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情報セキュリティマネジメント 2018年 春期 午前(科目A)19


問題文

内閣は、2015年9月にサイバーセキュリティ戦略を定め、その目的達成のための施策の立案及び実施に当たって、五つの基本原則に従うべきとした。その基本原則に含まれるものはどれか。

選択肢

サイバー空間が一部の主体に占有されることがあってはならず、常に参加を求める者に開かれたものでなければならない。(正解)
サイバー空間上の脅威は、国を挙げて対処すべき課題であり、サイバー空間における秩序維持は国家が全て代替することが適切である。
サイバー空間においては、安全確保のために、発信された情報を全て検閲すべきである。
サイバー空間においては、情報の自由な流通を尊重し、法令を含むルールや規範を適用してはならない。

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サイバー空間の開放性【情報セキュリティマネジメント解説】

正解の理由

2015年のサイバーセキュリティ戦略が掲げる五つの基本原則には、サイバー空間(インターネットやネットワーク上の活動領域)を「特定の主体に占有させない」「参加を求める者に開かれたものとする」といった「開放性・参加性」が含まれます。したがって、選択肢の記述は戦略の基本原則と合致します。
他の選択肢は次の観点で基本原則に反します。国家が秩序維持をすべて代替することや(イ)、すべての情報を検閲すること(ウ)、法令や規範の適用を否定すること(エ)は、開放性や表現の自由、法の支配(rule of law)といった基本的価値と矛盾します。特に「法令の適用をしない」という主張は、秩序や安全を守る枠組みそのものを否定するため基本原則には含まれません。

解法ステップ

  1. 問題文で「五つの基本原則」とある点を確認する。これは政策の価値観(原則)に関する設問と分かる。
  2. 選択肢を「基本原則に含まれる価値観かどうか」で判定する。例:開放性・参加性、表現の自由、法の支配、共同責任、国際協調などが含まれることを基準にする。
  3. 各選択肢を当てはめる。国家独占や検閲、法の無視は基本原則と矛盾するため除外する。
  4. 最も政策文書の趣旨に合致するものを選ぶ(この問題では選択肢)。

選択肢別の誤答解説

  • (正解): サイバー空間が特定主体に占有されず、参加を求める者に開かれているべき、という「開放性・参加性」を述べており、戦略の基本原則と一致します。
  • イ: 「国家が全て代替する」とする主張は、民間や市民、国際関係者など多様な主体による役割分担を前提とする現代のサイバー政策と矛盾します。サイバー安全は国だけでなく企業や個人の協力も必要です。
  • ウ: 「発信された情報を全て検閲すべき」は、表現の自由や通信の秘密を侵害します。基本原則は自由な流通を前提としつつ、違法行為には法に基づく対応を求める立場です。
  • エ: 「法令を含むルールや規範を適用してはならない」は、秩序や安全の維持と相いれません。基本原則は法の支配(rule of law)を前提としています。

よくある誤解

  • 「開放性=無制限の自由」と混同すること:開放性は誰でも参加できることを意味しますが、違法行為や安全脅威への対処を放棄することではありません。
  • 「国家主導=安全」と考える誤り:緊急対応や政策の方向付けは国の役割ですが、日常的な運用や技術対応は企業や個人も担います。全てを国家に任せるわけではありません。
  • 「自由な流通=ルール不要」と勘違いすること:情報の自由流通は尊重されますが、法や規範に基づく対応(例えば個人情報保護や不正アクセス対策)は必要です。

補足コラム

サイバー空間の開放性は、簡単に言えば「誰もが参加できる場にする」という価値観です。企業の現場では、例えば自社サービスの利用を特定業者だけに限定せず、異業種との連携や標準的なインタフェース(API)を公開するような姿勢がこれに近いです。ただし、その際もセキュリティ対策や契約(アクセス制御、認証、利用規約)は必須です。政策レベルでは「開放+責任」のバランスを取るのが基本です。
覚え方のヒント:開放性(Open)、法の支配(Rule of law)、共同責任(Shared responsibility)、表現の自由(Freedom)、多様な参加(Multi-stakeholder)。O-R-S-F-Mの頭文字で「ORSFM」と覚えるなど、自分なりの語呂を作ると定着します。

FAQ

Q1: 緊急時に検閲や通信停止は完全に禁止ですか?
A1: 緊急措置は法に基づき得られる場合がありますが、恒常的な検閲や恣意(しい)的な情報統制は基本原則に反します。手続きや権限が明確であることが重要です。
Q2: 企業はどこまで「参加」すべきですか?
A2: 参加は義務ではありませんが、サイバーリスクは相互依存的です。企業は自社のセキュリティ対策を行い、情報共有やインシデント対応の協力に参加することが推奨されます。職場では、委託先管理やログ共有のルール整備など具体的運用が必要です。
Q3: 「法令を適用しない」が選択肢にあると紛らわしいのはなぜ?
A3: 「自由を尊重する」と「法を無視する」は似て非なる概念です。自由は法の枠内で保障されるもので、ルールの廃止とは違います。試験では「ルールや法令の否定」は誤りと判断します。

関連キーワード: サイバーセキュリティ戦略、開放性、参加型ガバナンス、表現の自由、法の支配、マルチステークホルダー、共同責任
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