情報セキュリティマネジメント 2019年 秋期 午前(科目A) 問16
問題文
攻撃者が用意したサーバXのIPアドレスが、A社WebサーバのFQDNに対応するIPアドレスとして、B社DNSキャッシュサーバに記憶された。これによって、意図せずサーバXに誘導されてしまう利用者はどれか。ここで、A社、B社の各従業員は自社のDNSキャッシュサーバを利用して名前解決を行う。
選択肢
ア:A社WebサーバにアクセスしようとするA社従業員
イ:A社WebサーバにアクセスしようとするB社従業員(正解)
ウ:B社WebサーバにアクセスしようとするA社従業員
エ:B社WebサーバにアクセスしようとするB社従業員
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DNSキャッシュポイズニング【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
B社のDNSキャッシュサーバ(DNS:Domain Name System、名前とIPアドレスを対応させる仕組みのサーバで、キャッシュサーバは問い合わせ結果を一時保存する役割を持ちます)に、攻撃者の用意したサーバXのIPアドレスが「A社のFQDN(FQDN:Fully Qualified Domain Name=完全修飾ドメイン名、例:www.example.com)」に対応するアドレスとして記憶されました。B社の従業員は自社のDNSキャッシュサーバを使って名前解決を行うため、A社のFQDNを問い合わせるとキャッシュされた誤ったIP(サーバX)を受け取り、意図せず誘導されます。したがって、該当するのは選択肢イ(A社WebサーバにアクセスしようとするB社従業員)です。
解法ステップ
- 問題のキーは「どの会社のDNSキャッシュサーバに誤った情報が保存されたか」を確認すること。ここではB社のDNSキャッシュサーバに誤情報が記憶された。
- 次に、各利用者がどのDNSキャッシュサーバを使うかを確認する。問題文でA社従業員はA社のキャッシュ、B社従業員はB社のキャッシュを使うと明記されている。
- 誤情報があるキャッシュサーバを使う利用者だけが誤誘導される。よってB社のキャッシュを使うB社従業員が該当する(A社の従業員は自社の正しいキャッシュを使うため影響を受けない)。
選択肢別の誤答解説
- ア: A社WebサーバにアクセスしようとするA社従業員
A社従業員はA社のDNSキャッシュサーバを使うため、誤った情報がB社側にある限り影響を受けない。したがって誤り。 - イ: A社WebサーバにアクセスしようとするB社従業員
正解。B社のキャッシュサーバがA社のFQDNに対して攻撃者のIPを記憶しているため、B社従業員は誤ってサーバXに誘導される。 - ウ: B社WebサーバにアクセスしようとするA社従業員
誤情報は「A社のFQDN」についてB社のキャッシュに入っているため、B社Webサーバの名前解決には影響しない。A社従業員はA社のキャッシュを使うのでさらに影響外。 - エ: B社WebサーバにアクセスしようとするB社従業員
B社従業員は確かにB社のキャッシュを使うが、攻撃はA社のFQDNに対するものなので、B社自身のWebサーバ名解決が書き換えられていない限り影響を受けない。
よくある誤解
- 「キャッシュに誤りが入ると全員が影響を受ける」
実際はどのDNSサーバのキャッシュが汚染されたか、各利用者がどのリゾルバ(名前解決を行うサーバ)を使っているかで影響範囲が決まります。社内で別々のDNSを使っていれば片方だけが被害を受けます。 - 「攻撃はWebサーバそのものの改ざんを意味する」
DNSキャッシュポイズニングは名前解決の結果を書き換える攻撃で、Webサーバの中身(ファイル等)を直接改ざんするわけではありません。しかし行き先が攻撃者のサーバになるためフィッシングやマルウェア配布など二次被害が起こり得ます。
補足コラム
DNSキャッシュポイズニングは、社外の攻撃者が第三者のDNS問い合わせ結果を書き換えて別のIPを返す手口です。例えると、会社の電話帳のコピーが外部で偽の番号に差し替えられ、社員がその偽番号に電話してしまうようなものです。対策としては、DNSSEC(Domain Name System Security Extensions:DNSの応答の正当性を検証する仕組み)の導入、リゾルバのソフトウェア更新・設定強化、外部からの不審な再帰問い合わせの制限、キャッシュのTTL(Time To Live:有効期限)設定の見直しなどがあります。運用面では、自社が使うDNSを明確にして外部依存を減らすことと、DNSログの監視で異常な応答を検知する体制を整えると現場で効果的です。
FAQ
Q. A社の従業員は本当に安全ですか?
A. この問題文の条件下ではA社従業員は自社のDNSキャッシュサーバを使うため影響を受けません。ただし攻撃者がA社側のキャッシュや権威DNS(正式な名前情報を持つサーバ)を汚染すれば影響を受けます。
A. この問題文の条件下ではA社従業員は自社のDNSキャッシュサーバを使うため影響を受けません。ただし攻撃者がA社側のキャッシュや権威DNS(正式な名前情報を持つサーバ)を汚染すれば影響を受けます。
Q. 被害を受けたらどうするべきですか?
A. まずDNSキャッシュのクリア(該当エントリの削除)やキャッシュサーバの再起動で一時的に解決できます。並行して原因調査と外部への連絡(顧客や関係先への注意喚起)、DNS設定とアクセスログの確認、恒久対策(DNSSEC導入など)を進めます。
A. まずDNSキャッシュのクリア(該当エントリの削除)やキャッシュサーバの再起動で一時的に解決できます。並行して原因調査と外部への連絡(顧客や関係先への注意喚起)、DNS設定とアクセスログの確認、恒久対策(DNSSEC導入など)を進めます。
Q. DNSSECを入れれば完全に安心ですか?
A. DNSSECは応答の改ざんを検証する強力な対策ですが、導入と運用に注意点があります。完全防御ではないため、総合的な対策(ソフト更新、アクセス制御、監視)と併用することが重要です。
A. DNSSECは応答の改ざんを検証する強力な対策ですが、導入と運用に注意点があります。完全防御ではないため、総合的な対策(ソフト更新、アクセス制御、監視)と併用することが重要です。
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