情報セキュリティマネジメント 2018年 春期 午前(科目A) 問17
問題文
A社では、利用しているソフトウェア製品の脆弱性に対して、ベンダから提供された最新のセキュリティパッチを適用することを決定した。ソフトウェア製品がインストールされている組織内のPCやサーバについて、セキュリティパッチの適用漏れを防ぎたい。そのために有効なものはどれか。
選択肢
ア:ソフトウェア製品の脆弱性の概要や対策の情報が蓄積された脆弱性対策情報データベース(JVN iPedia)
イ:ソフトウェア製品の脆弱性の特性や深刻度を評価するための基準を提供する共通脆弱性評価システム(CVSS)
ウ:ソフトウェア製品のソースコードを保存し、ソースコードへのアクセス権と変更履歴を管理するソースコード管理システム
エ:ソフトウェア製品の名称やバージョン、それらが導入されている機器の所在、IPアドレスを管理するIT資産管理システム(正解)
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IT資産管理システム【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
パッチの適用漏れを防ぐために必要なのは、「どの機器にどのソフトが、どのバージョンで入っているか」を把握することです。ソフトウェアの名称・バージョン・導入機器・所在・IPアドレスなどの情報を管理するのは、IT資産管理システムです。選択肢の中ではこれが該当するため、エが正解となります。
具体的には、資産管理システムの台帳や一覧を見れば、未パッチの対象機器やバージョンを特定できます。特定できれば、自動配布や手順書を使って確実にパッチを適用できます。単に脆弱性情報を調べるだけでは「どこに何があるか」が分からないため、適用漏れ防止には不十分です。
解法ステップ
- 問題の目的を確認:「パッチ適用の漏れを防ぐ」ために何が必要かを考える。
- 必要な情報を洗い出す:「どの機器にどのソフトが入っているか」「バージョン」「所在(IPや設置場所)」など。
- 選択肢がその情報を提供するかを検討する。
- その情報を管理できるのは資産管理システムであると判断して、エを選ぶ。
短く言えば、「何を知らなければパッチ漏れが起きるか」を逆算して、対応するツールを選びます。
選択肢別の誤答解説
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ア: 脆弱性対策情報データベース(JVN iPedia)
JVN iPediaは、ソフトウェアの脆弱性情報を集めたデータベースです。脆弱性の概要や対策情報を得るには有用ですが、組織内のどの機器にそのソフトが入っているかを管理する機能はありません。つまり「情報源」は提供するが、適用漏れを直接防ぐ一覧性は無い、という点で不適切です。 -
イ: 共通脆弱性評価システム(CVSS: Common Vulnerability Scoring System)
CVSSは脆弱性の深刻度(スコア)を評価するための基準です。脆弱性の優先度付け(どの脆弱性を先に直すべきか)には役立ちますが、どの機器にどのバージョンが入っているかを示すものではありません。したがって「適用漏れの発見」には直接使えません。 -
ウ: ソースコード管理システム(ソースコードの保存・変更履歴管理)
ソースコード管理(例:Git)は開発中のコード管理を行います。ソフトウェアの配布先や導入状況を管理する目的のツールではないため、現場のパッチ適用漏れの検出には役立ちません。 -
エ: IT資産管理システム(ソフト名・バージョン・導入機器・所在・IPを管理)
組織内でどの機器にどのソフトがあるか、バージョン情報や設置場所・IPまで管理できるため、パッチの適用状況を突き合わせて漏れを発見・対応できます。したがってパッチ適用漏れを防ぐ観点で適切です。
よくある誤解
-
「脆弱性データベース(JVN)やCVSSがあれば十分」
誤解しやすい点です。JVNやCVSSは“何が危険か”を教えてくれますが、“自社のどこにそれがあるか”は教えてくれません。両者は連携して使うのが正解です。 -
「ソースコードを管理していれば配布先も分かる」
実際には配布・導入状況は別管理です。ソースコードのリポジトリは開発履歴であって、運用中のソフトウェアの所在情報は含みません。 -
「資産管理システムを入れれば自動でパッチ適用も完了する」
資産管理は“見える化”が主目的です。多くのシステムは自動配布機能を持ちますが、適用前のテストや稼働制約、権限設定など運用上の工程が別途必要です。
補足コラム
現場運用のイメージ:
- まずIT資産管理システムで「ソフト名・バージョン・設置場所・端末の所有者」を一覧化します。
- 脆弱性情報(JVNなど)やCVSSスコアで優先度を決め、該当ソフトのインストール場所をリスト化。
- テスト環境でパッチ動作を確認後、パッチ配布ツール(例:WSUS、SCCM/ConfigMgr、Intune、Ansibleなど)で段階的に展開します。
- 適用後に資産管理システムと照合して「適用済み/未適用」を更新し、未適用の機器は個別対応します。
ワンポイント:資産管理はエージェント方式(端末に常駐するソフトで情報を収集)とネットワークスキャン方式があります。小規模ならエージェント不要のクラウド型でも始めやすいです。
FAQ
Q: JVNやCVSSは全く役に立たないですか?
A: いいえ。JVNは脆弱性の情報源、CVSSは優先度付けに有用です。ただし「適用漏れの検出」には資産情報が必要なので、組み合わせて運用します。
A: いいえ。JVNは脆弱性の情報源、CVSSは優先度付けに有用です。ただし「適用漏れの検出」には資産情報が必要なので、組み合わせて運用します。
Q: 既にソフト一覧をExcelで管理しています。十分ですか?
A: 小規模なら出発点になりますが、台数が増えると更新漏れや検索性が問題になります。自動収集できる資産管理システムの導入を検討してください。
A: 小規模なら出発点になりますが、台数が増えると更新漏れや検索性が問題になります。自動収集できる資産管理システムの導入を検討してください。
Q: クラウド環境や仮想サーバも管理できますか?
A: できます。モダンな資産管理ツールはオンプレ・クラウド両方の資産を収集・統合できます。クラウド固有のAPI連携を利用すると手動管理を減らせます。
A: できます。モダンな資産管理ツールはオンプレ・クラウド両方の資産を収集・統合できます。クラウド固有のAPI連携を利用すると手動管理を減らせます。
Q: すぐにやるべきことは?
A: まず現状のソフトウェア一覧を作る(誰が、どの端末で何を使っているか)。次に脆弱性情報と照合して優先対応することです。
A: まず現状のソフトウェア一覧を作る(誰が、どの端末で何を使っているか)。次に脆弱性情報と照合して優先対応することです。
関連キーワード: IT資産管理、パッチ管理、脆弱性管理、JVN iPedia、CVSS、CMDB、脆弱性スキャン、資産インベントリ、パッチ展開、構成管理

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