情報セキュリティマネジメント 2018年 春期 午前(科目A) 問27
問題文
暗号解読の手法のうち、ブルートフォース攻撃はどれか。
選択肢
ア:与えられた1組の平文と暗号文に対し、総当たりで鍵を割り出す。(正解)
イ:暗号化関数の統計的な偏りを線形関数によって近似して解読する。
ウ:暗号化装置の動作を電磁波から解析することによって解読する。
エ:異なる二つの平文とそれぞれの暗号文の差分を観測して鍵を割り出す。
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ブルートフォース攻撃【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
選択肢のうち、アが正しい理由は「総当たりで鍵を割り出す」という説明が、ブルートフォース攻撃の定義そのものだからです。
ブルートフォース攻撃(brute-force attack)は、鍵(キー、暗号化に使う秘密の値)やパスワードの全ての候補を片っ端から試す方法を指します。平文(plaintext:暗号化されていない元のデータ)と暗号文(ciphertext:暗号化されたデータ)が与えられていれば、可能な鍵を次々に試して正しく復号できるかを確かめます。
一方、他の選択肢は次のように異なる手法を説明しており、統計的解析や物理的情報の取得、差分観測といった別の攻撃に該当します。したがって、総当たりを意味するアがブルートフォース攻撃を表します。
ブルートフォース攻撃(brute-force attack)は、鍵(キー、暗号化に使う秘密の値)やパスワードの全ての候補を片っ端から試す方法を指します。平文(plaintext:暗号化されていない元のデータ)と暗号文(ciphertext:暗号化されたデータ)が与えられていれば、可能な鍵を次々に試して正しく復号できるかを確かめます。
一方、他の選択肢は次のように異なる手法を説明しており、統計的解析や物理的情報の取得、差分観測といった別の攻撃に該当します。したがって、総当たりを意味するアがブルートフォース攻撃を表します。
解法ステップ
- 問題の肝を確認:ブルートフォース攻撃=「総当たりで試す」かどうかを探す。
- 各選択肢のキーワードを見る:
- 「総当たり」「鍵を割り出す」→ ブルートフォース(ア)
- 「統計的な偏り」「線形関数」→ 線形解読法(線形暗号解析)
- 「電磁波」「装置の動作」→ サイドチャネル攻撃(側信号解析)
- 「差分を観測」→ 微分攻撃(差分暗号解析)
- キーワード対応で選ぶ。
選択肢別の誤答解説
- ア:総当たりで鍵を試す手法。鍵空間(可能な鍵の総数)を全探索する。鍵長が短ければ実行可能だが、鍵長が長いと現実的ではない。
- イ:線形暗号解析(linear cryptanalysis)。暗号関数の内部構造に統計的な偏りがあることを利用して、鍵の一部や全体を推定する手法。多くの平文−暗号文対を必要とする。
- ウ:サイドチャネル攻撃(side-channel attack)。暗号装置の消費電力や電磁波、処理時間など、暗号処理そのものから漏れる物理的情報を解析して鍵を得る手法。暗号理論ではなく実装の弱点を突く。
- エ:差分暗号解析(differential cryptanalysis)。異なる平文ペアとその暗号文の差分の伝播を観察して鍵を推定する手法。準備された平文(chosen plaintext)を使うことが多い。
よくある誤解
- 「辞書攻撃(dictionary attack)はブルートフォースと同じ」は誤り。辞書攻撃は一般に人が使いそうな候補リスト(辞書)を試す手法で、全候補を無差別に試す完全な総当たりとは異なります。
- 「ブルートフォースは常に実行可能」は誤り。鍵長やアルゴリズム、攻撃者の計算力次第で実行時間は天と地ほど違います。例えば鍵がnビットなら試行は理論上 回必要です。
- 「サイドチャネルと暗号解析は同じ」は誤解。サイドチャネルは物理的な漏洩情報(電磁波や消費電力)を使う点で、統計解析や差分解析とは手法が異なります。
補足コラム
現実の攻撃では「パスワード」に対するブルートフォースが多く見られます。パスワードは人が覚えやすくするために短かったり規則的だったりするため、辞書攻撃やルール化した総当たり(例えば「Password1」「Password2」など)で破られやすいです。職場での対策としては次が有効です。
- 長くランダムなパスワードの使用(長さと複雑さで鍵空間を広げる)
- 多要素認証(MFA:Multi‑Factor Authentication、複数の認証要素を組み合わせる)導入
- アカウントロックやレート制限による総当たり対策(一定回数の失敗でロック)
- パスワード保護にはキー導出関数(PBKDF2:Password-Based Key Derivation Function 2、bcrypt、scrypt など)で試行コストを上げる
また、暗号アルゴリズム側では鍵長を十分に確保する(例:DES(Data Encryption Standard:古い暗号)は56ビットで脆弱、AES(Advanced Encryption Standard:現在広く使われる標準)は128ビット以上を推奨)や、実装に対するサイドチャネル対策(遮蔽、定時化、電磁ノイズ対策)も重要です。
職場でのイメージ:総務がパスワードポリシーを決め、システム管理はMFAやロック機能を設定、利用者教育で推測されにくいパスワード作成を促す、という流れです。
FAQ
Q. 辞書攻撃とブルートフォース攻撃の違いは?
A. 辞書攻撃は「あり得る候補のリスト」を順に試す手法です。ブルートフォースは理論上の全候補を網羅的に試す総当たりを指します。運用上は両者をまとめて「総当たり系の攻撃」と呼ぶこともありますが、仕組みは異なります。
A. 辞書攻撃は「あり得る候補のリスト」を順に試す手法です。ブルートフォースは理論上の全候補を網羅的に試す総当たりを指します。運用上は両者をまとめて「総当たり系の攻撃」と呼ぶこともありますが、仕組みは異なります。
Q. ブルートフォースで鍵を破るのにどのくらい時間がかかる?
A. 鍵長に依存します。ビット鍵長 n の場合、試行回数は最大で 。例えば 56ビットなら 通り(かなり現実的)、128ビットなら 通り(事実上不可能)です。パスワードの場合は文字種と長さで候補数が決まり、GPUやクラウドで高速化されると短いパスワードは数時間〜数日で破られることがあります。
A. 鍵長に依存します。ビット鍵長 n の場合、試行回数は最大で 。例えば 56ビットなら 通り(かなり現実的)、128ビットなら 通り(事実上不可能)です。パスワードの場合は文字種と長さで候補数が決まり、GPUやクラウドで高速化されると短いパスワードは数時間〜数日で破られることがあります。
Q. サイドチャネルで得た情報は暗号を破るのに確実?
A. 物理的な実装や環境に依存します。消費電力や電磁波、処理時間の差などから十分な統計を取れれば鍵の一部が推定でき、そこから総当たりの範囲を大幅に減らせます。よって実装対策が重要です。
A. 物理的な実装や環境に依存します。消費電力や電磁波、処理時間の差などから十分な統計を取れれば鍵の一部が推定でき、そこから総当たりの範囲を大幅に減らせます。よって実装対策が重要です。
関連キーワード: ブルートフォース攻撃、総当たり、鍵空間、平文、暗号文、線形暗号解析、微分暗号解析、サイドチャネル攻撃、鍵長、パスワード強度、PBKDF2、MFA、AES、DES

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