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情報セキュリティマネジメント 2018年 春期 午前(科目A)26


問題文

暗号アルゴリズムの危殆化を説明したものはどれか。

選択肢

外国の輸出規制によって、十分な強度をもつ暗号アルゴリズムを実装した製品が利用できなくなること
鍵の不適切な管理によって、鍵が漏えいする危険性が増すこと
計算能力の向上などによって、鍵の推定が可能になり、暗号の安全性が低下すること(正解)
最高性能のコンピュータを用い、膨大な時間とコストを掛けて暗号強度をより確実なものにすること

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暗号アルゴリズムの危殆化【情報セキュリティマネジメント解説】

正解の理由

暗号アルゴリズムの「危殆化」とは、アルゴリズム自体の安全性が低下し、当初想定した安全性(守るべき秘密が守れなくなる度合い)が損なわれることを指します。計算能力の向上や新しい解析手法によって鍵の推定が現実的になる状況が、まさにこの意味です。したがって、選択肢のうち「計算能力の向上などによって、鍵の推定が可能になり、暗号の安全性が低下すること」が正解です。
(用語補足)
  • 暗号アルゴリズム(データを暗号化・復号する手順)
  • 鍵(key:暗号の処理で使う秘密の値)
  • 危殆化(きたいか:脆弱になり安全性が低下すること)

解法ステップ

  1. 問題文のキーワード「危殆化」の意味を確認する(=アルゴリズムの安全性が弱まること)。
  2. 各選択肢が「アルゴリズム自体の安全性が下がる」ことを示しているかを判定する。
  3. 「鍵管理のミス」や「輸出規制」は運用や入手性の問題であり、アルゴリズムそのものの弱体化とは異なると除外する。
  4. 計算力や解析手法の進展で鍵が推定できるようになる現象が、アルゴリズムの危殆化に該当するため選ぶ。

選択肢別の誤答解説

  • ア: 外国の輸出規制によって、十分な強度をもつ暗号アルゴリズムを実装した製品が利用できなくなること
    → これは「利用できなくなる(可用性や入手性)の問題」です。アルゴリズム自体が破られる(危殆化)わけではありません。したがって誤り。
  • イ: 鍵の不適切な管理によって、鍵が漏えいする危険性が増すこと
    → 鍵漏えいは重大なセキュリティ事故ですが、これは「運用上のミス(人や手続きの問題)」です。アルゴリズムの設計や数学的強度が低下するわけではないので、危殆化の定義には当たりません。
  • : 計算能力の向上などによって、鍵の推定が可能になり、暗号の安全性が低下すること
    → アルゴリズムの安全性そのものが脅かされる典型例です。計算力(例えばスーパーコンピュータや将来の量子コンピュータ)の進歩で、従来安全だった鍵長が現実的に破られるようになると、アルゴリズムは危殆化します。よって正解。
  • エ: 最高性能のコンピュータを用い、膨大な時間とコストを掛けて暗号強度をより確実なものにすること
    → これは「強化」や「検証」に近い行為であり、危殆化(弱くなること)とは逆です。誤り。

よくある誤解

  1. 鍵が漏れる=アルゴリズムの危殆化と思い込む
    • 鍵漏えいは運用ミスであり危機だが、アルゴリズム自体は別の問題です。対策は鍵管理の強化(多要素、保管・交換プロセスの改善)になります。
  2. 「鍵を長くすれば永久に安全」と考える
    • 鍵長は重要だが、アルゴリズムに対する新しい解析手法や量子アルゴリズム(後述)によっては、単に鍵を長くするだけでは不十分になる場合があります。

補足コラム

・実例で覚えるとわかりやすい
  • DES(Data Encryption Standard:かつての暗号規格)は鍵長56ビットで、当時は安全とされたが、計算力の向上と専用装置により総当たり(ブルートフォース)で破られるようになり危殆化しました。結果、AES(Advanced Encryption Standard:新しい共通鍵暗号)が普及しました。
  • RSA(公開鍵暗号の代表)では、整数因数分解を困難とする数学的前提が崩れると危殆化します。将来の量子コンピュータは理論上RSAを脅かすため、ポスト量子暗号(PQC:量子耐性暗号)への移行が検討されています。
・職場での運用イメージ
  • 暗号の使われ方(どのシステムでどのアルゴリズム・鍵長を使っているか)の棚卸しを行う。
  • 標準化団体やベンダーの推奨を監視し、危殆化の兆候(公式の廃止・推奨値の変更・新たな攻撃手法の報告)を検知したら移行計画を立てる(アルゴリズム移行テスト、互換性確認、スケジュール)。

FAQ

Q1: どの程度の計算能力で危殆化するか分かりますか?
A1: 一般には「攻撃が実用的(時間・コストが現実的)」になった時点で危殆化と判断します。単に理論上可能でも、実行に百年かかるなら差し当たりは実用的な危機とは言いません。
Q2: 量子コンピュータが実用化されたら今使っている暗号は全部ダメになりますか?
A2: 一部(RSAやECCなどの公開鍵暗号)は量子アルゴリズムで脅かされる可能性があります。対称鍵暗号(例:AES)も影響はあるものの、鍵長を倍にするなどの対応で耐えられる場合が多いです。重要なのは「移行計画(ポスト量子化)」を早めに用意することです。
Q3: 具体的に何をすれば良いですか?
A3: まず現状の暗号利用状況を把握し、ベンダーの推奨や標準の変更に注目します。暗号の「切替えテスト」「鍵長の見直し」「運用手順の整備」を段階的に行うのが現実的です。

関連キーワード: 暗号危殆化、鍵長、DES、AES、RSA、量子コンピュータ、ポスト量子暗号、暗号移行、鍵管理、暗号解析
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