情報セキュリティマネジメント 2018年 秋期 午前(科目A) 問27
問題文
暗号方式に関する説明のうち、適切なものはどれか。
選択肢
ア:共通鍵暗号方式で相手ごとに秘密の通信をする場合、通信相手が多くなるに従って、鍵管理の手間が増える。(正解)
イ:共通鍵暗号方式を用いて通信を暗号化するときには、送信者と受信者で異なる鍵を用いるが、通信相手にそれぞれの鍵を知らせる必要はない。
ウ:公開鍵暗号方式で通信文を暗号化して内容を秘密にした通信をするときには、復号鍵を公開することによって、鍵管理の手間を減らす。
エ:公開鍵暗号方式では、署名に用いる鍵を公開しておく必要がある。
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暗号方式の鍵管理【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
本問の正解は ア です。理由は、共通鍵暗号方式(共通鍵暗号方式:symmetric-key cryptography。送受信者が同じ「共通の秘密の鍵(共通鍵)」を使って暗号化・復号する方式)では、「相手ごとに秘密を共有する」必要があるため、通信相手が増えると共有する鍵の数とそれを安全に配布・管理する手間が急増するからです。参加者 n 人の場合、相互に秘密鍵を持つ設計では鍵の組合せ数は と増えます(例えば3人なら3組、10人なら45組)。したがって鍵管理が大きな課題になります。
解法ステップ
- 各選択肢が「共通鍵(symmetric)」か「公開鍵(公開鍵暗号方式:public-key cryptography)」のどちらを想定しているかを見分ける。
- 各方式で「鍵は誰が秘匿(秘密)にし、誰を公開するか」を確認する。
- 共通鍵:送受信者が同じ鍵を共有 → 共有鍵は秘密にする必要がある。
- 公開鍵:暗号化に使う鍵(公開鍵)は公開、復号や署名に使う鍵(秘密鍵)は秘匿。
- 選択肢の文と上記のルールを照らし合わせ、整合するものを正解とする。
選択肢別の誤答解説
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ア(正): 共通鍵暗号方式では、相手ごとに同一の秘密鍵を安全に共有する必要があるため、相手が増えるほど鍵数と管理工数が増える。会社で多数の部署と安全にやり取りする場面を想像すると分かりやすいです(人ごと・システムごとに個別に鍵を配る必要がある)。
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イ: 誤り。共通鍵暗号方式では「送信者と受信者で異なる鍵を用いる」ことは通常ありません。共通鍵方式は名前の通り同じ鍵を使います。したがって送受信者双方がその鍵を知っている(=共有している)必要があり、安全な方法で鍵を相手に知らせる(配布する)必要があります。
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ウ: 誤り。公開鍵暗号方式では「公開鍵」と「秘密鍵(復号鍵)」が対になっています。通信文を秘密にしたい場合は受信者の公開鍵で暗号化し、受信者の秘密鍵で復号します。復号鍵(秘密鍵)を公開してしまうと秘密保持ができなくなり、意味がありません。鍵管理の手間を減らすために公開鍵を公開するのが正しい運用です。
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エ: 誤り。署名(電子署名)は送信者が「秘密鍵(署名に用いる鍵)」で署名を作り、受信者が送信者の「公開鍵」でその署名を検証します。よって署名に用いる鍵は公開してはいけません。公開するのは検証用の公開鍵の方です。
よくある誤解
- 「公開鍵は何でも公開して良い」と思いがちですが、公開鍵を偽装される(なりすまし)リスクがあります。公開鍵を安全に配布・検証する仕組み(PKIなど)が必要です。
- 共通鍵は「簡単で速いから安全」と混同する人がいますが、速度と鍵配布の難しさは別問題です。共通鍵は速いが鍵配布・管理が課題になります。
補足コラム
職場での運用イメージ:
- 共通鍵を多数の相手に手作業で配ると、鍵の配布記録・更新・廃止が煩雑になります。実務では鍵管理システム(KMS:Key Management System)や端末ごとの個別暗号化、あるいは公開鍵基盤(PKI:Public Key Infrastructure。公開鍵を信頼して配布するための仕組み)を導入して管理負荷とリスクを下げます。
- 署名を利用する場合、署名鍵(秘密鍵)は厳重に保管し、署名の失効や鍵の更新ルールを社内規程に明記しておくと実務で安心です。
FAQ
Q1: 共通鍵と公開鍵、どちらを使えばいいですか?
A1: 用途によります。高速な大量データの暗号化には共通鍵が向きます。一方、相手と安全に鍵を共有しにくい場合や、なりすまし防止(署名)には公開鍵方式が有利です。実務では両者を組合せて使うこと(公開鍵で共通鍵を安全に交換し、その後は共通鍵で通信するなど)が多いです。
A1: 用途によります。高速な大量データの暗号化には共通鍵が向きます。一方、相手と安全に鍵を共有しにくい場合や、なりすまし防止(署名)には公開鍵方式が有利です。実務では両者を組合せて使うこと(公開鍵で共通鍵を安全に交換し、その後は共通鍵で通信するなど)が多いです。
Q2: 「公開鍵を公開すれば鍵管理は不要になる」のは本当ですか?
A2: 部分的に誤りです。公開鍵自体は公開しますが、その公開鍵が本当に正しい相手の鍵かを保証する仕組み(証明書やPKI)が必要です。公開鍵の配布や失効管理は鍵管理の一部です。
A2: 部分的に誤りです。公開鍵自体は公開しますが、その公開鍵が本当に正しい相手の鍵かを保証する仕組み(証明書やPKI)が必要です。公開鍵の配布や失効管理は鍵管理の一部です。
Q3: 署名と暗号化は同じですか?
A3: 異なります。暗号化は「内容を秘匿する」ことが目的で、署名は「誰が作成したか(認証)・改ざんされていないか(完全性)」を保証することが目的です。公開鍵暗号方式は両方に使われますが、鍵の使い方(どちらを公開するか)が異なります。
A3: 異なります。暗号化は「内容を秘匿する」ことが目的で、署名は「誰が作成したか(認証)・改ざんされていないか(完全性)」を保証することが目的です。公開鍵暗号方式は両方に使われますが、鍵の使い方(どちらを公開するか)が異なります。
関連キーワード: 共通鍵暗号, 公開鍵暗号, 秘密鍵, 公開鍵, 署名, 鍵管理, PKI, KMS

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