情報セキュリティマネジメント 2018年 春期 午前(科目A) 問20
問題文
ドメイン名ハイジャックを可能にする手口はどれか。
選択肢
ア:PCとWebサーバとの通信を途中で乗っ取り、不正にデータを窃取する。
イ:Webサーバに、送信元を偽装したリクエストを大量に送信して、Webサービスを停止させる。
ウ:Webページにアクセスする際のURLに余分なドットやスラッシュなどを含め、アクセスが禁止されているディレクトリにアクセスする。
エ:権威DNSサーバに登録された情報を不正に書き換える。(正解)
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ドメイン名ハイジャック【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
ドメイン名ハイジャックとは、ドメイン名(例: example.com)を指すDNS(ドメインネームシステム:人間が読む名前をコンピュータが使うIPアドレスに変える仕組み)の登録情報を攻撃者が不正に書き換え、正しいサーバではなく攻撃者のサーバに誘導する攻撃です。したがって、権威DNSサーバ(そのドメインの正式な名前解決情報を持つサーバ)に登録された情報を書き換える選択肢、つまり エ が正解になります。書き換えられると、正規ユーザがアクセスしても攻撃者のサイトや偽のサービスに接続され、情報漏えいや詐欺につながります。
解法ステップ
- 問題文でキーワード「ドメイン名ハイジャック」を確認する(ドメイン名とDNSに関係する攻撃かを判断)。
- 各選択肢がどの技術領域を指すかを簡単に分類する。
- ネットワーク途中で盗む攻撃(通信の乗っ取り)か、
- サービス停止(DDoS)か、
- Webアプリの脆弱性を突く攻撃か、
- DNS登録情報の改ざんか。
- ドメイン名に直接関係するのはDNSの改ざんなので、それに該当する選択肢を選ぶ(エ)。
- 他の選択肢は別の攻撃手法なので除外する。
選択肢別の誤答解説
- ア: 「PCとWebサーバとの通信を途中で乗っ取り、不正にデータを窃取する。」
- これはMITM(Man-In-The-Middle:通信の途中に割り込む攻撃)を説明しています。通信の盗聴や改ざんであり、DNS情報そのものの書き換えではありません。ドメイン名ハイジャックとは別物です。
- イ: 「Webサーバに、送信元を偽装したリクエストを大量に送信して、Webサービスを停止させる。」
- これはDDoS(分散型サービス拒否攻撃)やHTTPフラッドの説明です。サービスを停止させる手法で、ドメインのDNSレコード書き換えとは異なります。
- ウ: 「Webページにアクセスする際のURLに余分なドットやスラッシュなどを含め、アクセスが禁止されているディレクトリにアクセスする。」
- これはディレクトリ・トラバーサルやパス操作に関する攻撃で、Webサーバ上のファイルやディレクトリに不正アクセスする手口です。DNSの改ざん(ドメイン名ハイジャック)ではありません。
- エ: 「権威DNSサーバに登録された情報を不正に書き換える。」
- 権威DNS(authoritative DNS)はそのドメインの公式な名前解決情報を持つ場所で、ここを改ざんされると全ユーザのアクセス先が変わるため、これがドメイン名ハイジャックの核心です。
よくある誤解
- 「ドメイン名ハイジャック=単なるWebの改ざん」と混同する
- Webページの改ざんはサーバ側のファイルを書き換える攻撃ですが、ドメイン名ハイジャックはDNSレコードの書き換えで、ユーザの接続先自体を変えます。被害の範囲が広く、復旧手続きが異なります。
- 「DNSを書き換えるのは難しい」と過小評価する
- 実際はレジストラ(ドメイン登録業者)アカウントの乗っ取りや、管理ミス、あるいはDNSサーバ間の通信の弱点を突かれて比較的簡単に起こることがあります。だから管理と二要素認証が重要です。
- 「ローカルのhosts書き換えは同じではないか」との誤解
- 個人PCのhostsファイルを書き換えるとそのPCだけが偽サイトに誘導されますが、権威DNSの改ざんは世界中の多くの利用者に影響します。規模が大きく深刻です。
補足コラム
- 主なドメイン名ハイジャックの手口
- レジストラアカウント乗っ取り:ドメイン登録情報を管理する業者のアカウントが不正アクセスされ変更される。
- 権威DNSサーバの管理者権限奪取:DNSゾーンファイルを書き換えられる。
- DNSキャッシュポイズニング:中継するDNS(再帰的リゾルバ)に偽の情報を記憶させ、利用者が誤ったIPを返される。
- BGP(インターネット経路)ハイジャック:経路情報を偽装してトラフィックを誘導する場合も間接的にドメインサービスを妨害します。
- 防止策(職場での運用イメージ)
- レジストラのアカウントに強力なパスワードと二要素認証(2FA)を必須にする。
- ドメインロック(transfer lock)を有効にして不用意な移管を防ぐ。
- DNSSEC(DNS Security Extensions:DNS応答の改ざん検知技術)を導入して応答の正当性を検証する。
- DNSゾーン変更は複数人の承認プロセスを設け、変更履歴を残す。
- 監視とアラート:DNSレコードの変更や、想定外のIPアドレスへの解決を検知する仕組みを導入する。
- インシデント対応の実務例
- まずレジストラとDNSサービス提供者に連絡し、即時の元に戻す作業とログの取得を行う。顧客への影響情報を速やかに公表し、アクセス遮断や証跡保存などを行う。
FAQ
Q. DNSSECを導入すれば完全に安全ですか?
A. DNSSECは応答の改ざん(偽の応答を注入する攻撃)を防ぐ強力な手段ですが、レジストラアカウントの乗っ取りやDNS管理者権限の奪取など、運用側の不正には直結して防げません。両方の対策が必要です。
A. DNSSECは応答の改ざん(偽の応答を注入する攻撃)を防ぐ強力な手段ですが、レジストラアカウントの乗っ取りやDNS管理者権限の奪取など、運用側の不正には直結して防げません。両方の対策が必要です。
Q. ハイジャックされたらどれくらいで元に戻せますか?
A. 状況によります。権限奪取であればレジストラの協力で数時間〜数日で復旧可能ですが、DNSの伝播(世界中のDNSキャッシュの更新待ち)で影響が長引くことがあります。早期発見と迅速な対応が重要です。
A. 状況によります。権限奪取であればレジストラの協力で数時間〜数日で復旧可能ですが、DNSの伝播(世界中のDNSキャッシュの更新待ち)で影響が長引くことがあります。早期発見と迅速な対応が重要です。
Q. 自分の会社のドメインが狙われているかどうか簡単に確認する方法は?
A. 定期的にWHOIS情報(ドメイン登録情報)やDNSレコードを自動チェックし、登録者情報やネームサーバに不審な変更がないかアラートするツールを使うと良いです。
A. 定期的にWHOIS情報(ドメイン登録情報)やDNSレコードを自動チェックし、登録者情報やネームサーバに不審な変更がないかアラートするツールを使うと良いです。
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