情報セキュリティマネジメント 2018年 秋期 午前(科目A) 問33
問題文
電子署名法に関する記述のうち、適切なものはどれか。
選択肢
ア:電子署名には、電磁的記録ではなく、かつ、コンピュータで処理できないものも含まれる。
イ:電子署名には、民事訴訟法における押印と同様の効力が認められる。(正解)
ウ:電子署名の認証業務を行うことができるのは、政府が運営する認証局に限られる。
エ:電子署名は共通鍵暗号技術によるものに限られる。
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電子署名の法的効力【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
電子署名(digital signature:デジタル署名)は、署名者を特定でき、かつ電子データが改ざんされていないことを示す仕組みです。日本の電子署名法は、こうした電子署名について一定の要件を満たせば、手書きの押印や署名と同様の証拠力・法的効力が認められることを定めています。したがって選択肢のうち、電子署名が民事訴訟法における押印と同等の効力を持ち得るとする イ が適切です。
ポイントは「すべての電子的な署名が自動的に等価になるわけではない」ことです。署名者の識別とデータの完全性(改ざん検出)が技術的に担保されていることが前提です。この要件が満たされれば、裁判などで手書き押印と同等の扱いを受けます。
(用語補足)認証局(CA: Certification Authority)は、署名者の公開鍵と本人を結び付ける「電子証明書」を発行する組織です。公開鍵暗号(public-key cryptography:公開鍵方式)は、秘密鍵で署名し公開鍵で検証する方式で、電子署名の代表的な技術です。
解法ステップ
- 問題の主題を確認:電子署名法の内容(法的効力・認証業務・技術的制限など)。
- 各選択肢を「法の定め」と「技術の現実性」で評価する。
- 「電子署名は法的に押印と同等になり得る」という点が法律の趣旨と合致するかを判断する。
- その他の選択肢が法律や技術常識に照らして誤りであることを確認して消去する。
- 最終的に法的効力について適切に述べている選択肢(イ)を選ぶ。
選択肢別の誤答解説
-
ア:電子署名には、電磁的記録ではなく、かつ、コンピュータで処理できないものも含まれる。
誤り。電子署名はその名の通り「電子的(電磁的記録)」な方式を指します。紙に押した印影の画像など単に電子化した画像は、技術的に署名者の本人性や改ざん検出を担保しないため、電子署名法で想定する「電子署名」とは区別されます。 -
ウ:電子署名の認証業務を行うことができるのは、政府が運営する認証局に限られる。
誤り。認証局(CA)は民間企業でも運営できます。法律は認証業務そのものや認証事業者の登録・責任などを規定しますが、必ずしも政府のみが行うものではありません。実務では民間の認証サービス業者が多く存在します。 -
エ:電子署名は共通鍵暗号技術によるものに限られる。
誤り。電子署名は一般に公開鍵暗号方式(公開鍵で検証、秘密鍵で署名)を用います。共通鍵暗号(symmetric-key:同じ鍵で暗号・復号する方式)は、非否認性(署名者が否定できないこと)を担保しにくいため電子署名の主流ではありません。
よくある誤解
- 「署名の画像を貼れば電子署名になる」:単なる画像は署名者の本人性や改ざん検出ができないため、法律上の電子署名と同じ扱いにならないことが多いです。
- 「政府だけが認証局を運営できる」:民間の認証業者もあり、企業は外部の認証サービスを利用して運用することが一般的です。
- 「電子署名は万能」:要件を満たさない電子的な手段は、法的効力が認められない場合があります。署名鍵の管理や電子証明書の信頼性が重要です。
補足コラム
職場でのイメージ:契約書に電子署名を利用すると、紙に押印する手間が省けます。ただし、実務では次を必ず確認します(1)どの技術で署名するか(公開鍵方式か)、(2)誰が認証局を提供するか、(3)秘密鍵の保管方法(USBトークンやHSMなど)、(4)タイムスタンプの有無(いつ署名されたかを示す)。特に大事なのは「秘密鍵を会社で安全に保管・運用する体制」を定めることです。これらは委託先管理や業務規程の一部として運用されます。
技術メモ(短く):電子署名は通常、公開鍵基盤(PKI: Public Key Infrastructure:公開鍵基盤)上で動きます。署名は秘密鍵(private key)で作り、検証は公開鍵(public key)で行うことで、署名者の特定と改ざん検出を実現します。
FAQ
Q: すべての電子的な署名が法的に押印と同じですか?
A: いいえ。署名者の特定とデータの完全性が技術的に担保される場合に、手書きの署名と同等の法的効力が認められます。単なる署名画像などは該当しません。
A: いいえ。署名者の特定とデータの完全性が技術的に担保される場合に、手書きの署名と同等の法的効力が認められます。単なる署名画像などは該当しません。
Q: 認証局(CA)は会社が自前で用意しないといけませんか?
A: いいえ。多くの企業は信頼できる民間の認証サービスを利用します。ただし、外部に委託する場合は鍵管理や契約・監査を明確にする必要があります。
A: いいえ。多くの企業は信頼できる民間の認証サービスを利用します。ただし、外部に委託する場合は鍵管理や契約・監査を明確にする必要があります。
Q: 共通鍵暗号でも電子署名に使えますか?
A: 共通鍵暗号は改ざん検出や機密性には使えますが、署名の「非否認性」(後で署名したことを本人が否定できない性質)を担保しにくいため、電子署名の主流は公開鍵暗号方式です。
A: 共通鍵暗号は改ざん検出や機密性には使えますが、署名の「非否認性」(後で署名したことを本人が否定できない性質)を担保しにくいため、電子署名の主流は公開鍵暗号方式です。
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