAM)の情報が消える点に注意が必要です。 -
自分で触っても問題ないと思う誤解
→ 調査前に現場の機器に不用意に触ると、タイムスタンプやログが変わり証拠価値が落ちます。まずは記録(写真・ログ)を残し、専門家に連絡するのが原則です。
補足コラム
フォレンジックスで実際に行われる主な手順は次のとおりです。
- 現場保全:現状の記録(写真や接続状態)、アクセスを遮断して二次被害を防ぐ。
- イメージ取得:オリジナルを変更しないために「ビット単位の複製(イメージ)」を作成する。書込み防止装置(ライトブロッカー)を使う。
- 証拠管理:誰がいつ触ったかを記録するチェーンオブカストディを保持する。
- 分析:ログ解析、ファイル復元、タイムライン作成などを実施し、原因を特定する。
- 報告:調査結果を分かりやすく報告し、必要なら法的手続きに備える。
職場では「インシデントが発生したらまず上長とCSIRT(社内のインシデント対応チーム)や外部専門家に連絡する」「現場の機器は勝手に再起動・シャットダウンしない」「ログや接続情報を保存しておく」などの運用ルールを決めておくと実務で役立ちます。
FAQ
Q. インシデントが起きたら自分でファイル復元しても良いですか?
A. 原則として避けてください。操作で証拠が変わる恐れがあります。まずは記録を残し、可能なら専門家にイメージ取得を依頼しましょう。
A. 原則として避けてください。操作で証拠が変わる恐れがあります。まずは記録を残し、可能なら専門家にイメージ取得を依頼しましょう。
Q. フォレンジックス調査は社内でやるべきですか、外部に任せるべきですか?
A. 小規模なログ確認は社内で可能でも、証拠性が重要な場合は外部の専門家(フォレンジック業者や弁護士)に依頼するのが安全です。事前に依頼先を契約しておくと迅速です。
A. 小規模なログ確認は社内で可能でも、証拠性が重要な場合は外部の専門家(フォレンジック業者や弁護士)に依頼するのが安全です。事前に依頼先を契約しておくと迅速です。
Q. どの程度の記録を残せばよいですか?
A. 誰が、いつ、どの作業を行ったかを時刻付きで記録すること。可能なら写真やスクリーンショット、機器のシリアル番号や接続状態も残します。チェーンオブカストディが維持されることが重要です。
A. 誰が、いつ、どの作業を行ったかを時刻付きで記録すること。可能なら写真やスクリーンショット、機器のシリアル番号や接続状態も残します。チェーンオブカストディが維持されることが重要です。
関連キーワード: ディジタルフォレンジックス、証拠保全、チェーンオブカストディ、イメージング、ライブフォレンジックス

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