情報セキュリティマネジメント 2017年 春期 午前(科目A) 問28
問題文
OSI基本参照モデルのネットワーク層で動作し、“認証ヘッダ(AH)”と“暗号ペイロード(ESP)”の二つのプロトコルを含むものはどれか。
選択肢
ア:IPsec(正解)
イ:S/MIME
ウ:SSH
エ:XML暗号
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IPsec(ネットワーク層の保護)【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
IPパケットの保護を行うプロトコル群として、ネットワーク層(OSI参照モデル第3層)で動作するのがIPsecです。IPsec(Internet Protocol Security:IPを保護するプロトコル群)は、パケットの認証と改ざん検知を行うAH(Authentication Header:送信元認証と改ざん検知を行うヘッダ)と、ペイロードの暗号化・認証を行うESP(Encapsulating Security Payload:データの暗号化と認証)という二つの主要プロトコルを含みます。したがって、正解は ア です。
解法ステップ
- 「ネットワーク層で動作する」とある点を確認する。ネットワーク層はIPアドレスやルーティングを扱う層(OSI第3層)です。
- 各選択肢がどの層で使われるかを思い出す:メールの保護はアプリケーション層、リモートログインはアプリケーション層、XML暗号はドキュメントレベル。
- AHとESPを含むのはIPsecしかないことを照合する。よってIPsecを選ぶ。
選択肢別の誤答解説
- イ: S/MIME(Secure/Multipurpose Internet Mail Extensions:電子メールの署名・暗号化)は電子メール(アプリケーション層)向けの仕組みです。AHやESPは含みません。
- ウ: SSH(Secure Shell:リモートの端末操作やトンネリングを安全に行うプロトコル)は主にアプリケーション層で動作し、IPパケットそのものを直接保護するAH/ESPのセットではありません。
- エ: XML暗号(XML Encryption:XML文書内のデータを暗号化する仕様)はデータ(文書)レベルの暗号化技術で、OSIのネットワーク層プロトコルではありません。
よくある誤解
- 「IPsecはただのVPNソフト」と考える誤解:IPsecはVPN(仮想プライベートネットワーク)を実現するためによく使われますが、正確にはIPパケットの認証・暗号化を行うプロトコル群です。VPNは運用形態の一例にすぎません。
- 「AHとESPは同じもの」:AHは主に認証(改ざん検知と送信元確認)を提供し、暗号化は行いません。ESPは暗号化(機密性)を提供し、オプションで認証もします。用途が異なります。
補足コラム
- IPsecの運用でよく使われる仕組みにIKE(Internet Key Exchange:鍵交換プロトコル)があります。IKEは暗号鍵の自動交換やSA(Security Association:セキュリティ関連パラメータ)の確立を行います。職場では、拠点間接続やリモートワークでの社内アクセスにIPsec+IKEが使われることが多く、設定はネットワーク管理者と協議してポリシー(どの通信を暗号化するか、認証方式は何か)を決めます。
- モード:IPsecは「トランスポートモード」(ホスト間の通信保護)と「トンネルモード」(ゲートウェイ間でIPパケット全体をカプセル化)を持ち、用途により使い分けます。
FAQ
Q. AHだけ使えば完全に安全ですか?
A. AHはパケットの認証と改ざん検知を提供しますが、内容を暗号化しません。したがって機密性(盗聴防止)が必要ならESPを使うか、ESPと組み合わせる必要があります。
A. AHはパケットの認証と改ざん検知を提供しますが、内容を暗号化しません。したがって機密性(盗聴防止)が必要ならESPを使うか、ESPと組み合わせる必要があります。
Q. NAT(ネットワークアドレス変換)を通すとIPsecは使えないですか?
A. 古い方式のAHやESP(特にAH)はNATと相性が悪い場合があります。NAT越えをサポートするためにNAT-T(NAT Traversal)などの仕組みが使われます。
A. 古い方式のAHやESP(特にAH)はNATと相性が悪い場合があります。NAT越えをサポートするためにNAT-T(NAT Traversal)などの仕組みが使われます。
Q. SSHとIPsecはどちらを使うべきですか?
A. 用途次第です。リモートシェルやファイル転送など個々のアプリケーションを安全に使いたければSSH。ネットワーク全体や複数のアプリケーションを透過的に保護したければIPsec(VPN)が向きます。
A. 用途次第です。リモートシェルやファイル転送など個々のアプリケーションを安全に使いたければSSH。ネットワーク全体や複数のアプリケーションを透過的に保護したければIPsec(VPN)が向きます。
関連キーワード: IPsec、AH、ESP、IKE、VPN、ネットワーク層、暗号化、認証

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