情報セキュリティマネジメント 2019年 秋期 午前(科目A) 問01
問題文
BEC (Business E-mail Compromise)に該当するものはどれか。
選択肢
ア:巧妙なだましの手口を駆使し、取引先になりすまして偽の電子メールを送り、金銭をだまし取る。(正解)
イ:送信元を攻撃対象の組織のメールアドレスに詐称し、多数の実在しないメールアドレスに一度に大量の電子メールを送り、攻撃対象の組織のメールアドレスを故意にブラックリストに登録させて、利用を阻害する。
ウ:第三者からの電子メールが中継できるように設定されたメールサーバを、スパムメールの中継に悪用する。
エ:誹謗中傷メールの送信元を攻撃対象の組織のメールアドレスに詐称し、組織の社会的な信用を大きく損なわせる。
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ビジネスメール詐欺【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
ア が正解です。BEC(Business E-mail Compromise:ビジネスメール詐欺)は、取引先や上司になりすまして電子メールで巧妙に信頼を得て、金銭や機密情報をだまし取る「標的型の詐欺」です。ここで重要なのは「標的を絞り」「業務の流れ(支払いや振込)の隙を突く」点です。選択肢の内容を照らすと、金銭をだまし取る目的で取引先になりすます点が一致するため、アが該当します。
(補足:フィッシング(phishing:電子メールなどを使って個人情報をだまし取る手口)と比べて、BECはより個別具体的で業務文脈を利用する点が特徴です。)
解法ステップ
- 問題のキーワードを押さえる:「BEC」「金銭をだまし取る」「取引先になりすます」などの意味を確認する。
- 各選択肢の「目的(金銭か妨害か名誉毀損か)」「手法(標的型か大量攻撃か技術的悪用か)」を比較する。
- BECの定義(標的型、ビジネス文脈、金銭詐取)に最も合う選択肢を選ぶ。
短く言えば、「誰が何を目的に、どう仕掛けているか」を意識して選びます。
選択肢別の誤答解説
- ア:正解。取引先になりすまして業務手続きを装い、金銭をだまし取る典型的なBECの説明です。
- イ:大量送信して受信側のアドレスをブラックリスト化させ、利用不能にするという説明です。これは「メール爆撃」や拒否サービス(DoS)に近い攻撃で、目的が妨害であり、BEC(金融詐取)とは目的が異なります。
- ウ:第三者の中継可能なメールサーバ(オープンリレー)を悪用してスパムを流す事例です。技術的な中継悪用であって、標的の取引関係を装う標的型詐欺(BEC)とは別カテゴリです。
- エ:送信元を詐称して誹謗中傷を送ることで信用を失わせる行為です。なりすましの一種ではありますが、目的が「 reputational damage(評判毀損)」であり、金銭詐取を主目的とするBECとは区別されます。
よくある誤解
- 「BECは単なるスパムや一般的なフィッシングと同じ」は誤り。BECは個別組織の業務フローを狙う標的型で、文面やタイミングが非常に巧妙です。
- 「送信元を詐称するだけの手口がすべてBEC」ではない。単なるヘッダ詐称や大量送信は目的や手法が違い、BECは業務上の信頼関係を悪用する点が鍵です。
- 「技術対策だけで防げる」は危険。SPF/DKIM/DMARCなどの技術は有効ですが、電話での確認や承認プロセスなど運用ルールも必須です。
補足コラム
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BECの防止に有効な実務対策(職場での運用例)
- 振込先変更は必ず「既知の電話番号で本人確認」する。メールだけでの承認禁止。
- 高額振込は複数人の承認ルールを設ける(職務分掌)。
- 取引先の口座変更は事前手続き(口座振替台帳や契約書の更新)を必須にする。
- 社員教育:経理や総務など資金移動に関わる部署への定期的な訓練。実例を示すと効果的。
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技術的対策(用語の説明付き)
- SPF(Sender Policy Framework):送信を許可するメール送信元サーバをDNSで指定し、なりすましを検出しやすくする仕組み。
- DKIM(DomainKeys Identified Mail):送信ドメインにデジタル署名を付与し、改ざんや詐称を検出する技術。
- DMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformance):SPF/DKIMの結果をもとに受信側に扱い方を指示(隔離・破棄)し、レポートを受け取る設定。
- 多要素認証(MFA:Multi-Factor Authentication):アカウント乗っ取りを防ぐためにパスワード以外の認証を必須にする。
これらを組み合わせて「技術+運用+教育」で対策するのが実務的です。
FAQ
Q1: BECに遭ったらまず何をすべきですか?
A1: 支払いを即座に停止し、社内のセキュリティ担当や上司に報告。銀行に連絡して可能なら振込停止・凍結の依頼をする。その後、警察や関係機関へ相談します。
A1: 支払いを即座に停止し、社内のセキュリティ担当や上司に報告。銀行に連絡して可能なら振込停止・凍結の依頼をする。その後、警察や関係機関へ相談します。
Q2: どんなメールが怪しい兆候ですか?
A2: 「急ぎ」「秘密扱い」「振込先をすぐ変更してほしい」「普段と違う文体や差出人アドレス」「署名の欠落」が代表的な兆候です。
A2: 「急ぎ」「秘密扱い」「振込先をすぐ変更してほしい」「普段と違う文体や差出人アドレス」「署名の欠落」が代表的な兆候です。
Q3: SPF/DKIM/DMARCだけで十分ですか?
A3: 部分的に有効ですが、攻撃者は正規アカウントを乗っ取ったり似たドメインを使うので、運用ルールと教育が不可欠です。
A3: 部分的に有効ですが、攻撃者は正規アカウントを乗っ取ったり似たドメインを使うので、運用ルールと教育が不可欠です。
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