情報セキュリティマネジメント 2019年 春期 午前(科目A) 問31
問題文
JIS Q 15001:2017(個人情報保護マネジメントシステムー要求事項)に関する記述のうち、適切なものはどれか。
選択肢
ア:開示対象個人情報は、保有個人データとは別に定義されており、保有期間によらず全ての個人情報が該当すると定められている。
イ:規格文書の構成は、JIS Q27001:2014と異なり、マネジメントシステム規格に共通的に用いられる章立てが採用されていない。
ウ:特定の機微な個人情報が定義されており、労働組合への加盟といった情報が例として挙げられている。
エ:本人から書面に記載された個人情報を直接取得する場合には、利用目的などをあらかじめ書面によって本人に明示し、同意を得なければならないと定められている。(正解)
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取得時の明示と同意【情報セキュリティマネジメント解説】
正解の理由
JIS Q 15001:2017(個人情報保護マネジメントシステムの要求事項)は、個人情報を本人から書面で直接取得する場合に、利用目的などをあらかじめ書面で明示し、必要に応じて同意を得ることを求めています。つまり、取得の段階で「誰のために何を使うか」を本人が理解できるようにし、同意を適切に記録することが必要です。選択肢のうち、取得時の明示と同意に関する記述が正しいのは エ です。
(補足)ここでの「書面」は紙だけでなく、電子メールやWebフォームでの画面表示など、後から確認できる記録を含む場合が多いです。JIS Q 15001は管理の仕組みと手順を定める規格なので、運用上は「どの様式で明示するか」「同意の記録をどう残すか」を社内ルールに落とし込みます。
解法ステップ
- 問題文のキーワードを確認:JIS Q 15001、取得、書面、明示、同意。
- 各選択肢が規格のどの定義・要求に当たるかを照合する:
- 「開示対象個人情報」「保有個人データ」の定義関係か、
- 規格の章立て(高位構造/HLS)か、
- 「要配慮個人情報(敏感情報)」の例示か、
- 「取得時の手続き(明示・同意)」か。
- 規格の趣旨である「本人の権利保護と管理の仕組み」の観点から妥当性を判断する。
- 最も直接に規格文の要求を表しているものが正解(エ)。
選択肢別の誤答解説
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ア: 誤り
「開示対象個人情報は、保有個人データとは別に定義されており、保有期間によらず全ての個人情報が該当する」との記述は不正確です。一般に「保有個人データ」は事業者が保有し、開示請求の対象となるデータ群を指します。保有期間や破棄の有無は保有個人データの該当性に影響し、すべての個人情報が無条件に開示対象になるわけではありません。よってアは不適切です。 -
イ: 誤り
規格文書の章立てについての記述ですが、JIS Q 15001:2017はマネジメントシステム規格に合わせた構成の採用など整備が進められています。つまり「マネジメントシステム規格に共通的に用いられる章立てが採用されていない」と断定するのは誤りです。したがってイは不正確です。 -
ウ: 誤り(注意点あり)
JIS Q 15001は「要配慮個人情報」(取り扱いに特に注意を要する情報、いわゆる敏感情報)を挙げており、その例として「労働組合への加入」などが含まれます。ここで重要なのは用語の正確さです。選択肢の表現は「特定の機微な個人情報」としており、JISで用いられる正式用語は「要配慮個人情報」です。したがって語句の取り違えにより選択肢は厳密には誤りと評価されます。なお、労働組合への加入が例示される点自体は、個人情報保護法やJISの例示と整合します(この点は誤りではありません)。
よくある誤解
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「書面=紙だけ」と考える誤解
書面とは紙だけを指すわけではありません。電子的に記録・提示して追跡できる方法(メール、Webフォームの保存など)も含まれることが多いです。運用では社内ルールでどの方法を「書面」と扱うか定めておきます。 -
「敏感情報=病歴だけ」と思う誤解
要配慮個人情報(敏感情報)には病歴のほか、思想信条、民族、犯罪歴、労働組合への加入なども含まれます。収集は原則必要最小限にし、扱いを厳格にしてください。 -
規格の用語をあいまいに扱うことの危険
JISや法律では用語の微妙な違いが意味を変えます(例:「保有個人データ」と「個人情報」)。試験では語句の正確さが問われます。
補足コラム
実務でのイメージ(総務・人事向け)
- 新入社員の入社書類やアンケートで個人情報を集めるときは、用紙や入力フォームの冒頭に「利用目的」を明記します(例:給与支払、労務管理、福利厚生のため)。
- 敏感な項目(病歴、労働組合加入など)は原則として不要なら取得しない運用にします。どうしても必要な場合は別紙で明示的に同意を取り、アクセス制御や保存期間を短く設定します。
- 同意の記録は、人事システムのログや保管された同意書(電子・紙)で残します。いつ誰がどの目的に同意したかが追跡できることが重要です。
用語メモ
- JIS Q 15001:個人情報保護マネジメントシステムに関する日本工業規格。組織が個人情報を適切に扱うための要求を定める文書です。
- 要配慮個人情報:取り扱いに特に注意が必要な個人情報(敏感情報)。例:人種、思想、病歴、労働組合加入歴など。
FAQ
Q. 「書面により明示」は口頭ではダメですか?
A. 原則は書面(紙や電子で追跡可能な記録)での明示が求められます。口頭だけでは後から証明できないため、社内運用では書面化することが安全です。
A. 原則は書面(紙や電子で追跡可能な記録)での明示が求められます。口頭だけでは後から証明できないため、社内運用では書面化することが安全です。
Q. 電子フォームで「同意する」にチェックを付けさせれば十分ですか?
A. はい。ただし「何に同意しているか(利用目的など)」を明確に示し、同意の記録(日時、利用目的、同意者)を保存する必要があります。
A. はい。ただし「何に同意しているか(利用目的など)」を明確に示し、同意の記録(日時、利用目的、同意者)を保存する必要があります。
Q. 労働組合への加入は何故特に注意が必要ですか?
A. 労働組合加入は思想・信条や政治的立場に関連する情報と評価されやすく、本人のプライバシーに重大な影響を与え得ます。必要最小限の収集と厳格な取り扱いが求められます。
A. 労働組合加入は思想・信条や政治的立場に関連する情報と評価されやすく、本人のプライバシーに重大な影響を与え得ます。必要最小限の収集と厳格な取り扱いが求められます。
関連キーワード: JIS Q 15001、要配慮個人情報、取得時の明示、書面による同意、保有個人データ、個人情報の取得運用、プライバシーノーティス、個人情報管理ルール

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