情報セキュリティマネジメント 2018年 春期 午前(科目A) 問25
問題文
リスクベース認証に該当するものはどれか。
選択肢
ア:インターネットからの全てのアクセスに対し、トークンで生成されたワンタイムパスワードを入力させて認証する。
イ:インターネットバンキングでの連続する取引において、取引の都度、乱数表の指定したマス目にある英数字を入力させて認証する。
ウ:利用者のIPアドレスなどの環境を分析し、いつもと異なるネットワークからのアクセスに対して追加の認証を行う。(正解)
エ:利用者の記憶、持ち物、身体の特徴のうち、必ず二つ以上の方式を組み合わせて認証する。
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リスクベース認証【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
リスクベース認証は、利用者の接続状況や行動などをもとに「そのアクセスが危険かどうか(リスク)」を評価し、危険と判断した場合のみ追加の確認を求める方式です。利用者の環境情報(例:IPアドレス、端末情報、行動パターン)を分析して、いつもと異なるネットワークからのアクセスに対して追加認証を行うという説明は、まさにリスクベース認証の特徴を表しています。よって選択肢の中では ウ が適合します。
※用語補足:
- IPアドレス(ネットワーク上の機器を識別する番号)
- 多要素認証(MFA: Multi-Factor Authentication:記憶・所持・生体など異なる種類の認証要素を組み合わせる方法)
- ワンタイムパスワード(OTP: One-Time Password:一度だけ有効な使い捨てのパスワード)
解法ステップ
- 問題文のキーワードを把握する:「リスクベース(リスクに応じて)」という語から「条件に応じて処理を変える仕組み」を想起する。
- 各選択肢を「常に追加認証するもの」「取引ごとに認証するもの」「条件付きで追加認証するもの」に分類する。
- 「条件付きで追加認証する」ものがリスクベース認証に該当するため、それに一致する選択肢を選ぶ。
- 一致するのが ウ であることを確認する。
選択肢別の誤答解説
- ア: 「インターネットからの全てのアクセスに対し、トークンで生成されたワンタイムパスワードを入力させる」は常時ワンタイムパスワード(OTP)を要求する方式です。リスク評価の有無にかかわらず全アクセスに適用されるため、リスクベースではありません。
- イ: 「取引の都度、乱数表の指定したマス目にある英数字を入力させる」はトランザクション認証や使い捨てコードの一種で、取引ごとに確実性を上げる方法です。リスクに応じて動的に要求を変えるわけではないためリスクベースではありません。
- ウ: 利用者のIPアドレスなどの環境を分析し、いつもと異なるネットワークからのアクセスに対して追加の認証を行う — これはアクセスの「リスク」を評価して条件付で強化を行うため、リスクベース認証に該当します。
- エ: 「記憶・持ち物・身体の特徴のうち、必ず二つ以上の方式を組み合わせる」は多要素認証(MFA)です。常に複数要素を要求する点でリスクベースとは異なり、リスク可変に応じた柔軟性がありません。
よくある誤解
- 「リスクベース認証=多要素認証(MFA)」と考える誤り
- 両者は補完関係です。MFAは常に複数要素を要求する仕組みで、リスクベース認証は状況に応じてMFAを追加で課すことがあります(例えば普段はID/パスワードだけ、異常時はMFA要求)。
- 「IPアドレスだけを見ればよい」と思う誤り
- IPは重要な指標ですが、端末の指紋(ブラウザ情報など)、位置情報、ログイン時間帯、操作の挙動(マウス・入力パターン)など複数の情報を総合して判断するのが一般的です。
- 「必ず機械学習が必要」と思う誤り
- シンプルなルール(国コードが変わったら追加認証)でもリスクベースは実現できます。機械学習は精度向上や異常検知のための手段であって必須ではありません。
補足コラム
職場での運用イメージ:総務や管理部門が社外からの管理画面アクセスに関してリスクベース認証を導入する場合、通常は社内ネットワークからのアクセスを許可し、外出先や初めての端末からのアクセスではワンタイムパスワードや追加のメール認証を求める、といった形になります。これにより利便性を保ちつつ、リスクの高いアクセス時だけ厳格化できます。
実装で注目すべき点:
- ログと監査:どの条件で追加認証を行ったか記録しておく(後で説明や対応が必要になった場合に重要)。
- ユーザー体験(UX):過剰な誤検知は業務妨害になるため、閾値調整やホワイトリスト(よく使う端末)を用意する。
- プライバシー配慮:位置情報や行動データを利用する際は、必要最小限の利用と社内ルールの整備を行う。
FAQ
Q1: リスクベース認証と「適応認証(Adaptive Authentication)」は同じですか?
A1: はい、ほぼ同義で使われることが多いです。どちらも状況に応じて認証強度を変える点が共通しています。
A1: はい、ほぼ同義で使われることが多いです。どちらも状況に応じて認証強度を変える点が共通しています。
Q2: 中小企業でも導入できますか?
A2: 可能です。初期はシンプルなルール(国外IPは追加認証)から始め、段階的に条件を増やすと運用しやすいです。
A2: 可能です。初期はシンプルなルール(国外IPは追加認証)から始め、段階的に条件を増やすと運用しやすいです。
Q3: 誤判定(通常の社員がブロックされる)を減らすには?
A3: 端末の登録(デバイスのホワイトリスト化)、低リスク判断の閾値調整、二段階確認の緩和(通知で本人確認)などで改善できます。
A3: 端末の登録(デバイスのホワイトリスト化)、低リスク判断の閾値調整、二段階確認の緩和(通知で本人確認)などで改善できます。
関連キーワード: リスクベース認証、適応認証、多要素認証、OTP、IPアドレス、行動分析、リスクスコアリング、ゼロトラスト

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